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第320話 番外編~拓真(28)~
「そろそろ片付けようか?また、遊ぼう」
「うん♪面白かった~。パパ~ありがと」
「ん」
2人で15分程遊んでたレゴを片付け始めた。
「ここに置いておくね」
「うん♪」
リビングの端にレゴのバケツを置き、森本はキッチンに向かいろうそくが灯ったケーキを持って来た。
テーブルにケーキを置き
「きれい~」
「綺麗だね、そうだ! 写メ撮ろうか?」
「撮りた~い♪」
「解った、俺ので撮ろう」
近くに置いてあったスマホを手に取りケーキを前に、煌を間に挟み3人で顔を近づけ自撮りした。
「煌と森本君を撮ってやるから」
被写体は煌と森本で、2人は頬をくっつけケーキの前で笑顔でピースサインした。
本当に、仲が良い!
「今度は僕が撮りますから、2人近づいて~」
俺は煌を膝に座らせ背後から抱きしめた。
「煌君、凄い笑顔で可愛い~」
そう言いながら写メを撮ると、今度は煌が「僕もとりたい」と、森本からスマホを受け取り「ここから見て良いと思ったら、ここのボタン押して」操作を教わりスマホを俺と森本に向けた。
「パパ~、もっとひなとくっついて~」
照れも有り隣に居る森本と少し間が開いてたのを煌に言われ、俺はチャンスかもと思い森本の細い肩にそっと手を置き俺の方に引き寄せた。
肩同士がくっつき少しだけ顔を近づけた。
「ボタン押すよ~」
カチャッ!
「はい」
煌に手渡されたスマホの画面には、顔を近づけ笑顔の俺と森本が写ってた。
良い思い出になった。
「ケーキ食べよう。そうだ! 煌君、ろうそく消す?」
「良いの~?お誕生日みたい~」
「良いよ!」
「じゃあ、消すよ~」
ふ〜っふ〜っ……
ろうそくを消すと、森本は部屋の電気を点けた。
ホールケーキにはサンタの形やらトナカイのお菓子とチョコクッキーには ‘メリークリスマス’ とメッセージがあった。
「早く~食べた~い♪」
「もう夜だから、今日は少しにしようね。残りは冷蔵庫に入れて置くから、パパと明日でも食べてね」
最初から切り分けてたケーキを皿に乗せながら話す。
小さめに切られたケーキを3人で食べる。
「美味しい~♪」
「美味しい~ね」
「パパ~、美味しいね?」
「美味しいな」
甘いケーキは口の中でもやはり甘かった。
何だか、心も優しくなり温かくなる。
この雰囲気がそう言う気持ちにさせる。
森本から発せられる癒し系の雰囲気が部屋の中を充満してる。
煌が居て.森本が居て……毎日こんななら……。
そう願わずには居られない……そっと心の中で願った
あれ程元気にはしゃいでた煌がケーキを食べ終わるとうとうと…し始めた。
目蓋が下がり目を閉じるのを手で擦り頑張ってたが、等々ラグに横になって寝てしまった。
スヤスヤ…とラグにうつ伏せで寝てる煌は、はしゃぎ過ぎて疲れたようだ。
「寝ちゃいましたね?幼稚園から帰って来て、ツリー飾ったりお部屋を飾ったり料理も手伝ってくれて、ずっと大はしゃぎでしたからね。疲れたんでしょうね。煌君をベットに運びますね」
「いや、俺が運ぶからいい」
「じゃあ、お願いします」
ぐっすり眠る煌は多少動かしても起きない程だ。
俺は煌を抱き上げ寝室のベットに寝かせ、寝顔を見つめ「お疲れさん! 今日は頑張ったな。良い夢見ろよ、メリークリスマス」そう言ってクローゼットに隠してあった、もう1つの動物図鑑のプレゼントを枕元に置いた。
朝、目覚めた時の煌の喜ぶ顔が浮かぶ。
そしてクローゼットからもう1つ箱を出しリビングに戻ると、さっきまで居た森本の姿は無くテーブルの上はワインとグラス.残ってた料理を一皿にし片付けられて居た。
キッチンの方からカチャカチャ…音がした。
22時回ってるし、煌も寝たから帰るのか?
これから少しだけ森本と2人で過ごそうと思ってた俺は残念な気持ちになり、テンションは下がった。
「煌君、大丈夫でした?」
「ああ、はしゃぎ過ぎてぐっすりだ。動かしても全然起きる気配も無かった」
「幼稚園帰ってから、ずっと動いてましたからね。レゴも喜んでくれて良かったですね?」
「ああ、直ぐに遊んでたしな。あと、今、枕元に動物図鑑の本を置いて来た」
「朝起きた時にびっくりするでしょうね。サンタさんが来た~って、大喜びする姿が目に浮かびます」
そうだな、たぶん大喜びするだろうな。
その姿を一緒には見られないんだな。
「ん、喜ぶと思う……片付けてくれたんだな。ありがと」
「空いてる皿とか片付けただけです。やっぱり食器洗い機あると楽ですね」
「帰るのか?もし……まだ時間が大丈夫なら……もう少し飲まないか?」
ダメ元で誘ってみた、まだ……もう少しだけ一緒に居たい……今日はクリスマスだし少し我儘言っても良いだろう⁉︎
頼む! もう少しだけ……。
「僕は構いませんけど…本郷さんはお仕事で疲れてませんか?」
「いや、大丈夫だ! 俺も今日の日を楽しみにしてたし……もう風呂にも入って後は寝るだけだ。もう少し付き合ってくれ!」
「はい! 僕ももう少し飲みたかったし…」
いつものにこにこ笑顔で答えてくれた。
良かった~、少しだけでも2人っきりの時間…いやクリスマスを過ごせる。
俺も森本に釣られ微笑んでた。
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