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第101話 決断(和希)
コンコンとノックしドアが開く。
「和希、寒かっただろう。入れよ」優しい亮介は俺をいつも気遣ってくれる。
「ありがとう」と言って部屋に入りラグに座るとココアとコ-ヒ-を持ってきて「冷めない内に飲めよ」と言って自分もコ-ヒ-を飲む。
ココアを1口飲んで今言おうと口を開いた。
「亮介……あの…」言おうと思ったら 亮介が
「ケ-キとシャンパンは買って冷蔵庫閉まってあるけど、やっぱクリスマスはチキンが必要だな後何か食べたいもの買ってこよう。後、レンタルショップに行ってDVD借りるか?」今後の予定を楽しそうに話す亮介を見つめて、やっぱり言わない方がいいのか?と考えてた。でも、この中途半端な気持ちのままでは亮介に悪いと思って、また口を開いた。
俺は頭を下げて「亮介、ごめんなさい。俺、やっぱり亮介とは付き合え無い。ごめん」一気に言った。
「理由は?」亮介は怒りもせずにに淡々と話す。
俺は言うか言わないか迷ったが言わないと亮介が納得しないだろうと「理由は……。正直に言う……亮介の事嫌いとかじゃ無い。亮介、優しいし一緒に居て楽しいし亮介の事好きになりかけてるのも本当の気持ちだけど……それ以上にやっぱり拓真が好きなんだ」等々言ってしまった。迷って居たがもう後戻りは出来ない
「やっぱりな。話があるって言われた時から嫌な予感してたんだ。でも、もしかしたら俺を選んでくれるんじゃないかと少しだけ思ってた。俺じゃあ駄目なのか?本当に」亮介は顏を歪めながら話す。
そんな顏させたくなかったのに、俺は優しい亮介を傷付けている事に心臓がギュッなった。
「ごめん。亮介と付き合った方が幸せになれると思う。頭では解っているんだ。本当に散々悩んで迷ったけど気持ちが駄目なんだ。亮介には本当に救われたのに、ごめん」もう1度頭を下げた。
「……和希が悩んだのは目を見れば判るよ。玄関開けた時から目が真っ赤になってたからな。俺の正直な気持ちを言えば、どうして俺を選ばない。俺の方が和希を何倍も好きだ。大事にするから。離したく無い。ってのが正直な気持ちだ。でも、駄目なんだろう?」と亮介も泣きそうな顏に変わった。
「ごめん。亮介の気持ちは凄く嬉しい。今亮介を選ば無かった事を後悔するかもしれない無いけど……それでもごめん」涙目だったが泣いちゃいけないと我慢した。
「……そっか。……和希は一途で正直だからなそこが好きな所でもあるが今はキツイ。……最初から年末迄のお試しだったし、それ迄にどちらかが辞めようと言ったら辞める話だったからな。あの時きちんと付き合ってれば良かったなまさかこんなに好きになるとは思ってなかったらからな。あの時は。」
何も言えず「……ごめん」頭を下げて謝った。
「……和希。せめて今日は何も言わずクリスマス一緒に過ごしてくれれば良かったのに……もう、無理だな」って涙を流した。
あのいつも笑っていた亮介が……と思ったら、見て居られなくなって、立ち上がって
「亮介の気持ちに応えられなくってごめん。こんな中途半端な気持ちだからもう会わない。亮介には幸せになってほしいから」と言って玄関に向かった。
「……」亮介は黙っていた。
俺は靴を履き玄関の棚の上に捨ててもいいからって思いながら、亮介の為に買ったクリスマスプレゼントを置いて玄関を出た。
玄関を出て、直ぐに涙がポロポロと出たが泣くのは家に帰ってからだと走って駅迄行った。
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