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第341話 番外編~ 嫉妬と幸せ④~
「友達が言う飲み会や合コンとかの遊びはしたいと思った事ありません。僕の遊びは友達とご飯行ったり買い物や映画.旅行とか海とか.どこかに一緒に行って楽しむ事です。価値観の違いかも知れないですけど……僕と違う遊びだからって、別に友達を否定したりしませんけど…遊びなんて、人それぞれ楽しみ方とか感じ方が違いますから。子供だと思われても別に構わないです。僕はそっちの遊びの方が好きだし楽しいから」
確かに、陽向の言う通りだ。
遊びだって、人それぞれ価値観が違う。
そう言える陽向は大人だと思った。
人に流される奴らが多い中で、しっかりと自分の考えや価値観を持ってる。
……そう言う所が好きなんだ。
「そうか、そうだな」
ある程度話し納得した、その時にテーブルに置いてた陽向のスマホのLINEの音がなった。
ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪……何度か立て続けに鳴る。
陽向もチラッとスマホを見たが動かない。
「LINEきてるぞ、見ないのか?急用かも知れないだろ?」
「今、大事な話をしてたから。後でも良いか?と直ぐに見なかったのは、そう言う事です。変な誤解はしないで下さい。僕はLINEとか見られても全然平気です」
まあ、陽向が言ってる事も解る……けど、LINEを直ぐに見ても後にしようと見なくても……誤解され兼ねないタイミングだった。
俺が黙ってると陽向は動きスマホを手にし操作した。
指でスクロールし何やら簡単に打ち込んで、その後に俺にスマホをかざしLINE内容を見せた。
確かに、陽向の専門学校の友達らしき人物からのLINEだった。
騙し討ちみたいに合コン連れて行った事に対しての謝りが1通.写メが1通.怒ってないか確認が1通.今度は合コン以外で皆んなで遊びに行こうと陽向の機嫌を取ってるようなのが1通だ。
それに対して陽向の返信は簡潔だった。
“もう良いよ。今度は、騙し討ちの合コンは嫌だからね~😅やっぱ、僕には合コンは合わないのが良~く解ったから、合コン参加はちょっと勘弁🙏合コン以外の遊びなら誘って~🤣また学校で👋”
絵文字を使い相手が気にしないように気遣いの文章だった。
陽向らしいな。
男女4対4の合コンの記念写真が送られてた。
陽向は一応笑って写ってたが、俺には作り笑いだと解った。
それを見ただけで、合コンで雰囲気を悪くしない程度に渋々参加してたのが解る。
その写メを見てて、気になった事があった。
確かに、陽向が話すように女達はバッチリメイクに派手な服装だった……が、1人だけ合コンにそぐわない普通のワンピース姿で小柄な可愛いらしい子が陽向の隣で笑って写ってた。
「この子は?」
「その子も合コンと知らないで来てた子らしく、初めての合コンだと言ってました。僕とその子以外の人達は何度か合コンしてるらしく、その時に女の子達が ‘凄い初(うぶ)で奥手な子が居るんだけど、誰か紹介してくれない’って言われて、僕に白羽の矢が立ったと言う事らしいです」
そんな肝心な事……さっきは言って無かっただろう⁉︎
じゃあ、その子と陽向を引き合わせる為の合コンじゃないか⁉︎
その子とはどうなった?
気に入ったのか?
次の約束したのか?
「それで?」
「それで?って、別に何もありませんよ。あの中で話しやすかったから話しはしてましたけど?」
「その子……陽向の事を気に入ったんじゃないのか?陽向の方はどうなんだ?」
また嫉妬してしまう。
「……誤解してませんか?僕達は何も知らずに合コン行って、雰囲気に馴染めずに話てただけですそれに彼女はバイト先に気になってる人が居るって言ってました。どうしたら、もっと話せるようになるか?相談された程で、僕の事は眼中に無いって感じでした……それに僕には本郷さんと言う恋人が居ます」
陽向が嘘をつくはずがない。
気になる相手が居て相談されたのも本当の事なんだろう⁉︎
それに……俺と言う恋人が居ると言ってくれた。
誰にも言えない関係だが、陽向がきちんと解ってるなら、それで良い‼︎
それが本当に嬉しかった。
「彼女とは連絡先も交換してませんよ?たぶん…彼女も今日だけで、次はないから相談したんだと思います……僕は本郷さんと違ってモテませんから安心して下さい」
それは陽向の自己評価が低く過ぎだ!
陽向の性格の良さと雰囲気が幼なさで隠れてるが良く見れば美形なんだ‼︎
じゃなきゃ、幾ら頼まれたからっていい加減な奴を紹介しないだろーが!
ま、相手がその気が無かった事が不幸中の幸いだったな。
俺は陽向の両肩に手を置き想いの丈を話した。
「確かに、俺は昔は良くモテたし引く手数多だった、今でも昔程じゃないがモテる。それは自意識過剰とかじゃなく事実だからしょうがない。だが俺には陽向より魅力的な人間は居ないと思ってるし今後も現れないと確信してる。誰も眼中に無い程、陽向を愛してる‼︎ それはこの先も変わらない」
「本郷さんがモテるのは解り切った事です。僕も…モテる本郷さんが心配になったり不安になったりもします……嫉妬だってします。先週だって……連絡はくれたけど……。打合せを兼ねた接待とか付き合いで3日連続で、そう言うお店に行って遅くなりましたよね?……仕事だと解ってても……やっぱり心配で嫉妬します。………でも、そんなモテる本郷さんが僕を選んでくれた事も嬉しいですし誇りでもあります。だから…僕は信じる事しか出来ません。僕もたっ君が好きで愛してます‼︎」
心からの笑顔を見せた陽向をガバッと抱きしめた
陽向も俺の背中に手を回し抱き合った。
俺は先週の件は、嘘も誤魔化す事も無く陽向には帰宅後に話してたが……やはり3日連続は……気にしてない風だったが……心の中では不安や嫉妬してたのか。
担当者から誘われ久し振りに接待のある店に行き次の日の打合せで、その話をしてた時に相手側の課長が聞きつけてまた同じ店に行く事になり、相当に気に入った子が出来たらしい課長に次の日の打合せの後にまた誘われた。
担当者は目で謝ってたが、これも仕事に繋がると思えばその場は笑顔で対応した。
帰ってから、その日の事を話すのが日課になってる俺は陽向には全て話してたが……悪い事をした
それでも今後の事を考え、俺は仕事絡みでそう言う事がこれからもあると話し「今更、客商売の女には目もいかない、そんなバカな事をして陽向を失いたくない。俺には誰にも代えられない陽向が居る」と素直な気持ちを話し、陽向にも初めてこんなに遅く帰宅した事に心配したし無事に帰って来た事に安心し色々誤解が無いようにお互い話し合った。
この数時間は……疲れたが、これから先の事を考えると有意義だった。
小さな嫉妬が積もり積もると大きな誤解になりかねない……俺は今までの経験上解ってた。
俺は巧みにあしらう術(すべ)は持ってるし上手く交す事も出来るが、若く純情な陽向にはこれからも色々と誘惑が多いだろう。
そう言う意味では、今後も色々と誤解やら疑心暗鬼になったり不安になる事もあると思う……その度に2人で話し合い解決して行こう‼︎と思える出来事だった。
そして若い恋人を持つと心配の種は尽きないと思った。
でも陽向は嘘も隠す事もしない。
信じられる‼︎ 再認識した。
陽向本来の匂いを嗅ぎやっと安らぐ。
「陽向の部屋に行くぞ!」
それはセックスすると言う合図だった。
いつも3人で寝てる寝室には、煌が既に寝てる。
軽めのセックスなら寝たら起きない煌の横でヤル事もあるが、週末とか.激しくしたい時は陽向の勉強部屋になってる部屋で(元々は別れた奥さんの聡美が使ってた)スルのが決まり事だった。
聡美が使ってたセミダブルのベットは、この時位しか使う事が無い。
陽向も俺の意図が解り、俺の胸でコクリと頭を縦に振った耳元で囁く。
「明日の午前中はベットから起きられないと覚悟しろよ!」
それ程激しいセックスになると宣言しておく。
「えっ! え~~! そんな~」
今までも激しいセックスで何度かベットから起きられない事もあった。
それを思い出したのか?
慌てて抗議しようとする口をキスで塞ぐ。
ブチュ~チュッチュッ…
「俺を心配させた罰だ」
「……解りました」
自分が悪いと覚悟を決めた陽向と手を繋ぎ部屋まで歩く。
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