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第65話 (武史)
和希と飲みに行って、今、自分のアパートに帰って、部屋で、ビールを飲みながら、物思いに耽っていた。
和希は、気付かないかも知れないが、拓真も和希を意識している。拓真が和希を目で追っているのも、俺は、気づいていた。
たぶん、拓真は、和希が男もイケるとは、知らないから、男同士どうにもならないと思っているか男に走る勇気が、まだ、無いのかも知れない。それか、和希を意識はしてるが、好きまでは、思って無いのかも、知れない。
それならそれでいい。いや、それの方がいい。
和希には、幸せになって欲しいからな。
和希とは、男子校で知り合った。
和希は、家が近いから。俺は、自分の性癖がゲイで、女は、全然ダメだからだ。
高1で、クラスが一緒で、偶然、隣の席だった。
和希は、明るいし、可愛いから、人が周りにいつもいた。
俺は、煩いのは、嫌いだし、自分がゲイなのもあって、周りとは、一線引いていた。
そんな俺に、和希は、普通に話しかけて、俺が無愛想に返事をしても、気にしないでいた。
俺に、声掛けるのは、和希ぐらいだった。
ある時、委員会が終わって、放課後、教室に戻って、入ろうとしたら、中から数人の声がした。
「和希って、保田と良く話、出来るな?」
「えッ、何で?」
「だって、保田、無口だし、無愛想だから、話しかけても、話、続きそうも無いじゃん」
「俺も、なんか分かる」
「そうかな?別に普通に話するよー。まぁ、騒がしいのは、あんまり好きじゃないみたいだけど。それに、無口なのは、余計な事話さないから、信用できるし、無愛想なのは、良く見れば、口の端上げて、密かに笑ってるし、顔に出にくいだけだよ。」
「そうなのか?」
「うん、だから、話しかけて見ろよ。無愛想だけど、きちんと応えてくれるから。誤解されやすいんだよ」
「じゃあ、機会があったら、話してみるか」
そんな話を聞いて、教室には、入らず、暫く、図書室で時間を潰した。
凄く嬉しかった。俺の事をきちんと正面から見てくれていたのが。
和希は、人の事をきちんとみれる奴で信用できると思った。
それから、俺は、少し変わった。相変わらず、無口で無愛想だが、話を自分からもするようになったら、段々、周りも変わってきた。
和希が居なかったら、高校生活は、面白く無かったはずだ。ずっと、周りと一線引いて生活してたかも知れない。
和希に出会えて、本当に良かった。
そんな和希だから、絶対、幸せになって欲しい
だから、アイツには、関わって欲しく無い。
このまま、亮介と付き合って欲しい。
大事な親友だから。
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