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第303話 番外編~拓真(11)〜

仕事としては、輸入家具や雑貨などの取り扱いや新店舗や店舗の内装リニューアル.マンション.一軒家.会社の内装インテリアを構図し提案を主にする所謂インテリアコーディネーター&アドバイザーの会社だ。 内装インテリアとして壁紙.床材.ソファ.机.椅子.など家具全般と照明.雑貨に至るまで、相手の希望に沿うように手配やスケッチやCGなどで構図を練り、実際に素材サンプル.商品サンプルを依頼主に確認して貰い要望に応える。 営業にも行くし仕事相手との打ち合わせなども多い(依頼主.住宅メーカ~.建設業社や設計担当者.施工業社など多くの業社とのやり取りが多い) 俺もそうだが皆んな常時2〜3の案件を扱って忙しくしてる。 俺はこの間やっと新店舗の1案件仕事を終わらせ、今はマンションのモデルルームの内装インテリアや雑貨の仕事だけで比較的余裕があるが、そう言う時は営業に行ったり、インテリアショップやインテリアメーカーの所に顔を出し情報収集したりする時間に充てる。 俺は余裕がある今は早めに帰宅するように心がけ19時前には家に着き玄関を開けると、いつも部屋の中からは煌の楽しそうな話し声や笑い声が聞こえてた。 ガチャッ! 「あっ、煌君。パパが帰って来たよ~」 そう森本が話すと煌は部屋から一目散に玄関に走ってきて俺に抱き着き、森本もゆっくり笑顔で歩いて来る 「パパ~、お帰り~」 「ただいま。今日も良い子にしてたか?」 「うん!」 元気良く返事をする煌の頭を撫で抱き上げる。 「お帰りなさい」 森本からも笑顔で迎えられる。 俺が煌を抱き片手にビニール袋を下げリビングに向かうと、森本は玄関に置いたビジネスバッグを持ち俺達の背後から着いて来る。 煌をソファに座らせ森本からビジネスバッグを受け取り床に置き、ダイニングテーブルに買って来た弁当を並べながら森本に話し掛けた。 「何も無かったか?」 幼稚園での事や家での煌の様子を聞く。 「何もありませんよ。煌君は凄く良い子にしてました幼稚園でもお友達も出来たようですし、帰って来てからも2人でお絵かきしたりブロックで遊んだりお話もたくさんしました」 「そうか。友達出来たか」 「はい。今日も煌君のお話聞いてあげて下さい。では、僕はこれで帰ります」 大体、俺が帰って来ると、煌のその日の様子を話し10分程で帰って行ってしまう。 これから親子の時間と思って遠慮してるのか?それとも時間と割り切ってるのか?は、解らないが…。 「そうか。今日もご苦労様。煌! 森本君が帰るって。ご挨拶しなさい」 ソファでテレビを見てた煌が走って来て森本に抱き着く。 「ひな~、帰っちゃうの~。まだ居てよ~」 「パパが帰って来たから、今度はパパとたくさんお話してね。また、2回寝たら会えるからね」 「……うん。2回寝たら…絶対.絶対…会えるよね?」 「うん! 約束する! そうだ、約束のゆびきりしようか」 「うん!」 ♪ゆびきりげんまん~♪嘘ついた~xxxxxx♪xx♪ 煌に目線を合わせしゃがみ小指を絡め、顔を見合わせ歌う森本と煌の姿が微笑ましく感じた。 「これで約束したよ~」 「うん! ひな~、バイバイ~」 「バイバイ~。じゃあ、今日はこれで失礼します」 にこにこ笑い煌に手を振り、俺にお辞儀をし部屋を出て行った。 煌は森本の後を追い玄関まで行き「バイバイ~」と、声が聞こえ戻って来た。 「ひな…帰っちゃった」 寂しくなったんだろう。 この1週間ですっかり森本に慣れ、離れる時には寂しそうな顔をよくする。 「また、2回寝たら会える。ほら、お腹空いただろ?今日は煌の好きなハンバーグ弁当だ、食べよ。食べたらお風呂入って寝る時に本を読んでやるからな」 「わぁ~い♪ ハンバーグ弁当~♪」 子供は現金な奴だ。 さっきまでは森本との別れに寂しがってたが、大好きなハンバーグに直ぐ心が奪われてる。 可愛い~な。 そんな煌についつい俺も笑みが溢れる。 弁当と言う味気無い夕飯だが、食卓では煌が幼稚園での出来事や森本と遊んだ話しを聞かせてくれる。 楽しそうに話す煌の話しを聞いてる時が、今の俺の癒しだ。 それから2人で風呂に入り、湯船の中でおもちゃで遊んでると欠伸が出始め眠そうだ。 煌を寝かしつけて、それから俺はリビングで寝酒のビールで束の間のひと時だが自分の時間を持つ。 煌もすっかり森本に慣れたもんだ。 やはり幼稚園の先生を目指してるだけあって、子供の扱いが上手い。 仕事で疲れた体で家に帰り玄関を開けると、煌の笑い声や2人で歌を歌う声が聞こえると帰るのも楽しみになる。 聡美が選んだだけある。 良い子を選んでくれた、流石だな。 童顔な顔でいつも笑顔を絶やさずに居てくれる森本は素直な性格なのが解る。 次に会えるのは月曜日…か。 明日は溜まってる家事を済ませて煌と近くの公園に行き、帰りはスーパーで買い物するか。 確か……食パンも無くなりそうだったし、あっ、卵と牛乳と煌の好きなプリンも買うか。 日曜日には実家に煌を連れて行くとするか。 父さんも母さんも喜んで相手するだろうし、夕飯は実家で食べて帰ろう。 良し! 週末の予定は決まった。 俺も寝るか。 煌が寝てるベットに入り、スヤスヤ…子供らしく可愛い~煌の寝顔を見て、体温の高い小さな体を抱きしめ眠りに就いた。 まだ1週間程だったが、自覚は無かったが俺と煌にとって森本は癒しになりつつあった。

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