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第94話 約束(拓真)

週末以外は、和希と過ごす時間を多くする為にLINEしたり、遊びに誘ったり今迄より多くした 和希のバイト先に晩飯も和希が終わる時間の1時間前に入って帰り一緒に帰ったり、早い時間に食べた時は、時間を潰して待って一緒に帰ったりと工夫して少しでも一緒に居る時間を増やした。和希もなんの心境の変化か、前は、困った顔で誘いに応じてたが、今は、仕方ないなぁって顔で笑いながら応じてる。 今日も和希のバイトが終わるのを待ちながら晩飯を食べていた。客足も一段落して、片付けにちょこまかと動いている。本当に小動物みたいだ。可愛いなぁと見ていたら、「拓真、コ-ヒ-飲む?」と聞いてきた。 頼んで無かったから「いいのか?」と逆に聞いた。 「うん。少し時間経ったヤツだから、味落ちてるけど」 「じゃあ、貰う」こういう何気無く、気にかけてくれるのが嬉しいし好きだなぁと思う所だ。 コ-ヒ-を持ってきた時に「ありがとう。もう少しで終わりだろう、飲んだら、外で待ってるから、一緒に帰ろう」と言う。和希は、やはり仕方ないなぁって顔で「分かった」と言って、また、片付けに戻って行った。 外で待ってると、少し経ってから、和希が来た。2人で、駅まで、ゆっくり歩き出す。 「和希、バイトこれから忙しくなるのか?忘年会とか飲み会多くなるよな」 「どうだろう。たぶん普段よりは、確実に忙しくなるかも」 「バイトの日、増やすのか?」 「まだ言われて無いけど、頼まれたら考える」 「じゃあ、クリスマスは、一緒に過ごせないか?花火見たから、今度は、イルミネーション一緒に見よう。良いところ探しておくから」 「たぶん、クリスマスは、予定入ると思うし拓真、女の子から誘われてるでしょー。俺なんかより、そっちと過ごした方がいいよ」と笑う 「俺は和希と過ごしたいの。クリスマスの日ダメなら、前の日行こう。俺と見に行きたく無いのか。やっぱり、避けて……」全部は、言わなかった。和希なら察して 「拓真と行きたく無いなんて思って無いよ。 ………。じゃあ、前日なら。でも、女の子に誘われたら、気にしないで、そっち行ってね」 やっぱり、そう言うと思ったから。ワザと拗ねた感じで断れないように言ったんだ。和希は、優しいから、断れないと思ったんだ。 「マジ。やった-。絶対、断われると思ったから、マジ、嬉しい。どこ行こうかな、あー、楽しみ」分かっていても、やっぱり嬉しい。 「イルミネーション見るだけだよ?そんな喜ば無くっても」と、また、笑う。 和希、前より俺と居ると可愛い顔で笑うようになった。少しずつ距離が縮まってきていると感じて、それも嬉しい。 そうやって、和希とイルミネーションを見に出かける約束を取り付けて、駅に向かった。

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