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第357話 番外編~和樹ver.~
あと3日で、柏原君や神谷君のバイトも終わる。
柏原君は最後までカタカタ…相変わらずキーボードを打ち込み俺も最後の追い込みをかけ、柏原君同様にキーボードを打ち込んでた。
ここまでは計画通りに進み、あと数枚の資料で商品掲載の仕事は終わりそうだ。
神谷君の事は海から話しを聞いて、俺の中では就活の為の相談と言う事で決着がつき、あと数日と言う事も重なり気持ち的には落ち着いてた。
神谷君は俺に対して相変わらずだったけど…気にしないようにした。
今日も並木さんと営業に回ってる海は午後に1度戻り、また直ぐに会社を出て行った。
相変わらず忙しく飛び回ってる。
一緒に出掛けたと思ってた並木さんが戻って来て自席で仕事を始めた。
並木さんは別の仕事か。
海は1人で車を運転して出掛けたようだ。
「柏原君、今日の分は終わった?」
「はい。明日の分、今日やっちゃいます?そうすれば全部終わりですよね?」
「明日の分はそんなに多く無いし無理にしなくても良いよ。明日の午前中に終わらせて、午後からミスや抜けてる所が無いかチェックする時間に充てよう。前からシステムの方も聞きたいって言ってたでしょ?システムの方は終わってるようだから、今なら川上さんか土田さんに色々聞けるよ。就業時間まで勉強して来なよ。あと3日しか無いからね。時間を見つけて聞くと良いよ。俺も2人にはお願いしといたから」
「ありがとうございます」
「ずっと地道な仕事頑張ってくれたからね。この仕事以外にも柏原君に何か身に付けて貰えれば…と思って。俺もあと少しだから、早く行っておいで」
「ありがとうございます。じゃあ、行って来ます」
柏原君の表情がキリっとし、嬉しそうに川上さん達の所にノートを片手に持ち向かった。
川上さんに頭を下げて近くの椅子を持って来て、2人でパソコン画面を見てた。
本当はシステム系の仕事を手伝いたかったんだろうけど…バイトだからと言う事で地道で単純作業を良く頑張ってくれた。
柏原君には本当にお世話になったな。
少しでも興味のある仕事を勉強できる機会を与えたかった、喜んでくれて良かった。
さて、俺ももう少し頑張ろう。
大人しく仕事をしてた神谷君が動いたのは、就業時間終了間際だった。
デスクワークしてる並木さんの元に行き何か話してた。
そして直ぐに自席に戻り仕事を始めた。
神谷君の行動が気になるけど…気にしない.気にしないと呪文を唱えた。
就業時間が過ぎ仕事を終えた社員達は帰っていく
俺もそろそろ帰ろうかな。
柏原君の方を見るとまだ川上さんとパソコンを前に話しをしてたけど、暫くすると柏原君が席を立ち川上さんにお礼を言って戻ってきた。
「どうだった?」
「凄く勉強になりました。明日も時間あったら他の事も教えてくれるそうです」
「良かったね。川上さんも柏原君の仕事振りを評価してたよ。地味な仕事でも嫌がらず一生懸命やってくれるって」
「ありがとうございます。あまり人付き合いが得意じゃないので、パソコン関係の仕事は俺には向いてるみたいです」
「大丈夫だよ。社会人になれば人間付き合いもどうにかなるもんだよ」
「そうですかね~」
「大丈夫.大丈夫」
俺と柏原君が話してると川上さんが「先に帰るな」と声を掛けてきた。
「今日はありがとうございました。明日も時間あったら宜しくお願いします」
柏原君は席を立ち礼儀正しく挨拶した。
川上さんも手を挙げて応えて、オフィスを出て行った。
ちょっと人見知りな所があるけど、柏原君のこう言う礼威正しい所が可愛がられると思うんだけどなぁ~。
川上さんと入れ替わるように、海がオフィスに入ってきた。
「戻った~。並木、何も無かったか?」
「お疲れ様です。こちらは特に問題はありません」
「そうか」
そんな会話をして2人で社長室に入室して行った
たぶん、海から相手先との商談の内容を聞くんだろう。
海の方も右腕である並木さんの意見を聞くのも、いつもの事で日常茶飯の光景だ。
30分程で社長室から出て来た並木さんが、机の上を片付け帰りの準備をしてた俺と柏原君に声を掛けて来た。
「社長がこれで何か好きな物でも買って来いって一緒に何か買いに行こう」
1万円札をヒラヒラさせ俺と柏原君を誘った。
「えっ! 良いんですか?」
「良いんじゃないの。一昨日に神谷君に奢ってあげたから、柏原君にも何かしたいんでしょ?本当は夕飯でもって思ってるようだけど、ごめんね。まだ仕事あるから」
柏原君は恐縮しながらも、海の気遣いが嬉しそうだった。
俺は何を買って来ようか?既に考え事をしてた。
「俺達だけって悪いですよね~。明日、皆んなの分もお茶菓子買って来ません?」
「良いよ。私と社長は外回りだけど ‘社長から’ って言って15時頃お茶にして良いよ。但し、30分だけね」
「は~い。やったねー柏原君。何、買おうか?」
「本当に良いんですか?俺の事は別に気にしなくても……嬉しいですけど」
「社長の気持ちなんだから良いの.良いの!」
他に2人程残ってた社員の分も買う事にした俺と柏原君と並木さんは近くのお店に買い物に行く事にした。
出先から、たまにお土産と言って差し入れしてくれたり、こうやって気遣いを見せる海は本当に社員思いで、それを解ってる社員の人達も海を社長として慕ってる。
本当に良い会社だ。
それは海の人柄や仕事振りでも解るけど、イチから海が作り上げた会社で、やはり海は凄い‼︎
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