息も出来ないくらい激しいキスの後、また少し酸欠気味でぽーっとしてる樹を、薫はお姫様抱っこして、ベッドに連れて行った。なんだか女の子扱いされているみたいで、樹はひどく恥ずかしかったが、落っこちてしまいそうで怖くて、必死に薫にしがみついていた。 (……今日はきっと 、特別な日なんだ。星占いとか運勢１位かも。だって義兄さん、僕の願い、こんなにいっぱい、叶えてくれるんだもん……) ベッドの上にそっとおろされる。薫は優しく樹の頭を撫でてくれてから、着ているシャツのボタンを外し始めた。 (……なんで、服、脱ぐんだろう。一緒にベッドで寝てくれるのかな。義兄さんに抱き締めてもらって眠れたら、僕きっとすごい幸せだ……) 家に帰れば、また叔父との辛い時間が待っている。せめてここにいる間だけは、嫌なこと全部忘れて、薫との幸せな時間に浸りたい……。 薫は上半身だけ裸になると、ふぅっと深呼吸してから、ベッドにあがった。樹の隣に横たわって 「こっち、こいよ。抱っこしてやるから」 ちょっとぎこちない顔で笑って、樹の方に手を伸ばす。樹は迷わず薫に抱きついた。 シャツの前はすっかり肌蹴ていたから、ぎゅっとしてもらうと、薫の素肌と直に重なって気持ちいい。薫に抱っこされると、あったかくてすっごく安心する。 とりあえず、上半身だけ裸になって、樹の身体を抱き締める。樹には覚悟を決めると言ったが、この後どうすればいいのか、薫は途方に暮れていた。 樹は恐らく、月城にいつもされていることを、望んでいるのだと思うが……。 同性愛者じゃないから、男の子を抱くっていうのは、何となく想像はついても、実際には手を出しかねる。……というか、やり方が分からない。 (……冴香を抱く時と、同じ手順でいいのか？ キスをして、胸を……いや、樹には胸はないな。男同士でも乳首を弄ったり舐めたりってのはアリなのか？ で、下の方も触るんだろうが。樹は男だから、当然のことながら、俺と同じモノがついてるんだよな) …………。 薫はちょっと想像してみて、すぐに眉を顰めた。 (……しまったな。ベッドに入る前に、男同士のやり方っての、調べてみるべきだった。 多分、男でも女でも、キスや愛撫で気持ちと身体を昂らせて、最後に挿入っていうのが定石だと思う。女ならどこを触ればいいか見当がつくが。やっぱり直接性器を弄るのが、気持ちいいはずだよな……) むー……と悩んでいると、視線を感じた。見ると樹が、眉を八の字にして、じっとこちらを見ている。 (……わかったわかった。頼むから、そんな可愛い顔して俺を急かすなよ) 薫は樹のおでこにキスを落とすと 「兄さん、男同士ってのは慣れてないからな。なんかおかしかったり嫌だったら、すぐに言えよ」 「……え……？ ……う……ん……？」 戸惑っている樹をシーツに仰向けに寝かすと、薫は樹の上に覆い被さるようにして、樹に口づけた。