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第96話 迷恋(和希)

そんな拓真と亮介の水面下での攻防を知らない俺は12月に入ってどの店も街並もクリスマス一色になっていた。 今日もバイト帰りに拓真が店の前で待っていた 「和希、お疲れ」 前の俺だったら困ってたが今は拓真が待ってる事に慣れてしまった。 「拓真、寒く無い?無理して待って無くっていいんだよ」もう、外で待ってるには寒い季節になっているからだ。 「イヤ。さっきまで本屋に居たし。和希と一緒に少しでも居たいんだ、駅迄でもな」 前もこんな事を言ってたが最近は更に思わせ振りな事を言うようになって、俺は勘違いしそうになってる。 拓真どういうつもりで言ってるんだろう。でも、その事は聞いてはいけない気がして黙っていた。 「……。そっか、風邪引かない内に帰ろう」 2人で歩き出すと。 「和希、イルミネーションいつ見に行く?23日でいいのか?クリスマスの前日って言ってたよな」 その話を言われた日から今日まで言ってこなかったからその話は、無くなったと思っていた。 「え-と。今年のクリスマスは金曜日が23日.土日が24と25だから。ごめん。週末休み貰うから23日バイト入れちゃった。ごめん」 少しムっとした顔で。 「はあ-。俺、23日だと思って楽しみにしてたんだ。何だよ、それ。じゃあ、22は?もう、その日以外は受付け無い」 俺は悪いことしたなぁと思って。 「ごめん。もうその話し無くなったのかと思ってたから。ごめん。22日ならバイト無いからいいよ」 「今度は約束だぞ。少し遠くてもいいか?LINEするから。今、イルミネーション沢山あって、何処が良いか迷ってるんだ」嬉しそうに話している。 「拓真に任せるから。決まったら、LINEしてくれればいいよ」 「分かった。待ち合わせと時間もな。22はドタキャンは許さないからな」と本気じゃないが怒った風で言う。 「うん。ドタキャンはしないよ」 「あー楽しみ。なんかいっぱいあって目移りするんだよ。和希が好きそうなのが沢山あって」 「拓真の好みでいいから」 あの拓真が俺の為に考えてくれた事が純粋に嬉しいかった。 いつも女の子には面倒くさいとか言って自分から動かない拓真がこんなに楽しみにしてるなら 俺もその日は何も考えず純粋に楽しもうと思った。

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