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月の想い・星の願い9※
樹の妄想は止まらない。後ろから自分を抱き締める義兄の指が、胸の突起を摘む。きゅっと摘まれてくにくにされて、樹は気持ちよくって身を捩った。
義兄の熱い息が首にかかる。
「樹…好きだよ」
甘い声で囁いて、耳たぶをはみはみされた。
(……あぁ……どうしよ……。すっごい気持ち、いい……っ)
Tシャツを捲りあげて、直接乳首をこりこりした。甘い電流が腰の方に走り抜けて、樹の下半身が勝手に揺れる。右手の動きを速くした。
頭の中に、叔父や月城にされたエロいことの記憶が蘇る。樹はその相手を、勝手に義兄に置き換えて、必死に妄想しながら自分のものを扱いた。
(……こんなことダメだよ。義兄さんに悪いじゃん)
心の中に沸き起こる、罪の意識や後ろめたさが、余計に興奮を煽っていく気がする。
(……あぁ……兄さん……舐めて。
乳首、ちゅうちゅうってして。
歯で噛んでよ。
あぁっ……気持ちいい……。
もっと……もっとして)
樹はぎゅっと目を瞑ったまま、右手の動きをもっと速くした。
遠くの方で、トイレのドアを開け閉めする音が聞こえる。奥の個室までは来ないけど、ここはお店のトイレだから、頻繁に他のお客さんが出入りしてる。
(……声、漏れちゃうよ。
恥ずかしい僕の変な声。
誰か、こっち来たら、聞かれちゃう。ダメ……ダメだってば)
「ん……っふぅ……ん。んっ」
樹は自分のTシャツの裾を口に咥えて、声を押し殺した。
手の中のものは大きくふくらんで、扱く度に先っぽからトロトロしたものが零れている。指を濡らして、クチュクチュと変な音がしている。
(……この音も聞こえちゃうよ)
樹は気持ち良すぎて気が遠くなりそうになりながら、薫の顔を思い浮かべた。唇の感触。優しい手。よく通る格好いい声。
「……っっ!」
(……イクっ。もう、イッちゃう。出……るっ)
びくびくびくっと身体が震えた。先っぽが、ぶわっと膨らんで、白いものがびゅるるっと噴き出した。
その瞬間、樹の頭の中は真っ白で、ただ、泣きたいくらいの幸せな心地よさに満たされていた。
「随分遅かったな。心配になって、今、様子見に行こうかと思ってたところだ」
樹がトイレを出て、ソファーの所に戻ると、薫が立ち上がってほっとしたように笑った。その笑顔が眩しくて後ろめたくて、樹は慌てて目を逸らした。
「……食いすぎて……腹壊した」
「ははっ。馬鹿だな~おまえ。そりゃあ、あれだけ食べたらキャパオーバーだろう」
薫は楽しそうに笑ってる。
(……人の気も知らないで……)
「冴香から連絡がきたんだ。もう買い物は終わったそうだ。そろそろ帰るか」
薫はそう言って樹を手招きすると、歩き始めた。
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