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袋小路の愛3
風呂場から出て、濡れた樹の身体をバスタオルで丁寧に拭いてやる。
真っ白な肌には、点々と紅く、情欲の名残が散っている。水気を拭き取りながら、その愛の証にそっと口づけると、樹はぴくんっと震えて、微かな吐息を漏らした。
首筋、肩先、鎖骨の窪み。
愛しさを込めて、唇を滑らせていく。
ボディソープの残り香に、ほんのりと甘い香りが混じっている。
樹は全裸の身体を隠そうともせず、されるがままに大人しくしていた。
やがて胸の小さな飾りへと唇が辿り着くと、ようやく夢から醒めたように、樹は小さく身を捩った。
「にいさん、また……するの?出掛けないの?」
薫は、淡い桜色の頂きにちゅっと音を立てて口づけると
「いや。出掛けるぞ」
囁く言葉とは裏腹に、再び尖りに唇を押し当てる。舌先で、まだ反応の薄いそこをちろちろと舐めると、樹はあっ…っと掠れた声をあげ、もじもじしながら肩をぎゅっと掴んできた。
「感じるか?」
上目遣いに樹の顔を見る。樹はせつなげに目を細め、こちらをじっと見下ろしている。
薫がわざと舌を見せつけるようにして乳首をぺろぺろ舐めあげると、いっそう目を細め、甘い息を吐いた。
「だめ、に、さん。ムズムズ、してくる」
樹が恥ずかしそうに脚を捩り合わせた。
薫はつぷっと主張し始めた粒を少し強めに吸ってから、唇を離し
「そうか。出掛けられなくなるな」
屈んでいた身体を起こし、樹の髪の毛をタオルでゴシゴシ拭き始めた。
ふと見ると、樹は乱れた髪の毛の隙間からこちらを恨めしげに見つめている。
「なんだ。もっとして欲しかったか?」
薫が微笑んでそう言うと、樹は目を見張り、頬に朱を散らして、慌てたように首を横に振った。
樹の髪の毛を拭きながら、薫は時計を確認した。
もうこんな時間なのに、父親も叔父も来ない。
ほっと安堵している自分がいて、複雑な気持ちになった。
……着替えたら、出掛けよう。
手持ちの金は使ってしまっても構わない。
樹と……楽しい時を過ごす。
薫はそう心に決めると、樹の頭をぎゅっと抱き締めて、迷いを振り切った。
「よし。服を着て出掛けるぞ」
明るく宣言して、樹を離し、クローゼットに向かおうとすると、樹に手を引っ張られた。
「ん?どうした?」
振り返ってにっこり微笑むと、樹はまた不思議そうに首を傾げて
「にいさん、どこ、行くの?」
「まずは美味いものを食いに行こう。樹。何が食べたい?」
樹は大きな瞳で物言いたげにじっとこちらを見つめていたが、やがて目を伏せ
「何でも、いい。にいさんが、食べたいもので」
小さく呟いた。
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