93 / 379

第93話 挑戦状(拓真)

日曜日に、和希のバイト先に晩飯を食べに来た。もちろん和希に会う為だ。 店入って直ぐに、和希が居ない事が分かった。いつもなら、「いらっしゃいませ」と和希の声がするからだ。それが今日は、無い。 注文を取りに来た別のバイトに「和希は?」聞いてみた。 「今日は、予定が入ってるからって休み貰ってたぞ」と言って、注文を取って行った。 なんだ休みか。バイト休むなんて珍しい。じゃあ、今日は、サッサと食べて帰ろうと深く考えなかった。明日、大学で会えばいいと思っていた。 和希に会う為に学食に向かった。 A定をトレ-に乗せ、学食を見回すと、和希と武史を発見。一緒に食べようと席に近づいて、和希の隣に座る為、和希の後ろを通る時に見えた 何となく、和希が何食べてるか、偶々、後ろを通る時に覗き込んだからだ。和希がうどんを啜っていた時、襟首に1カ所だけ赤紫になってる 目を見開いたのが自分でも分かった。その場で暫く襟首をジ-と見ていた。声掛けられて始めて、体が動いた。 「拓真、何、突っ立てるんだ?」武史が向かい側から聞いてきた。 「和希、うどんだけで足りるのかな?って思ってた」と言って、和希の隣に座った。 それから少し経って、中嶋が来た。 武史の隣に座って4人で話してるが、俺は、上の空で聞いていた。 1人で考えたかったから、大学終わって直ぐにアパートに帰った。 ビ-ル飲みながら、今日見たのは、本当にキスマ-クだったのか?見間違いか?昨日バイト休んだのは、アイツと会ってたからか?付けたのは、アイツか?頭がパンクしそうだった。 散々、考えて、アレは、キスマ-クだと結論付けた。そして、和希が気が付いて居ない事、セックス中たぶん後背後からじゃないと付かない場所という事、見えるか見えないかという場所に付けたのは、確信犯だということ。 自分の者だという刻印のつもりだろう。 俺には、挑戦状だと思った。そっちがそういうつもりなら、受け立つ。絶対奪い取ってやる。 ビ-ル缶を握り潰す。

ともだちにシェアしよう!