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第104話 日の出・亮介(和希)

クリスマスに亮介と別れた事を話した。 「そうか、だったら俺を選んでくれたんだな」って拓真は嬉しそうに話す。 拓真の顔を見て首を振る。 「何でだ。俺を選んだから別れたんだろ」嬉しそうな顔からどうしてって顔に変わる。 「亮介と別れたから直ぐに拓真と付き合え無いよ亮介を傷つけて自分だけ幸せには慣れ無い。罪悪感持って拓真と付き合っても上手くいかない。少し時間が欲しい」と今の気持ちを言った。 「そんな別れた奴の為に何で俺達が付き合え無いんだ俺にはわかんねぇ。自分の幸せ求めるのに誰に遠慮するんだ。」拓真なら自分の気持ちを優先するんだろうけど俺は無理だ、解って貰え無いかも知れない。 「拓真ならそう出来るだろうけど俺は……今は無理だ。拓真が待てないと言うなら俺の事は忘れていい。どうするかは拓真の自由だから俺は何も言え無い」胸が張り裂けそうだった。拓真と本当は付き合いたい、お願い俺を諦め無いで居て、拓真が好きなんだ心の奥底ではそう思って居る。でも亮介の事を考えると直ぐには付き合え無いのも本当の気持ちだった。 俺の話を黙って聞いていた拓真の返事を聞くのが恐くなって俯いてしまった。 黙って考えていた拓真が口を開いた。 「和希、俺の事好き?」何故?今更と思ったが 「拓真が好き」素直に言った。 また、暫く考えて「ああ仕方ねぇな。……和希の人の気持ちを考えられる所が好きなところでもあるんだからな。俺も和希が好きだ。解ったよ。待ってやる、但し何時迄もって訳にはいかない。そうだな。3カ月迄それまでに自分で折り合い付けろよ。春には2人で花見行きたいからな約束だぞ」って俯いていた俺の頭を優しく撫でた。 拓真が言ってくれた先の約束が嬉しくって涙が出て、涙を拭いながら「うん」と返事した。 「日の出を見よう」と店を出る薄暗い街を手を繋いで歩いて行くと川岸の土手の上に着いた。隠れスポットらしく何人か日の出を待っていた 川岸の向こうから薄暗い空がオレンジ色に染まって徐々に日が出てきて明るくなってきた。さっき迄寒かったが日の光を浴びて暖かく感じる「オレンジ色に染まって綺麗だね。何かあったかいね」って言った。 拓真も「そうだな。俺、初詣も日の出も年の始めを和希と一緒に過ごしたかったんだ」と言った拓真の顔もオレンジに染まって綺麗だった。 「ありがとう。あっ、拓真明けましておめでとう。忘れてた言うの」日の出に見とれて、違う拓真に見とれてたんだ。 「俺も忘れてた。和希、おめでとう。今年もよろしくな」って軽くチュっとキスされた。 「今年の初キスな」って照れてる拓真を見て手をギュっと握って何も言わず抱きついた。 その日から友達の範囲内でお互い過ごした。 サ-クルの仲間と飲みに行ったりカラオケに行ったりした。時々俺のバイト先で 晩御飯食べたに来た時は一緒に帰った。そんな日々を過ごし拓真も何も言わずに居てくれた。 2月の中旬にサ-クルの先輩の追い出しコンパがあった。1次会は大人数で席も何グル-プかに分かれて座り俺は武史と一緒に可愛がってくれてた先輩達の席で飲んでいた。拓真も内田とやはり高校からの先輩達と飲んでいた。1〜2年が芸や馬鹿な話をして場は凄く盛り上げがった。 2次会は飲みに行く者、カラオケに行く者と分かれ武史は1次会で帰るって言って、俺は先輩にカラオケに連れられて来た。カラオケの部屋の中には拓真と内田も居て、他には先輩と後輩合わせて10人近く居た。 酒が進む内にタンバリン待ったり間の手を打ったり踊り出したりと場は盛り上がってきていた。 1時間程して俺は飲み過ぎたかとトイレに行って少し休憩しようとカラオケ部屋を出て歩き出した、トイレの手前の部屋からドアが開いて出て来た人とぶつかりそうになって「すみません」って謝って相手の顔を見たら、そこには亮介が立って居た。 まさかこんな所で会うと思って無かったのか驚いた顔で「驚いたな。こんな所で会うなんて。……和希、元気だったか?」と声を掛けてくれた。まさか声掛けてくれると思わなかったから凄く嬉しいかった「うん。元気。亮介は?」涙目になりながら聞いた。「まぁな。和希に振られて暫くは落ち込んたけど、落ち込んでも和希は戻って来ないからな。気持ち切り替えて復活中だ」って少し吹っ切った顔して笑って言ったが亮介の俺を責め無い気付かう優しさが心苦しかった、溜まっていた涙だ溢れて頬を伝う。 「和希泣くなよ。ここじゃあれだな。ちょっとあっちの隅で話さないか?」って歩き出したから涙を拭きながら着いて行った。 2階と3階の間の踊り場で「此処なら大丈夫か。……和希」言いにくいそうに「「和希さぁ、拓真って奴と付き合ってるのか?」って聞かれて黙って頭を左右に振った。 「何で?俺に遠慮してんのか?」遠慮なのかどうかは解らないけど「……。亮介と別れて直ぐに付き合え無いよ。それは拓真にも言ってる」今の状況を話した。 「和希って本当、馬鹿正直だよな。まぁそこがいいんだけど。……俺和希と会うまで誰と付き合っても直ぐ冷めたんだ。でも、相手に一所懸命に慣れる自分も悪く無い。和希とお試しでも付き合えたのは大事な思い出だ。もう俺の事は大丈夫だから和希自分の幸せ考えろよ」また、亮介の優しさで涙が出て「ありがとう。俺も亮介と付き合えたのは大事な思い出だよ」胸がいっぱいでそれだけ言うのが精一杯だった。 亮介が「そっか」って言って慰める様に俺の頭を撫でてくれた。 そこに拓真が現れて撫でて居た亮介の手を乱暴に掴んで振り払った。

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