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月の腕(かいな)に抱(いだ)かれて2※

「ぁぁ……っんぁ…っあぁ……っ」 身を捩る樹の口から、甘えた仔猫のような声が次々と漏れ出す。月城は後ろから突き入れた細めのディルドの角度を少し変えた。 「どう? これ、苦しく、ない?」 「あっ……んぅ……っん、ん、」 あらかじめ、ローションの中にあまりキツくない薬を混ぜてある。それに、巧が使うものよりも出来るだけ細い道具を選んだから、痛みはなさそうだ。 樹は、姿見の前で両足を踏ん張り、少しこちらにもたれかかるような体勢で、月城の愛撫に鳴きながら身悶えている。 出口を塞がれたペニスは、完全に上を向いて勃ちあがり、樹が喘ぎ身を捩る度に頼りなげに揺れている。幼い顔立ちとまだ大人になりきれていない身体。下腹で揺れるその部分だけが、グロテスクなくらい淫らだ。 月城は、姿見の横に仕掛けてある監視カメラのレンズをちらっと見た。今この瞬間も、遠く離れた自宅のリビングで、巧はこの残酷な宴を見守っている。巧からの電話の指示に、月城は酷く動揺していた。あの人は、樹をどこまで追い詰めたら気が済むのだろう。 もうこれ以上、あの人のやることに、自分はついていけない。 足音は近づいているのだ。 目の前で愛らしく淫らに悶える樹にとって、1番残酷な瞬間は、刻一刻と迫っている。 いっそ、逆らってしまおうか。 このまま、樹を連れて、一緒に逃げようか。 あの人の手の届かない場所まで。 内心の惑いを見透かしたように、胸ポケットの携帯電話が震えた。 月城は一瞬ビクッと飛び上がり、空いている方の手で携帯を取り出して画面を確認する。 やはりそれは巧からの着信だった。 「そろそろだ。もっと樹を狂わせろ」 一言だけで電話は切れた。 月城は、携帯電話を床に叩きつけたい衝動を必死に堪えてポケットに仕舞い、震える手を動かして、樹の1番感じる場所に、ディルドを押し当てた。 「あうっ……んっあ、ああ……っあ、」 大きく喘いで仰け反る樹の身体を、抱きとめる。強すぎる快感にぶるぶると身を震わせ、髪を振り乱して甘ったるく鳴く樹が哀れだった。 もうすぐ訪れる残酷な宴の終わりを、この子は何も知らないのだ。 月城はいったんディルドを引き抜き、樹の身体を半ば抱えるようにして、ソファーに連れていった。くったりとくずおれ、はあはあと喘ぐ樹を見下ろしながら、月城は素早く服を脱ぎ始める。心は萎えきっていて言うことをききそうにないから、薬で無理やり昂らせた己のモノを、手で握ってゆるく扱いた。完全には勃起しないソレをなんとか勃たせ、ソファーに横たわる樹に覆いかぶさる。 玄関の鍵は開けてある。 樹を救い出すために、あの男は今、必死にこちらに向かっている。

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