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月夜の秘めごと7※
愛と憎しみの境界線はどこにあるのだろう。
服を全て脱ぎ捨てた颯士の身体に、まるでじっとりと舐め回すような巧の眼差し。
首筋、肩から胸、腹から下腹、そして脚へと。
何も纏うことを許されず、手で庇うことも出来ず、煌々と灯りのついた寝室のベッドの脇で、颯士は巧の視姦にじっと耐えていた。
「ふふ……。相変わらず、いい身体だ。おまえは俺が今まで仕込んだ中で一番の傑作だな」
巧は颯士の裸を鑑賞するのに満足したのか、今度は手を伸ばしてきて、乳首にいきなり触れた。
「可愛いヤツだ。俺の贈り物を今でもきちんとつけているのか?手入れも怠ってはいないようだな」
言いながらもう一方の手で、颯士の股間に垂れ下がるものを、やわやわと握り込む。
「……っ……っ……っ」
びくっと震えて声が出そうになるのを、顔を背けて唇を噛み締め堪えた。巧は面白そうに笑いながら、颯士の顔を覗き込み
「どうした。声を我慢する必要ないだろう? ……ああ……そんなに唇を噛むな。形が悪くなる」
巧の指先が、颯士の乳首についたリング状のピアスを摘む。くいっくいっと悪戯半分に引っ張られて、颯士は思わず身を捩り、巧の腕を掴んだ。
「……っぁ……やめ……っ」
「やめて欲しいのか? おまえ、こうされるの、好きだろう?」
含み笑い混じりの巧の声。両の乳首についたリングピアスは、細い鎖で繋がっている。その鎖を引っ張られ、両の乳首に同時に沸き起こる、痛みとむず痒いような快感に、颯士は震えながら顔を歪めた。
「くく……勃ってきたな。躾のいい身体だ」
巧の言葉通り、颯士の股間のものは、堪え性もなくしっかり反応を示していた。意地悪くくいくいっとピアスを引っ張られる度に、膨張して勃ち上がっていく。巧の指がそれをぎゅっと締め付けた。
「……っあぁっ」
苦しいくらい締め付けられて、容赦なく揉みしだかれる。乳首とペニスを同時に嬲られて、その痛みすらも、颯士の身体は快感と受け止め、巧の思うがままに官能を引き出されていくのだ。
「10代のまま時を止めてくれたらな。まったく……育ち過ぎだ」
巧が投げつけてくる言葉は、たいてい颯士の心を傷つけるけれど、この言葉が一番辛い。
子供が大人になることは自然の摂理で、颯士だっていつまでも子供のままじゃいられなかった。どんなに望んでも叶わぬことを、まるで颯士の責任のように言う巧は……残酷だ。
「……痛いか……? ん?」
「……っん……っ……ぁ……っく」
堪えきれずに声を漏らし、びくびくと震える颯士の耳に、巧は口を寄せた。
「痛いのがいいんだよな? おまえは変態だからな。こういうのが、気持ち良くて堪らないんだろう?」
巧が颯士の耳に歯を当てた。ぎりっと噛んでから、耳の中に舌を挿し入れ、舐め回す。
「……っっっ……っ……っっ」
颯士の身体の震えは止まらなくなっていた。絶え間なく与えられる痛みと、無理矢理引き出される快感。脳が誤作動を起こし始めて、何をされても気持ち良くてたまらない。
「もっと俺を楽しませろよ。颯士。育ち過ぎて俺を失望させた罰だ」
がくがくと膝が笑う。力が抜けて崩れ落ちそうなのに、乳首と急所を掴まれて、へたり込むことも出来ない。
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