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第349話 番外編~和樹ver.~

やはり…気のせいじゃないと思い始めて居た時だった。 「お土産買って来たぞ~。休憩してお茶にしろ」 それは……海が外回りの営業から並木さんと戻り手土産に皆んなにスイーツを買って来た時だった たまに、海は皆んなを労いこうして甘い物を買って来てくれる。 海は社長室に行き、並木さんが手土産のスイーツを机に広げると、中からは鯛焼きがたくさん入っていた。 「わぁ~い♪ 」 思わず俺が声を出すと神谷君も「わぁ~、美味しそう」と声を出した。 俺と神谷君が子供のように喜ぶ姿を見て、皆んな笑ってた。 いつもの事だけど、恥ずかしくなり並木さんと一緒にお茶の用意をしに行く。 スイーツが置かれた机に皆んなが集まり談笑してる所に並木さんとお茶を運び、並木さんがいつもの如く俺に「明石君は、社長呼んで来て」と言われ「は……」返事をしようと思った時に、横から神谷君が「僕が呼んで来ます」と、足取りも軽くさっさと海を呼びに行った。 俺と並木さんは顔を見合わせたが、何も言わなかった。 呼びに行っただけだから直ぐに戻ると思ってたけど、10分程経ってから2人は並んで和かに話しながら皆んなの輪の中に入って来た。 その時には、皆んなも食べ始めてて各自談笑して居た。 仕事絡みで、いつもパソコン班の人達と話す事が多いと思い柏原君にも携帯班の人達と話す良い機会だと思い、人見知りだと言う柏原君の為に俺が間に入り鯛焼きを食べながら談笑してた。 携帯班の人達も柏原君の黙々と仕事をする態度に好感を持ってたらしく、本人を目の前に褒めて居た。 柏原君も嬉しそうな顔をしながらも照れてた。 俺は談笑しながらも海が気になりチラッチラッ…見て居た。 海は神谷君の他にも数人と輪になり談笑してた。 神谷君の楽しそうに笑う声が聞こえ俺は最近気になる事もあり、そんな神谷君の事を意識してた。 「明石、気になるのか?」 一緒に話してた赤木さんにニヤニヤされながら聞かれて困った。 「別に…」 林さんにもニヤニヤされ 「そう言えば、神谷君が言ってたぞ。‘社長って若いのに凄いですね’ とか ‘仕事出来るしカッコいいな’ ってな」 えっ‼︎ 海が仕事も出来てカッコいいのは誰が見てもそう思う……神谷君がそう言ってもおかしくない。 でも、心が騒つく。 そんな俺の気持ちが顔に出てたらしく、言い出した2人は今度はニヤニヤ…顔から、俺のフォローに回り話し始めた。 「学生からして見れば、仕事出来る大人は憧れなんだろ。気にするなって」 「そうだぞ。俺達で、神谷君にそれとなく社長のお気に入りは明石だって釘刺して置いたから」 入社当時から暫くは知らなかったけど、海が皆んなに ‘私の好きな人だ! 手出しは無用だ‼︎’ と、宣言してた事を恋人になって後々こっそり教えてくれた、もちろん揶揄れて焦ったけど。 俺と海の仲は会社では周知の仲で、海が居ない時にたまに揶揄われたりするけど、皆んな俺と海の事を温かく見守ってくれてる事も解ってる。 俺と海も会社とプライベートは分けて考えて行動してるつもりだ。 海の恋人だとは直接的には神谷君に言ってないようだけど…もしかして、他の人から聞いてるのかも知れない。 「お気に入りって、そんな事もないとは思いますけど…」 「ま、明石はここの癒し系だからな」 「そうそう。でも、神谷君も明石とは違うけど、明るいし誰とでも仲良くなるし……何だか、2人似てるんだよなぁ~」 「背丈じゃないんですか?」 「そうかも」 「もう、小さいとか言わないで下さいね。それパワハラ?セクハラ?ですからね~」 冗談ぽく笑って返したけど…皆んなが俺と神谷君が似てると言われる事も気になってる1つだった 最初の自己紹介の時に……親近感が湧くと自分でも思ってた癖に……。 心がの中で、俺とは違う……誰か、他の人に似てる気がしてた……けど、誰か思い出せない。 それも気のせいなのかも知れない。 似てると言われる事に、自分とは似てないと思いたいだけなのかも…。 黙って俺達の話しを聞いてた柏原君が俺にだけ聞こえる声で呟いた。 「また…あいつ!」 また?前にも何かあったのかな? 「そろそろ休憩終わりにしましょう。さあ、甘い物を食べた分、脳みそに糖分が回ってるでしょうから残りの時間バリバリ仕事捗るね。はい、仕事に戻って.戻って!」 並木さんの激励(?)と共に皆んなスゴスゴ…と自席に戻り仕事を再開した。 俺はお茶の片付けを始めると柏原君も手伝ってくれた。 給湯室で簡単にコップを洗ってると柏原君が話しかけてきた。 「響の事…気にしないで下さい。あいつ、ちょっと良いなと思うと直ぐにそう言う事を話すけど、口だけですから」 「あっ! うん……俺と社長の事…」 「響に聞きました。響もどこから聞いてきたのか?解らないですけど…。別に、俺も響もセクシャリティ的な事は気にしてないですから。今の時代、結構周りにも居ますし。バイト面接の時にもここの会社はそう言う人が多いって最初に聞いてたし、嫌悪感とかあるなら辞めて良いと言われてました」 「そう、柏原君が平気なら俺は今まで通りに一緒に仕事したいけど」 「俺の方こそお願いします。明石さん、俺の事、凄く気に掛けてくれて正直助かってます」 「ありがとう。じゃあ、並木さんにも言われたし糖分取ったんだから、残りの時間も頑張ろうか」 「はい!」 そして俺と柏原君は仲良く給湯室を出て自席に戻り、残りの時間もまた黙々…仕事をした。 暫く給湯器で2人で居た事や仲良く出て来た所をジッと見てた人が居たとは気が付かなかった。 この事で、更に俺を悩ます事になろうとは思いもしなかった。

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