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月の腕(かいな)に抱(いだ)かれた星16※

震える小さな身体を抱きしめながら、ベッドに転がった。 樹が望んでくれるなら、ただ抱き締めているだけでもいい。一晩中だって、何日だって、こうして抱き締めてやりたい。 「樹……」 「にいさん」 しがみついてくるほっそりとした身体。さっきの行為の余韻を引きずってか、燃えるように熱い。 薫は華奢な身体を潰さないように加減しながら、上から覆いかぶさり、樹の顔を見下ろした。 うっとりと見開いたままの大きな瞳は、こちらに焦点を合わさない。 拒絶されているようで苦しくなるが、樹の手は自分の背中に回されている。細い指で痛いほど掴まれて、その痛みですら愛おしい。 「樹……」 ごめん、すまないと、謝ろうとする自分を必死で押し殺す。 「ぎゅうって、して……?」 ため息のようにまたこぼれ落ちる樹の虚ろな声に、薫は堪らなくなって、その赤い唇を奪った。 「っんぅ……」 深く深く食べてしまいそうに深く、唇と舌を絡ませる。少し苦しげに震える身体を力一杯抱き締めた。 このまま境がなくなるほど混じりあってしまいたい。もう、離したく、ない。 無意識に零れ出た涙が、樹の頬にぽたりと落ちた。樹の流す涙と溶けて混じって、どちらのものか、もうわからなくなる。 全身をぴたりと隙間なく合わせ、絡み合いながら、激しい口付けは長く続いた。 やがて、くったりと身体の力を抜いた樹に、薫は、はっとして口付けを解く。 「……樹……大丈夫、か……?」 閉じた目蓋がふるふるして、ゆっくりと樹が目を開けた。その瞳は涙に濡れて真っ赤だったが、焦点が合っている。 やっと、自分を見てくれたのだ。 「に、さん……」 「っ、苦しく、ないか?」 樹はふうわりと微笑んで、ゆっくりと瞬きをすると 「だいじょぶ。にいさん……」 その後に続いた微かな囁きに、薫は目を見張った。 「いや、でもおまえ、もう……」 「抱いて?僕の中……もっと、ぐりぐり、して?気持ちよく、してよ」 「樹……だが」 「足りないの。僕、もっと、欲しい。中が……熱くて、苦しいから」 樹の声音に艶が増す。それはトロリとした蜜のように甘くて……ぞくっとするほど淫靡な響きを滲ませていた。 薫はゴクリと唾をのみこんだ。 「いいのか……?俺で。俺が、はいっても、いいのか?」 「うん……にいさんのが、欲しいの。ちょうだい?」 自分を見つめる樹の目が、妖しく煌めいている。覚えのある甘い香りが、一気に強さを増す。薫は、はぁ……っと熱い吐息を漏らすと、妖しく誘うその小さな唇に、噛み付くように唇を重ねた。

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