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月夜の秘めごと6※
樹とのキスに薫は夢中だった。しがみつき、鼻から甘ったるい声を漏らして、キスに必死で応えていた樹が、途中で力が抜けたのか、がくっと崩れそうになる。薫は樹を抱きかかえて、ソファーに座らせた。
「大丈夫か?」
その問いかけに、樹はとろんとした目で見上げて、こくんと頷くと、両手を広げて伸ばす。
ソファーにヘタリ込み、しどけなく脚を少し開いた樹の、短いスカートの裾が少し捲れていた。そこからのぞくすらりと美しい太股は、少年のものとは思えぬほど白くて滑らかだ。
キスを中断して、少しだけ戻りかけた理性が、また霧散していく。薫は樹の上に覆い被さるようにして、再びその甘い唇を奪った。
「……んぅ……ん……んぅ……ん」
噛み付くようなキスに、樹が腕をぎゅっと掴み締める。
(……オチツケ。ナニ、コウフンシテルンダヨ……ダメダロ。モウ……)
必死に自分を戒めているのに、身体が全然言うことを聞かない。
舌を絡めて強く吸う。樹の小さな舌が劣情を煽るように蠢く。こんなキスを、味わってしまったら、もう後戻り出来なくなる。
「何故、私に黙っていた?」
巧は怒っている。当然だ。
颯士は巧に内緒で、樹にいろいろしてあげているのだから。
颯士は俯いたまま沈黙を続けた。
巧は颯士に歩み寄ると、腕を掴んで歩き出す。寝室に連れていかれ、有無を言わさずベッドに押し倒された。
巧は、颯士の顔を覗き込むとニヤリと笑った。
「颯士。おまえ、まさか妬いているのか? このところ樹にばかりで、おまえに構ってやっていなかったからな」
面白そうな巧の声。颯士はぎゅっと唇を結んで、顔を背けた。何も答えない颯士に、巧はふふっと満足そうに笑って
「可愛いな……俺の颯士。あんなチビに妬くぐらい、俺が好きか?」
したり顔の巧の言葉が、颯士の心に突き刺さる。
(……酷い男だ。ずっとずっと、俺はこの男を殺してやりたいぐらい憎んでる。10歳でこの人に引き取られてからずっと)
「どうした? 答えろよ。俺に逆らうなんて珍しいじゃないか」
息がかかりそうなほど近くにある、巧の顔を、颯士はキッと睨みつけた。巧は満足そうにニヤリとすると
「いい顔だ。颯士。おまえもまだ、そういう顔が出来るんだな。最近すっかり従順なペットに成り下がっていやがったからな。いいぞ、その反抗的な目。ゾクゾクする」
巧は狂気を孕んだ目つきで颯士を見つめると
「久しぶりにおまえを抱きたくなった。ご褒美だ。脱げよ」
颯士はしばらく無言で巧を睨みつけていたが、やがて諦めて自分のシャツのボタンに手を伸ばした。
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