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第317話 番外編~拓真(25)~
それから玩具売場に行き、目的のレゴを2人で物色した。
様々な種類のレゴがあって目移りし、どれが良いか迷う。
ここは幼稚園の先生を目指してる森本に聞いた方が早いな。
「レゴでも色々あって迷うなぁ~。どれが良いと思う?」
「ん~そうですねぇ~。煌君は動物とかに興味ありますから、これも良いですけど…。子供って、あまり簡単過ぎると飽きちゃうのも早いんですよね。かと言って難し過ぎると嫌になって諦めちゃうから選ぶの困りますよね?」
成る程な。
子供の性質を良く理解してる森本も迷ってるようだ。
「でも、見て下さい。対象年齢が書いてありますよ。この3歳以上の基本セットは?パーツが112か220のどちらかで。値段は違いますけど、どちらもバケツ付きだからお片付けも楽ですよ?」
3000円と5000円か⁉︎
大は小を兼ねると言うからな。
「そうだな。この青いバケツの方を買う事にする」
「それなら僕も半分払います。僕が言い出した事だし僕も煌君にクリスマスプレゼントあげたいですから」
「ありがとう。森本君の気持ちを素直に受け取って ‘2人から’ って煌にプレゼントしよう」
「はい!」
俺1人で買い ‘2人から’ って言って、煌に渡しても良かったが、森本の気持ちを考え素直に了承すると蔓延の笑みを見せた。
2人からのプレゼント……か。
家族みたいだな。
胸が温かく感じた。
「じゃあ、買ってくるかな」
「帰りに買いましょう。割と荷物になりそうだから、邪魔になりますよ」
「そう言えばそうだな。じゃあ、帰りに買うとして、他に見たい所あるか?」
「お昼ご飯食べませんか?」
時計を見ると14時近かった。
煌のプレゼントを買うのに夢中になり、すっかり昼食を忘れてた。
時間を経つのも忘れる程、森本と一緒に過ごすのが楽しかったと言う事だろうな。
森本と2人っきりで過ごせる事に浮かれてたって事だな。
いい歳して……我ながら恥ずかしい。
「悪い! 気がつかなくて。腹空いたよな?俺も腹空いたし、どこかで休憩がてら飯食べよう」
「はい。お腹空きました」
飾らずに自分の意見をはっきり話す森本は解りやすく良いな!と思った。
レストランが並ぶ通りを2人で歩き、ディスプレイを眺め何を食べるか考えてた。
「何、食べます?」
「ん~、何でも良い。森本君の食べたいもので」
「え~そう言うの困ります。責めて、ご飯ものとか麺類とか肉系とか何かありませんか?僕はさっきのオムライスのお店かパスタが良いですけど」
確かに森本が話すように ‘何でも良い’ って言われた方は困るよな。
森本はオムライスかパスタか~。
「そうだな。悪かった。オムライスのお店に行こう。オムライス以外にもグラタンとかドリアがあったよな?俺はドリアにする」
「決まり! 行きましょう」
にこにこ笑いオムライスのお店に向かう。
昼時は過ぎてた事もあり、直ぐに席に着く事ができた。
森本は迷った末に、濃厚デミグラスソースとろとろオムライスにし、俺はシーフードドリアにした。
「やはり休日なだけあって、人混みがありましたね」
「そうだな。俺達と一緒でクリスマスが近いから、皆んなプレゼントでも買ってるのかもな」
「そう言われると、家族連れやカップルが多いかも」
「かもな。今日は森本君に付き合って貰って助かったよ。煌のクリスマスプレゼントも無事に買えた。俺1人なら迷って、なかなか決まらなかったと思う」
「良いプレゼントだと思います。煌君も喜びますよ」
話しをしてると、料理(サラダ.飲み物付き)が運ばれ目の前に置かれた。
「うわぁ~良い匂い‼︎ 見て.見て~、卵がふわふわのとろとろ~。美味しそう♪」
テーブルに置かれたオムライスを目にし、キラキラ…目を輝かせ嬉しそうに話す森本は子供みたいで可愛い~♪
素直なんだな。
こっちまで釣られて自然に笑顔になる。
「温かいうちに食べよう」
「はい♪」
美味しい.美味しいと連呼し嬉しそうな顔で食べる姿は、本当に可愛いらしい。
俺も熱々のドリアを食べるとシーフードの味わいとチーズが良く合って美味かった。
俺が美味しそうに食べる森本を可愛い~なと見てたのを ‘オムライスを食べたいのか?’と勘違いしたらしい。
「本郷さん、一口食べます?」
「…良いのか?じゃあ、俺のもどうぞ」
「えっ! 良いんですか~、やった~~♪」
お互いスプーンで一口取り合い口に入れた。
「本当にとろとろ~だなぁ。デミソースも美味い!」
「でしょ.でしょ! ドリアも美味しいです♪」
付き合いたてのカップルみたいだ。
俺だけがそう思ってるだけだがドキドキ…ワクワク…する。
こんな気持ちも久し振りだ。
「そう言えば、クリスマスツリーってあります?」
「確か~……大きくはないが、前に飾ってたからどこかに仕舞ってるはずだ。たぶん物置かな」
「クリスマスの時に煌君と飾りたいので、探して貰って良いですか?クリスマスにはツリーがないと雰囲気出ませんから」
「解った。探しておく」
今なら先週の男の事を聞いても良いか⁉︎
話しの流れとして変じゃないか?
この1週間森本に聞こうと思いながらも聞けずに、俺の中でモヤモヤ…してた……今なら‼︎
ドリアを口に運びながらも、さり気なさを装い聞く。
「そう言えば先週の土曜だったかな?駅で森本君を見掛けた」
如何にも今思い出した風を装い話すと、少し考えて何の事か解ったようでにこにこ笑顔で話す。
「声掛けてくれれば良かったのに。本郷さんは煌君と一緒だったんですか?」
「ああ、叔父さんの所に遊びに行った帰りだ。いつもなら車で出掛けるんだが、煌が電車に乗りたいって言ったからな。それで駅で森本君の姿が見えたが、1人じゃなかったから声は掛けなかった。随分仲が良さそうだったが友達かな?」
「え~仲良さそうでした?久し振りに会ったからかなぁ~」
で、誰なんだ‼︎
早く言えよ!
もし恋人であっても素直には言わないだろうが……いや森本なら隠さずに話すかも⁉︎
答えを聞くのが怖いが聞かずにも居られない……心臓がドキドキしてた。
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