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第314話 番外編~拓真(22)~

住宅展示場メーカーとの打合せは昼に行う事が多く、俺もそう遅くならずに帰宅できた。 たが、森本への気持ちに気付くと変に意識してしまい恒例である煌の様子を森本が笑顔で話すと「そうか、解った。今日は帰って良い」と、素っ気なく言ってしまう日が2日程続くと、森本も何だか様子がおかしいと思ったようだ。 そりゃそうだろうな。 いつもだったら煌の様子を聞き、それからたわいの無い話しをしてたんだからな。 その日は水曜日だったが、早く帰宅できる時間でどうしようか迷ったが……森本と煌の顔を早く見たいと帰宅する事にした。 森本への気持ちに気付くと、俺はセフレの所に行こうと言う気にはなれなかった。 ここ暫くはセフレとも連絡も取ってない……そろそろ潮時か⁉︎ そんな事を思い玄関ドアを開けた。 「ただいま」 「パパ~お帰り~」 玄関まで走って来る煌を受け止めて抱き上げ、リビングに行くと森本が待って居た。 にこにこ笑顔で迎えてくれた。 「お帰りなさい。食事温めてますね」 「頼む。着替えて来る」 煌をリビングのソファに座らせ、俺は寝室に着替えに行く。 あの笑顔に癒されるんだよなぁ~。 やはり俺は……森本が好きだ‼︎ でも、この気持ちは……どうにもならない。 着替えダイニングに行き、森本が温めた夕飯を食べ始めると、森本はいつものように煌の様子を話して聞かせてくれた。 10分程で話し終わると沈黙する森本。 「……どうした?」 「…僕の方が聞きたいです。この2日程、本郷さんが冷たいような気がして…僕の気の所為でしょうか?もし…何か気の触る事をしたなら仰って下さい」 森本を意識するあまり……森本にそんな事を思わせたのか⁉︎ 自分の態度に反省すると共に、やはり森本は和樹とは違うと認識した。 和樹なら内に秘め黙ってやり過ごしてただろう、森本はきちんと自分の意見を言い聞くべき事は聞く、お互いが誤解無いようにする為に。 こんな時だったが、俺は森本のこんな所も好きだなぁ~と思った。 万が一……森本と付き合えたとしても森本なら上手くやっていけると思ったが……森本にはそんな気は無いだろうな。 「そう感じたなら申し訳無かった。森本君には何の不満も無い。良くやってくれてると感謝してる」 「本当ですか?……じゃあ、僕の勘違いだったのかぁ~。すみません、僕こそ変な事言って」 「いや、これからも何でも思った事は話してくれ」 「解りました。本郷さんこそ何でも話して下さいね」 「解った」 「パパ~、今日ね。ひなと動物園の時の絵を描いたんだ~」 「ん⁉︎ どれどれ?」 箸を止め、煌が持って来た絵を見ると、そこには3人が手を繋ぎ笑ってる顔とひよことうさぎの下手な絵だが描かれていた。 下手だが良い絵だと思った。 「上手に描けてるな。この真ん中で小さいのは煌か?で、こっちは森本君?そしてこっちはパパか?」 「そう♪ 僕とひなとパパだよ~」 「煌君は絵が上手ですね」 俺が煌の頭を撫で褒めると森本もにこにこと笑って褒める。 「上手に描けてるから、飾ろうな」 「うん♪」 森本がリビングの壁に飾ってくれた3人の絵。 「楽しかったね?また行こうよ~」 「そうだな。今度は水族館でも行くか?」 「うん♪ ひなも~」 「森本君の都合が良ければ一緒に行かないか?」 「はい! ぜひ、行きたいです」 「わぁ~い♪ 絶対だよ~」 「うん♪」 また3人で出掛ける約束が出来た。 俺はその日から森本への気持ちを秘め、普段通りに接するように心がけた。 2週間後には約束通り水族館へ行き、その次の週の土曜日には煌がせがみ午後に待合せて近くの公園に3人で出かけ森本がバイトの時間まで過ごした。 煌がせがむ事もあり、バイト以外の日も遊園地やドライブに行ったりするようになった。 そうするうちに俺と森本との距離もどんどん近くなってきた。 煌の我儘だったが、煌が俺達を引き合わせていた。

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