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第324話 番外編~拓真(32)~

あのクリスマスの日から数ヶ月経ち、もうすぐ春になろうとする季節になった。 その間も俺と森本の関係は側から見ると、変わりないようで居て少しずつだが進展はしてた。 あの日に交わした約束通りゆっくりだが着実に、お互いの想いは伝わり心が満たされてた。 平日のベビーシッターのバイトで俺の帰宅を待ち、煌の今日の様子を話すのは今までと変わってないが、煌が寝てからの1~2時間は俺達2人の時間を過ごす。 それはまだ恋人とははっきり言えない微妙な所だが、少しずつ俺との触れ合いも増やし以前には無かった甘い雰囲気になってきていた。 軽い触れるだけのキスから始まり、手を繋ぎ肩を触れ合わせたりと少しずつ毎日どこかしら触れ合うようにし、俺の存在に慣れる事から始めた。 時には、煌が寝るまで我慢出来ずに煌の目を盗んで森本の頬にキスしたり素早く唇を合わせたりすると最初の頃は一瞬驚いて固まってたが、俺の悪戯に慣れてくると煌を気にしながら、目で ‘メッ‼︎' と子供を嗜めるように叱る。 その仕草がまた可愛いらしく、ついつい俺は悪戯を仕掛けてしまう。 森本が本気で怒ってないのが解ってるからだ。 平日は必ず自宅に帰る森本だが、金曜日の夜から泊まり土曜日のバイトまでは俺と煌と朝から過ごすようになった。 平日には、幾ら自転車で15~20分程でも、あまり遅くなると危ないと思い11時前には帰らせた。 本当なら車で送って行きたい所だが、煌が居る為に家を留守にする訳にいかず、いつも帰り際に玄関まで送り別れ難いと触れるだけのキスを何度もし、必ず 「好きだ」と耳元で囁くのは忘れない。 そんな日々が続き徐々に俺との触れ合いに慣れてきた頃を見計らい、触れるだけのキスから濃厚なキスに変わっていった。 それは俺達の関係も少しずつ進展してる証拠でもあったが、スキンシップが増え森本も受け入れてくれると解ると、今度は俺の方が貪欲になる。 森本を送った玄関からリビングに戻ると寂しい気分になり、森本への愛しさが溢れ濃厚なキスに体が反応してくる事も増えてくる。 そう言う時は、もう一度シャワーを浴び森本を想い描き妄想し、自慰で発散して居た。 そろそろ体の方が森本を求めて限界になりそうだ。 心も体も本当の意味での恋人になりたい‼︎ 最近では、そう強く思うようになった。 心は満たされてるが体が満たされない状態での日々に俺は森本の学校が春休みになるのを待ち旅行に誘った 2週間程の春休みには数日は実家に行き、それ以外は俺達と過ごすと言ってた、それなら1日だけ2人っきりで過ごしたいと俺の我儘を聞き入れてくれた。 その旅行で、俺と1つになり体を繋げると言う前提の旅行。 その事自体は言わなかったが、森本も何となく解ってたと思う。 一瞬戸惑いを見せてたが、直ぐに笑顔で「良いですよ」と言ってくれた。 それは覚悟を決めたと言う雰囲気だった。 俺は多くは言わずに、そんな森本に「ありがと」とだけ言って笑顔を見せた。 森本は春休みだが、俺は平日は仕事があり、やはり土.日の1泊の旅行になる。 森本は俺の都合に合わせ焼鳥屋のバイトは休みを貰ってくれた。 煌には「土曜日から日曜日までパパはお泊まりする事になったから、煌も叔父さんの所にお泊まりになるけど良いか?日曜日の夜には迎えに行くから、良い子で待ってられるか?」と言い聞かせると、初めての1人での泊まりに少しだけ不安そうだったが、何度も遊びに行ってる叔父さんの所だと解ると「うん! 良い子で待ってる」と返事が返ってきた事に安心した。 叔父さん達には既に話してあり大喜びだったが、「誰か、良い人でもできたか?」と探られたが、その事には答えずに「煌を頼む」とだけ話した。 俺の事を自分達の子供のように思ってくれてる叔父さん夫婦には、そのうち森本との事を話すつもりで居る 驚くだろうが……俺が決めた相手だ、何を言われても引くつもりはないし、できれば叔父さん達にも森本との事を受け入れて欲しい…これから先の未来もあるから……森本とこの先も一緒に居る! 俺の気持ちを必ず叔父さん達には理解して貰うように話す。 理解して貰うまで何度だって説得するつもりだ。 俺の方はそのつもりだが……まだ若い森本が俺との将来的な事をどう考えてるか?は、今の時点では解らないし焦る必要もないとも思ってる。 まだ、先の話しではあるが、いずれその時が来たら俺の方はその位の覚悟で、これからの森本との将来を考えてた。 その前に今度の旅行で、本当の意味での恋人同士にならないとな。 ネットで東京からそんなに遠くなく良さそう所を検索し決めた。 森本は喜んでくれるだろうか? 初めての2人っきりの旅行にワクワク…し、絶対に忘れられない旅行にしようと決めて居た。

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