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月の腕(かいな)に抱(いだ)かれた星10※

頭の中が沸騰している。 樹の身体を思うがままに好きにしていた月城に対する嫉妬の炎で、どうにかなりそうだった。 薫は、絡みつく樹の手を振りほどくと、シートベルトを乱暴に外して、助手席に身を乗り出した。 もがく樹の身体に覆いかぶさり、樹のシートベルトも外して、リクライニングを倒す。 車内は狭かったが、自分の下ではあはあと喘ぎながら震える樹に、逃げ場はないのだ。 細い肩からガウンを引き下ろし、剥き出しになった白い肌にむしゃぶりつく。 「やっぁ、に、さん、あ……あぁっ」 首筋にちゅっと吸い付くと、樹は甘ったるく鳴きながら仰け反った。 しっとりと滑らかで敏感な肌。喘ぐ樹からたちのぼる、甘くて妖しい香り。ブレーキをかけるはずの理性など、根こそぎ吹き飛んでいく。 「樹……っ」 薫は唸りながら、樹の首から顎に唇と舌を這わせていき、たどり着いた甘い吐息の漏れる場所にしっとりと唇を重ね合わせた。 一瞬びくんと大きく震えた樹は、抗いもせず差し入れた舌にちゅうっと吸い付いてきた。 濡れた粘膜が吐息と共に、ねっとりと絡み合う。 ようやく捕らえたその唇は、心が震えるほど甘かった。 「んんっふ……んぅ……っん」 樹は鼻から可愛い喘ぎを漏らしながら、深すぎるキスに夢中で応えている。 頭の中を焼き尽くしそうだった激しい嫉妬は、自分をあっさりと受け入れてくれた樹への愛おしさで、別の熱を帯びて蕩けていく。 薫は、夢中でその甘い蜜を吸いながら、手のひらを樹の肌に這わせ始めた。しっとりと汗ばんだその肌は、すべすべしていて心地よい。 薫は口づけを解いて、樹の潤んだ瞳を見つめた。 「樹。おまえが欲しい。おまえの中に、はいりたいんだ」 「……っ」 樹は目を大きく見開いた。その瞳から、また大粒の涙が零れ落ちる。何か言おうと震わせた唇を、再び強引に塞いだ。 樹の口から、今、拒絶の言葉は聞きたくない。 ……ごめん。樹。おまえが嫌がっても、俺はもう止められない。 薫は樹の下半身へと手を伸ばした。 さっき見てしまった樹のペニスの縛めは、どういう構造になっているのか分からないが、ちょっといじったくらいでは外れそうにない。 手を滑らせて小さな尻に触れてみる。 柔らかい双丘の手触りを味わいながら、その奥の割れ目に指を滑らせていった。 深過ぎる口づけに、まるで溺れたように喘ぎながら震えている樹には、やはり抵抗するような気配は感じない。 割れ目をつーっとなぞっていくと、密やかに息づく樹のその場所にたどり着いた。 おそらくはローションだろう。そこはくちゅっと音がするほど濡れていた。 月城との行為を不本意に中断された樹の下の口は、薫の指先をさしたる抵抗もなく受け入れていく。 ずぶずぶと指を突き入れながら、また目眩がしそうなほどの嫉妬が込み上げてきた。 この場所を、自分以外の男に許していたのだ、樹は。それは許しがたい裏切りだった。 ……おまえは、俺のものだ。

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