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第100話 迷い(和希)

拓真とは帰りの電車でも2人無言で外の流れる景色を見ていた。 駅で分かれる時に「和希、今日は楽しかった。色々言ったが和希の事好きなのは本当だ。今までこんな気持ちになった事は無い。和希も知ってると思うが俺はこれまで適当に女と遊んでた女の方も俺の事、一緒に歩く飾りか外見だけで寄ってくるだけだからな。でも和希は本当の俺を見てくれる。和希、俺の事ちゃんと考えてくれ。好きなんだ」と言われ俺は今日拓真に言われた事をアパートで1人膝を抱えて考えていた。拓真の事だけじゃなく亮介の事も考えていた。 拓真に好きだと言われた事は凄く嬉しかった。 やはり心の底ではまだ、拓真の事が好きって言う気持ちがあったからだ。諦めた気持が……。 でも拓真へのどうにもなら無い気持ちの時亮介に会って凄く救われた。亮介の優しさ、一緒に居て楽しい気持ちも嘘じゃない。亮介の事好きになり始めてもいた。クリスマス一緒に過ごした時にこのままお試しじゃあ無く付き合っていこうって言うつもりだった。その気持ちが拓真に好きだって言われただけで揺らぐ。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。あたまの中はどうしようと一杯だった。その日は考えが纏(まと)まらなかった。 寝不足のまま次の日はバイトをし亮介と会う日になりこの2日間考えた事を亮介に正直に話す事にした。 昨日の夜、亮介から電話があった。 「和希、明日、外で待ち合わせするか?クリスマス一色だから観て回るのも楽しくねぇ。帰りりケ-キっとシャンパン買ってさ。どう?」 亮介が楽しそうに話すのを聞いて堪らなくなった。 やっぱり亮介と………。まだ迷っている。 「……亮介。明日、話しがあるからアパートに行っていい?」このままの気持ちでは亮介と向きあって楽しめ無いと思って言った。 「……。解った。じゃあケ-キとシャンパンは用意して置くな。あー和希と初めてのクリスマス楽しみ-」と言って電話は切れた。 優しい亮介。一緒に居て気持ちが軽くなり楽しくしてくれる亮介。カッコいい亮介。亮介のいい所が次々頭に浮かぶ。 涙が止まらなかった。 そうして今、俺は亮介のアパートの前に居る。

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