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初月の心5※
樹はカーテンの細い隙間から、そっと家の前の路上を見下ろした。義兄の車はまだ停まっている。
今、ここを飛び出して、あの車まで走っていけば、まだ、間に合うかもしれない。
(……助けて。連れていって。
僕を……置いて行かないでよ)
目の奥が熱くなった。義兄の車がぼやけて、揺らめいて見える。
堪えきれずに、涙が零れ落ちた。
「樹。おまえは、あの薄情な兄貴が好きなのか?」
勝手にドアを開けて入ってきた叔父が、樹の両肩を後ろから掴んだ。樹は慌てて涙を拭いて、叔父の手から逃れようと身を捩ったが、叔父は後ろから羽交い締めにしてきて、カーテンに身体を押し付けられた。
「ふん……。あいつ、まだいるのか」
カーテンの隙間から外を覗き、叔父は含み笑いを漏らしながら、後ろから抱き締めるようにして前に手をまわし、樹のシャツのボタンをひとつずつ外し始めた。
「……や……やだ……やめてよ」
「今カーテンを開けたら、あいつに丸見えだなぁ。ん? どうする。見せつけてやるか?」
ボタンを全て外し終えると、叔父は樹の前を肌蹴させ、手を這わせ始めた。
「やだ……やっ……やめてっ」
叔父の指が、肌を直接這い回る感触は、寒気がするほど気持ち悪いはずなのに、そういう行為にすっかり慣らされた身体は、ぞくっぞくっと快感を拾い始める。叔父は、ぷつんと飛び出た樹の乳首を指で摘んで
「なーにが、嫌なんだよ。おまえちっとも嫌がってないだろう。ここがもうこんなに勃ってるぞ」
摘んだ乳首をきゅーっと引っ張られて、樹は痛くて身を捩った。叔父は耳の後ろで、ふふふ……と嫌な笑い方をして
「昨夜ちゃんと教えてやっただろ? おまえの身体はな、少し痛いぐらいの方が感度がいいんだよ。そう俺が躾してやったからな」
限界まで引っ張った乳首を、叔父がふいに離す。ちぎれそうな痛みにじんじんと熱くなったそれは、痛みが引いていくと、じわじわと変な痺れ方をして、樹は思わずうめき声を漏らした。
「……ぅうっん」
叔父は、くく……っと楽しそうに笑って
「ほらなぁ。いい声出てるじゃないか」
叔父の指がまた乳首を摘む。くにくにとこねくり回しながら、樹の耳に舌を入れてくる。
「……っぁあ……っ」
痛みとむずむずするような甘い痺れ。樹は自分の身体の反応が嫌で、必死に首を振る。叔父は舌で樹の項を舐りまわし
「おや。残念。おまえの兄さんは行ってしまったみたいだな」
そう言って分厚いカーテンをしゃっと開けると、樹のズボンのチャックをおろす。
「やっやだっっ嫌だっ」
ジーンズがずりおろされ、その下のニットトランクスも引き下ろされた。樹は悲鳴をあげて身を捩り、必死に抵抗する。
叔父の言う通り、義兄の車はもうなくなっていた。でも、カーテンを全開にされて、もし今ここを、外から見てる人がいたら、このみっともない姿が丸見えなのだ。
「ほらっ。暴れるなよ。じっとしてろ。道歩いてるやつに、おまえの恥ずかしい身体を見てもらえっ」
叔父はそう言うなり、樹の剥き出しになったペニスをぎゅっと握り締めた。
「樹。乳首弄られただけで、ここも膨らましてるのか? ほんとにスケベな身体だな」
叔父の手が、ペニスをゆるゆると扱き始める。樹は込み上げてくる快感に唇を噛み締めた。
(……叔父さんはいつも、僕の身体がスケベだと揶揄う。僕はそれが死ぬほど恥ずかしくて、嫌で堪らない。
でも……。叔父さんが言うように、僕の身体は多分おかしいんだ)
変な所を触られて嫌なのに、痛いことされて辛いのに、叔父にされることが気持ち悪いはずなのに、こうして変な感じになってしまう。どんどん気持ち良くなってきて、興奮してわけが分からなくなってくる。
「……ふぅぅっく……んっんっ」
食いしばった口から、変な声が漏れた。
(……チガウ……コンナノヤダ……イヤナノニ)
叔父の手の動きがだんだん速くなる。樹は窓ガラスに爪をたてた。
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