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蒼い月8※
また薫にキスされて、樹の心は、甘い夢の中をふあふあと漂っていた。
薫とのキスは気持ちいい。すればするほど、もっと欲しくなる。
そういえば前に月城が、もし好きな人が出来たら、その人とキスしたりするのは、すっごく幸せなことなんだよって言っていたけれど、ほんとうだった。
薫に恋してる。絶対に叶わない想いだとしても、薫に恋が出来て自分は幸せだ。
(……義兄さん、男同士は慣れてないって言ってたけど、それってキスのことかな? だったら全然大丈夫。僕、義兄さんのキスすっごく気持ちいいよ)
(……いよいよ覚悟を決めた。とにかく、やれるだけやってみよう。俺はゲイではないが、どうやら樹とのキスに抵抗がない……というより、むしろ心地いい。いやそれどころか、うっかり勃ってしまうくらい、気持ちいいらしい。だったら、その先の行為も案外……いけそうな気がする)
たっぷりと樹の唇を味わった後、さっきキスマークをつけた首筋の方へと唇を滑らせた。擽ったがる樹の滑らかな肌に、紅い印をなぞるようにして、口づけ舌を這わす。樹は驚いたのか、ひゅっと息を飲んだが、薫が樹の手を掴んできゅっきゅと握ると、おずおずと握り返してきた。
「…ん…ふ…んっ…ん…っ」
唇や舌を這わす度に、樹はぴくぴくして、可愛い声をもらす。気になって表情を窺うと、声を出すまいと口を引き結び、目を閉じている樹の、綺麗な顔が見えた。
(……こいつはこういう表情も、綺麗なんだな……)
薫は妙に感心しつつ、次の場所へと舌を這わせた。首筋もだが、くっきりと浮き出た鎖骨の辺りも敏感らしくて、吸い付いて舌で舐めると、樹はもじもじしながらくぅん…っと喘いだ。
所々に紅の印を散らしながら、いよいよ胸にたどり着く。
さっきちらっと見えたが、もちろん、樹の胸に膨らみはない。だが、真っ平な胸に飾りのようについている乳首は、男のものとは思えぬほど綺麗なピンクで、改めて直視するとドキッとした。感じているせいなのかツンと突き出ていて、妙に艶めかしい気がする。
薫は舌を出して、そっとその尖りを舐めてみた。
「……っぁ……っ」
樹が微かに喘いでびくっとする。
(……可愛い)
自分は実感したことはないが、もしかしたら男も、乳首は感じるものなのか?
今度はその尖りを唇で挟んでみた。
「……っあ……ぅ」
樹の反応がなんとも可愛い。薫はちゅっと吸い上げてから、舌を動かしてみた。
「……ぁっあっ……や……っ」
樹は掠れた声をあげ、身体をびくつかせる。予想以上のいい反応だった。
(……なるほど。女の子と同じように、男の乳首は感じるものらしい。ならば同じように愛撫すればいいのかな)
薫はちょっとほっとして、今度は本格的に乳首を弄り始めた。
(……どうしよ。あ。だめ。変な声出ちゃうよ……っ)
義兄が胸に顔を埋めて、乳首のところを舐めたり噛んだり吸ったりする。
(……そこ、そんなことされると、僕じっとしてられないよ。いつも叔父さんに、からかわれてたんだ。男のくせにこんな所で感じるのかよ、淫乱だなって。
ああ。だめ。びくびくしちゃうよ。じゅっと吸われる度に、じわじわっと奥に気持ちいいのが走って、お腹の下までむずむずする。
義兄さんの舌の、熱くてざらざらな感触が気持ちいい。
あぁ……もっと……。でもだめ。それ以上されたら、別のとこがおっきくなっちゃうよ。
どうしよう。義兄さんに知られちゃう。僕の恥ずかしい秘密がバレてしまう)
「……可愛いな……樹。おまえのここ、ぷくっとしてきた」
(……っ?!)
びっくりして樹が目を開けると、義兄と目が合った。義兄はいつもの優しい顔で微笑んだ後、視線を下に向けた。つられて下を見ると、義兄に舐められて赤く膨らんだ自分の変な乳首が目に入ってしまった。
「男の子でも、ちゃんと反応するんだな。気持ちいいか?」
義兄の言葉に、樹は衝撃を受けた。
(……なんで義兄さん、笑ってるの?僕のこんな反応、軽蔑しないの?叔父さんはいつも、恥ずかしい身体だなって、すっごく馬鹿にするのに……)
「……や……っだ……見ちゃ……」
「乳首、感じるのか分からないから心配だった。でも大丈夫みたいだな」
薫はそう言ってもう一度にこっとすると、また乳首を口に含む。
「……っあ……ぁっ」
樹はすごく混乱した。だが、また甘がゆい気持ちよさが走り抜けて、思わず声をあげて仰け反ってしまった。
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