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第118話 夏休み(拓真)

夏休みの始めの方はお互いバイトを頑張りお金を貯める事にしていた。 俺は実家に帰り毎年恒例の叔父さんの会社でバイトをする事は決まっていた、2週間みっちりバイトして叔父さんの別荘を借りる話も毎年の事だが今年は和希を連れて行き静かな所で誰にも邪魔されず2人っきりで過ごす予定だ。 和希も俺が居ないならバイトを沢山入れて休みを確保すると言っていた。 お互い先の楽しみの為に頑張ろうって言って笑った。 離れていても会おうと思えば会えたが離れ難くなると思い毎日のLINEで我慢した。 俺も叔父さんの会社でヘトヘトになるまで頑張った。 「なんだ、今年はやけに気合い入ってるな」って叔父さんに言われる位だ、自分でも和希と過ごせると思えばやる気が出てくる。 毎日のLINEでは、お互いのバイトの事とか課題やってない.別荘楽しみとかLINEしていた。 みっちり2週間バイトして叔父さんの別荘を8月入って直ぐに1週間借り車も借りた。 別荘行く前の日にLINEで和希のアパートに迎え行くと話してあるが車で行ったらびっくりするだろうなと考えて、その時フッと大学に車で和希を迎えに来て車の中でキスしていた和希と亮介を思い出した。 「なんで今頃こんな事思い出したんだ、終わった事だ」 自分に言い聞かせるが「くそぉ」さっきまでウキウキしていた気分がムカムカに変わった。 「もう、和希は俺のだ、和希の好きな奴は俺だ」 口に出すとホッとした。 たぶん俺は和希を誰かに取られるんじゃないかという不安が心の奥に少しあったのかも知れない。 トントン…。 ドアを開け 「拓真、久しぶり」 「和希も元気だったか?用意できてる?」 「うん、できてるよ」 バックを持ち車まで一緒に行くと 「えっ、拓真って車持ってたの?」 「俺のじゃねぇよ、叔父さんの車、2台持ってるから借りた。あっち不便だからな、1人の時は適当にチャリとかで動いてたけどな」 「そうなんだ、ありがと」 「いいからほら、乗れよ」 助手席に乗るのを確認してから出発した。 「拓真の叔父さんの別荘ってここからどの位?」 「長野だからなぁ。4時間弱だな」 「どんな所なの?」 「別荘地で山の方だから夏は涼しくっていい。ただ買い物は不便だからな。ある程度必需品は揃ってるが食品は多めに買ってから行こう」 「なんか合宿とかキャンプみたいで楽しみ」 ワクワクしてニコニコ話す和希が遠足行く前の子供みたいで可愛い。 「何にも無いけど静かでいい、課題も捗るしな」 「はい、はい。ちゃんと課題も持って来てます。全く拓真は変な所真面目なんだから」 「2人でやった方が早く終わるだろう。そうすれば夏休み後半焦る事ないしな」 「まさか勉強合宿じゃないよね?」 恐る恐る聞いてくる和希に 「まさかだろう。俺だって和希と一緒に居たかったからだよ」 「拓真……俺も」 良い雰囲気で車の中は過ごし途中休憩を挟みサ-ビスエリアで軽く食べ別荘近くの町で食材やらお菓子.飲み物を買い込んで別荘に着いた。 これから1週間和希と2人っきりと思えば俺のテンションも上がる。

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