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袋小路の愛24※
息を詰め、その甘美な放出の誘惑を退ける。
危ないところだった。樹の中は気持ちよすぎる。
薫はなんとかやり過ごすと、詰めていた息を吐き出し、樹の滑らかな背中に舌を這わせた。
「ぁ……ぁあ……ぁ……ん」
擽ったいよりは感じているのだろう。樹は愛らしく鳴きながら背中をくねらせた。
「樹……おまえの中…熱くて気持ちいいよ」
滑らかな肌を唇と舌でなぞりながら、合間に囁くと、それに応えるように樹の身体が震えて中がきゅっきゅと締まる。
心地いい痺れが下腹から腰をじわじわと侵す。
薫は込み上げてくる欲情に身を任せ、ゆったりと腰を回しながら動き始めた。
「ぁ……ぁん…ぅ…あ、ぁ……」
宵闇の静けさの中に溶けていく樹の声が愛しい。
薫は腰を大きくグラインドさせた。
「っっっんぅ…っ」
びくびくっと震えて樹は首を仰け反らせた。
その声に苦しげな色はない。
清楚でまだ幼い柔肌が薄紅色に染まり、官能を身に纏い始める。独特の甘い香りがその肌から立ち上った。胸いっぱいにそれを吸い込むと、狂おしい欲情がふつふつと湧いてくる。
薫はぎゅっと眉を寄せ、樹の身体を貪り始めた。
穏やかな心地よさが狂喜に変わる。狭い隘路を掻き回し擦りあげる快感の誘惑に、もう抗えない。
ずりずりと引き抜き、角度を変えて奥へと押し込む。樹の襞はペニスにねっとりと絡みついて、きゅうきゅう絞りあげてくる。
……ああ……いいっ。ああ、いいっ。
脊髄から脳に甘い痺れが駆け上がっていく。
薫は、はあはあと獣じみた吐息を撒き散らしながら、ペニスの抜き差しを荒々しくした。
必死に声を殺す樹の喘ぎは、止まらなくなっている。仔猫が甘えたような愛らしさに妖しい艶が増して、溺れきった薫の脳みそを甘く掻き乱す。
狂おしい衝動が次々生まれて、押し上げられる。
……もうそろそろ……限界だ……。
樹の中で弾けたい。熱く溶けてしまいたい。
「樹っ、兄さん、いくっぞ…っ」
「あぁ……ん、あ、あぅ…っ」
樹が応えるように腰をくねらせた。その艶かしい仕草に煽られて、ペニスがぎゅっぎゅと収縮する。
……イ、く……っ
奥まで突き上げた瞬間、全身の毛穴がそそ毛立ち、そのままグンっと高みに上り詰めていた。
「くぅ……っっ」
「っっっぁう…っ」
視界が白くなる。耐えに耐えた激しい熱情が溢れ出して、樹の中をドロドロに濡らす。
薫はぎゅっと樹の身体にしがみついた。
腰の震えが止まらない。
気を失いそうな射精感が、いつまでも続く。
飛びそうになる意識を繋ぎ止める為に、無意識に樹の肩口に噛み付いていた。
「だいじょうぶ……か?」
夜気に身体が冷えてきて、薫はようやくのろのろと顔を起こした。浴槽の外の床に、くったりと突っ伏していた樹が、気怠そうに顔をあげてこちらを見る。
「に……さん……」
か細い声。胸が詰まって、樹の身体をこちら向きに抱き起こす。
「ごめん……重たかっただろう?」
樹はとろんとした顔にぎこちない微笑みを浮かべて、小さく首を横に振った。
「だい……じょぶ」
「肩が冷たい。お湯に浸かろう」
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