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想い3
(……びっくりした……)
擽ったくて目が覚めたら、後ろから抱っこしてる義兄の手が、樹の脇腹で動いていた。起きているのかな……と思ったが、すぐに動きはおさまった。樹がほっとしてまたうつらうつらし始めたら、再び指が動く。薄いTシャツの上で動いていた指が、裾を捲り上げて直接肌に触れた。腹の周辺の敏感な肌を、舐めるように動く薫の指つきがなんだかいやらしい。樹は変な声が出ないように必死に堪えた。でも、擽ったくてじっとなんかしていられない。
(……義兄さん、きっと寝惚けてる。僕のこと、カノジョと勘違いしてるんだ。目が覚めたら、きっとものすごく気まずいことになる)
樹は、自分が気づいていることを悟らせないように、何とか義兄に間違いだと気づいて欲しくて、寝言のフリをして、何か言おうとした。
薫の手は脇腹から滑るように上へ向かった。
(……わ……っだめっ)
義兄の手が、その先に何を求めているのかなんて分かっている。きっと、カノジョの大きな柔らかい胸だ。でもそんなもの、樹の身体についているわけないのだ。
薫の手が胸を鷲掴みにしようとして、指先が樹の乳首のところに触れた。樹はびくんとなって、焦って叫んでいた。
「っこの。変態!!」
樹はもがきながら、薫の大きな手を抓り上げた。
(……びっくりした……)
朝勃ちの延長で興奮しかけて、既におさまりがつかなくなっていた自分のものを、トイレで手早く始末すると、薫はそのまま服を脱いで、風呂場でシャワーを浴びた。
(……まったく……バツが悪いったらないな)
冴香と間違えて、樹の身体をまさぐってしまったことももちろんだが、まだ中学生の弟に、自分のごくプライベートな性的な欲求を見られてしまった。穴があったら入りたい、最悪の気まずさだ。
(……どうするんだ。戻ってもあいつの顔、まともに見れないだろ)
うわぁぁっと叫んでしまいたいくらい恥ずかしい。まだ中学生とはいっても、樹だって男の子だ。冴香と間違えた樹に、薫が何をしようとしていたかなんて分かるはずだ。
かといって、このまま風呂場に隠れているわけにもいかない。
薫は全身をさっさと洗ってため息をつくと、バスタオルで水気を拭いてから腰に巻き、風呂場のドアを開けた。
(……開き直りだ。開き直り。何もなかったような顔して誤魔化すぞ)
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