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第18話 (和希)
仕方ないから、嘘も混じえて答える。
「俺も帰り、一応、危ないから、送って行ったけど、沙希さんの駅前のカフェで2人で、酔い醒ましで、コーヒーだけ飲んで、話しして別れたよ」チラっと、武史を盗み見る。
無表情だ。
決して、全部が嘘じゃない、コーヒーは、飲んだ、カフェじゃなく沙希さんの部屋だけど。
「なんだ、あの年上の人、和希の事、可愛い、可愛いって気に入ってたじゃん」
「そんな感じじゃなく、弟みたいな感じなんじゃないかな?」
これも、嘘じゃない。母性本能くすぐるって言ってたから。
「まぁ、なんか、和希が女抱くとか想像出来無いよな。だって、ヘタすりゃ、女の子より腰細いし、こんな細い腰で抱けないんじゃないか?」と言って、俺の腰のサイズを測るように手を回す、内田。
「何言ってんだよ。俺だって、男だよ」って、ぷくっと頬を膨らませて、怒った真似してみる。
「マジ、和希、童貞じゃないの?」
それには、答えない。
「武史、付き合い古いんだから、知ってるんだろう、教えろよ」
仕方ないなぁって感じで、武史が
「確か、高2の時、彼女いた。他校の子だったよな?」
何、古い話、持ち出してるんだよ。全く。正確には、高1の秋から、夏前だ。武史と俺は、男子校だったから、中学のツレとグループで遊びに行ってたりしてた内の一人の子と付き合っていた。初めての彼女だ。
武史に女の話とかさせるのは、イヤなんだよな。武史は、女ダメなゲイ。それなのに、俺は、女もイケるけど男の方が好きなバイ。まぁ、最初、付き合ったのが女の子で、童貞捨ててるから、女もイケ訳なんだが、武史に言わせると「中途半端」らしい。
チラっと武史が、俺を見たから、また、中途半端なヤツって思ってるかも。たぶん、武史には、飲み会の後、沙希さんとのHは、バレてると思う。伊達に、長い付き合いじゃないから。少しバツが悪い。
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