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堕ちていく月2※
「……っんっく……ぅっ……ん……っ」
颯士は両手首を後ろで縛られて、腰だけ高くあげた状態で、巧のものを、後ろから受け入れさせられていた。巧はこの身体の隅々まで、どこが弱くてどうすれば感じるのか知っている。容赦なく攻められて気が狂いそうだった。
「颯士。喘いでばかりいないでどう感じるのかちゃんと言えよ。最近ご無沙汰だったから忘れたか?」
含み笑いで耳元にねっとりと囁かれ、一番感じる浅い位置にある前立腺目がけて、亀頭を小刻みに擦りつけられる。
「……んあっ、あっ、あぁっ……っそ、こぉ……っやぁっっ」
後ろ手に縛られているから、シーツに顔を押し付けた状態だ。しかも、巧が動く度に、胸のピアスがシーツに擦れて、ちりちりと痛みを伴うむず痒さが乳首を襲う。こうして巧がくれる痛みも苦しみも、颯士の中で誤変換されて、歪んだ暗い悦楽を増幅させていくのだ。
さっき巧のペニスに押し出されるように、限界まで溜まった熱を放出した。ミルクタンクが空っぽになるまで出尽くすほど、長い長い射精だったのに、颯士のペニスはまた勃ちあがって、巧の動きに合わせて揺らめいていた。
「そこってどこだ? ん? イヤってことは、もっとってことだよな?」
ずりずりと尻の中を擦りながら、巧の舌が耳の中をも犯していく。熱い吐息混じりの巧の声は、鼓膜を通り越して、直接脳に響く。ぞわぞわするような悪寒と紙一重の快楽だった。
「……っんあっは…ぁ……っ」
「答えろよ、颯士。強情張ってるとまたお仕置きだぞ。玩具突っ込んで一日中放置してやるか?」
(……嫌だ。それは嫌っ)
颯士はもがきながら、後ろを振り向き
「……お願い……もっと……奥……ぐりぐり、してください……」
「奥?おまえが好きなのはここだろ?」
颯士は涙に濡れた目をぎゅっと歪めて
「そこ、ばっかり、やだ……くるし……っ。巧さんので、奥、いっぱいに……して?」
喘ぐように言いながら、涙をぽろぽろ零す颯士に、巧は満足そうに微笑んで
「いい子だ。じゃあ尻を突き出せよ。自分でケツ振って俺のを飲み込んでみろ」
颯士は震えるような吐息を漏らすと、不自由な体勢で尻を自ら動かし始めた。それ以上は動こうとしない巧のペニスをもっと奥まで咥えこもうと、尻を高く突き出して揺らす。
浅ましくて惨めで淫らな自分の姿。屈辱と羞恥に目眩がしそうだ。それでも、巧の大きな楔で奥まで満たされたくて、颯士は必死だった。
姿見の脇に、巧が設置したビデオカメラは、自分のこの痴態の一部始終を舐めるように記録し続けている。後であれを見せられて、またねちねちと苛められるのだ。酷い時は巧がやっている裏稼業の取引の材料として、使われる時もある。
それが分かっていても、颯士は巧の仕打ちを拒めない。長い年月をかけて、そういう身体に仕込まれてしまっている。
「ふふ……。奥まで咥えこんだな、颯士。どうだ?ご主人様のご褒美は美味いか?」
巧は残酷なほど優しい声音でそう言うと、颯士の腕の縛めを解いた。
「顔をあげて鏡を見ろよ。エロい表情で俺を悦ばせろ」
颯士は痺れてしまった腕をついて上半身をあげると、虚ろな目で姿見を見つめ、腰を使い始めた。
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