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第93話 挑戦状(拓真)
日曜日に、和希のバイト先に晩飯を食べに来た。もちろん和希に会う為だ。
店入って直ぐに、和希が居ない事が分かった。いつもなら、「いらっしゃいませ」と和希の声がするからだ。それが今日は、無い。
注文を取りに来た別のバイトに「和希は?」聞いてみた。
「今日は、予定が入ってるからって休み貰ってたぞ」と言って、注文を取って行った。
なんだ休みか。バイト休むなんて珍しい。じゃあ、今日は、サッサと食べて帰ろうと深く考えなかった。明日、大学で会えばいいと思っていた。
和希に会う為に学食に向かった。
A定をトレ-に乗せ、学食を見回すと、和希と武史を発見。一緒に食べようと席に近づいて、和希の隣に座る為、和希の後ろを通る時に見えた
何となく、和希が何食べてるか、偶々、後ろを通る時に覗き込んだからだ。和希がうどんを啜っていた時、襟首に1カ所だけ赤紫になってる
目を見開いたのが自分でも分かった。その場で暫く襟首をジ-と見ていた。声掛けられて始めて、体が動いた。
「拓真、何、突っ立てるんだ?」武史が向かい側から聞いてきた。
「和希、うどんだけで足りるのかな?って思ってた」と言って、和希の隣に座った。
それから少し経って、中嶋が来た。
武史の隣に座って4人で話してるが、俺は、上の空で聞いていた。
1人で考えたかったから、大学終わって直ぐにアパートに帰った。
ビ-ル飲みながら、今日見たのは、本当にキスマ-クだったのか?見間違いか?昨日バイト休んだのは、アイツと会ってたからか?付けたのは、アイツか?頭がパンクしそうだった。
散々、考えて、アレは、キスマ-クだと結論付けた。そして、和希が気が付いて居ない事、セックス中たぶん後背後からじゃないと付かない場所という事、見えるか見えないかという場所に付けたのは、確信犯だということ。
自分の者だという刻印のつもりだろう。
俺には、挑戦状だと思った。そっちがそういうつもりなら、受け立つ。絶対奪い取ってやる。
ビ-ル缶を握り潰す。
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