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月夜の秘めごと10※
ヴー……っという虫の羽音のような音がどんどん強くなっていく。
颯士の尻に生えた尻尾の根本部分が、巧の手の中のリモコンで操られて、身体の奥を妖しく震わせていた。
「……っ。……っっ……っぅっ」
颯士は尻を高くかかげた体勢で、シーツに顔を埋めて、漏れそうになる声を必死で押し殺した。さっきのローションには、多分媚薬成分が混じってる。このところいじったり解した覚えのなかったそこは、固く口を閉ざしていたはずなのに、もう熱く熟れて、卑猥な異物の侵入を悦び始めていた。
(……熱い……ぁあ……っいやだ……やめて……っ)
颯士は狂いかけている身体の反応に絶望した。同じ嬲られるのなら、せめて巧の指がいい。こんな風に無機質なもので抉られて、無理矢理に快感を引き出されるのは……耐えられない。
「気持ちいいか? 颯士。おまえの可愛い尻尾が揺れてるぞ」
巧の声は欲情に掠れていた。嫌がりながらも堕とされていく獲物の痴態というのは、巧が最も好むシチュエーションなのだ。
巧は、リモコンでローターの強弱を変えながら、颯士の尻をいやらしい手つきで撫で回していた。やがてその指が尻尾の方におりていく。まるでそこにも神経があるみたいに、巧に尻尾を撫でられるとぞわぞわした。尻や腰に走り抜ける電流みたいな快感に、颯士は息を詰め、全身を震わせた。
「ああ……可愛いな、颯士……おまえはやっぱり最高だ」
巧の熱い息が、颯士の腰をつつーっと撫でていく。ぞくっぞくっと沸き起こる強い快感に、颯士は堪らず仰け反った。
「……んっあ……っぁあ……っん」
後ろから覆い被さるように抱き締められた。巧の手が、颯士の胸とペニスに伸びる。
乳首を繋ぐ鎖をキリキリと引っ張られ、ペニスの先を指でこじ開けられる。3箇所同時に与えられる強烈な刺激に、颯士は狂ったように首を振って身悶えた。
薫の手が樹のスカートを捲りあげた。
「……っ」
女の子の格好はしてみたけれど、さすがに下着だけは女の子用のは恥ずかしくて、いつもつけているボクサーパンツにした。だから見られても大丈夫なはずなんだけど……。
薫とのキスで、樹のあそこはもうかなりおおきくなってしまっている。下着の上からでもきっと分かってしまうくらいに。
樹は焦って捲りあがったスカートを下ろそうとしたけど、薫の手がそれを許してくれない。じたばたと暴れる樹に、薫は唇を離して樹の顔を見た。
「やっぱり嫌か? 触られるの」
(……嫌じゃ、ない。でも、ダメ。義兄さんに見られちゃう)
樹は何て答えていいのか混乱して、ただ首を横に何度も振った。
「こら。ちゃんとおまえの気持ち、教えてくれよ。兄さん、おまえの嫌がること、無理にするつもりはないからな」
「……嫌じゃ、ない。でも、兄さん見たら、僕のこと軽蔑、するでしょ」
「……軽蔑? どうしてだ」
「だって、僕のあそこ、おっきく、なっちゃって。っ僕、僕は病気、だからっ」
言いながら涙が滲んできた。
(……もうやだ。義兄さんに軽蔑されちゃうくらいなら、今すぐここで、消えちゃいたい)
涙声になった樹の言葉に、薫はちょっと驚いたような顔になり、その後すぐに、ああっと納得したように微笑んだ。
「そうか……。おまえ、こないだから、それを気にしてたのか。なるほどな」
薫は呟くと、樹の顔を両手で包んで
「なあ、樹。学校で保健の時間とかに教わらなかったか? 男の生殖器、つまりあそこはな、性的に興奮すると膨張するんだ。いや、刺激されただけでも大きくなったりするかな。これは誰でもそうなんだ。病気じゃないぞ」
樹は薫の言葉に、びっくりして目を見開いた。
「……ぇ……誰……でも……?」
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