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朧月4※
肝心なことが何も思い出せない。
「樹……。俺は……どうしたんだ?」
樹はちょっと眉をしかめ、薫から目を逸らすと
「兄さん。急に頭、痛いって。だから、ベッドに……」
薫は樹の横顔を見ながら、もう1度記憶を探ってみた。
(……だめだ。玄関のドアを開けたら、樹がいた。それ以降のことは、何も思い出せない)
「風邪……だと思う。熱……あったし」
暗く沈んだ遠慮がちな樹の声に、薫ははっとしてしかめ面をやめた。
「そうか。自覚なかったけど、風邪ひいてたんだな。悪かったな、樹。せっかく来てくれたのに、いきなり病人の世話させてしまって」
薫がそう言ってにっこりすると、樹はほっとしたようにこっちを向いて
「頭……まだ……痛い?」
「いや。頭痛はしないな。ちょっとぼーっとしてるのは、熱があるからかもな。今、何時だ?」
薫はそう言いながら、壁の時計を見て驚いた。時計の針は11時過ぎをさしている。
「樹。おまえ、今日は帰らなくていいのか?もう夜中だろう」
樹はちらっと部屋の隅の電話を見て
「あれ、借りて、母さんに……兄さんのとこ泊まるって……電話した」
「そうか。じゃあ、ゆっくり出来るんだな。あ、おまえ、腹減ってるだろう。机の上に俺の弁当の残りがあるんだ。箸つけたのはおかずの方だけだから、五目ご飯と別に買ったおにぎりは、食べても大丈夫だぞ」
樹は薫の顔をまじまじ見た後で、机の方を振り返り
「あれ、俺が食べちゃっていいの?兄さん、お腹すくじゃん」
「俺はいいよ。なんだかまったく食欲がないんだ。もし腹減ったら飯炊いて食うしな。いいから食べろ」
樹は薫の顔をまた見て、なんだかすごく辛そうな顔をした。薫は安心させるように笑ってみせて
「大丈夫だ。一晩寝れば治る。いいから遠慮しないで食えって。あ、あとな、プリン。なんかいろいろ乗ってて美味そうだったから買っといたんだ。おまえのだからな、それも食べてくれよ」
樹はこくんと頷くと、机の方へ歩いていった。椅子に座って食べかけの弁当を見下ろし、箸をとって食べ始める。
樹が自分の食べかけのおかずを口にしているのを見て、風邪がうつってしまうだろうな……などと思いながら、また瞼が重たくなってきて、薫はいつの間にか眠ってしまった。
※※※※※※※
月城は樹が出したものを口から手のひらに吐き出すと、今度は樹のお尻の穴に指で触れた。
(……っ。やだっそんな、とこっ)
樹は必死で身を捩ったが、ビデオカメラを片手に持った叔父が、樹の脚を掴んでぐいっと開いて
「こら。大人しく任せるんだ。颯士は普段される側だからな。どこをどうされたら気持ちいいか、よーく知ってる。きっと俺にされるより気持ち良くなれるぞ」
叔父は笑いながらそう言って、暴れる樹の脚を押さえつけた。
月城の指が穴の周りを優しく撫でる。とろりとした液体をかけられて、樹がびくっとした瞬間、つぷりと指が挿いってきた。
「んーっあぁっ」
痛くはないけど、気持ちが悪い。くにくにと動きながら、指が少しずつ中に進む。叔父のより細い指が、樹の中を探るようにしながら、奥へ奥へと侵入していく。
ある場所までいくと、樹の身体にびりっと電流が走った。樹は堪らずああんっと大声をあげてしまった。指の動きがぴたっと止まる。
「ん……。ここ、かな。樹くんのいいとこは」
月城の声が聞こえた。指がまた動いて、さっきの場所をぐいっぐいっと押した。
「んっあーーっんやぁっ」
びりっびりっと強い快感が走り抜けて、樹はもう声を堪えることも出来ずに、びくびく震えながら喚いた。
「凄いな……。ここ、感じないこもいるけど、樹くんはすごく感じるんだね。ペニスの先がぱくぱくしてる」
「えらく素直な身体だろう?調教のしがいがある。もともと素質があるんだな。颯士、おまえ、突っ込んでみるか?たまには抱く方もやってみたいだろう」
「……いえ。私はそっちに興味ないので。道具を……使ってみますか?」
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