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第370話 番外編~和樹ver.~

「もう、夕日が沈む。暗くなる前に帰ろう」 「うん‼︎ ちょっと待って。海がプロポーズしてくれた、この場所で記念写真撮りたい!」 「解った」 木々から見える空や景色と沈む夕日をバックに、俺と海は頬を寄せ笑顔の写メを数枚と不意打ちに俺の頬にキスする海との写メも1枚。 写メを2人で見て笑った。 凄く幸せそうな顔で笑ってる写真だったからだ。 不安になったら、この写真を見てこの時の事を思い出して、海を信じよう! 「和樹、可愛い~な」 「そんな事無いよ。それは恋人の欲目だよ」 「和樹の可愛さは性格の良さとか心の内が顔に滲み出てるんだ。可愛さや明るさ.優しさ.健気さ.庇護欲を唆る所とかな。放っておけない.支えてやりたいとか.側に居てやりたいと思わせる。そう言う所が男心を唆る。だから和樹を好きになる奴はたくさん居る……不安になる」 俺は海を抱きしめた。 「それを言うなら俺だって。海は美丈夫だし仕事もできるし.男らしいし.心も広いし.優しいし…でも可愛い所もあるし……本当は、俺には勿体ない人だよ。何度も、俺は海には相応しくないと思った事もある……けど、離れたくないんだ。海がこんな俺でも良いって言うなら、いつまでも側に居て離れない。他の人に渡したくないよ」 「和樹‼︎」 俺を抱きしめチュッとキスした。 「やはり、早く結婚の許しを貰わないとな」 半分本音で半分冗談で笑って話す海につられて、俺も笑顔で応えた。 「今から、行く?」 「流石に、それはマズイ。やはり半年以内だな」 クスクスクス…… くっくっくっ…… 「さて、本当に帰ろう」 「うん!」 誰も居ない.見てないから、帰りは前を歩く海と手を繋いで来た道を戻った。 車に戻り直ぐに出発すると思ってたけど、海は少し考えてスマホを弄り始めた。 海は忙しい人だから、休みでも仕事関係の人から連絡があったりもする。 俺は幸せな気持ちで待ってた。 「良し‼︎」 終わったらしい……出発かな? スマホをスーツのポケットに仕舞い運転席から俺に向き直った。 「和樹、家まで待てない‼︎ 和樹を今直ぐに抱きたい‼︎ この先にホテルがある。そこに行く‼︎ 良いな?」 スマホ弄ってたのは……仕事の事じゃなく…その為⁉︎ 俺を抱きたい!と欲してる海が可愛らしくそして嬉しかった。 ‘そこに行く‼︎’ と宣言しながらも ‘良いな?’ と、俺に確認を取る海はやはり俺の好きな海だ。 無理強いはしない所が海らしい。 俺の返事を待ってる海に微笑んだ。 「俺も早く2人っきりになりたいと思ってた。海の好きにして良いよ」 抱かれたいとは恥ずかしくて言えなかったけど、海には俺の気持ちが通じたみたいだ。 海の破顔した顔で解る。 「良し‼︎ 決まった! 予約はしてないが行ってみよう」 「うん!」 海は嬉しそうに車を発進させた。 俺は抱かれるのが決まっててホテルに向かうのは何だかドキドキ……してた。 海の方は嬉しくって仕方ないって顔で気分も良いみたいだ。 その証拠に車の中で流れる音楽に合わせて鼻歌が出てる。 さっきの男らしさとは打って変わって、そんな海が可愛らしく思った。 30分程車を走らせ、国道沿いにあるここら辺では割と高そうなホテルに着いた。

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