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堕ちていく月3※
樹が可愛らしくイった姿に煽られて、薫は息を荒らげながら自分のペニスを握った。がちがちのそれを緩く擦ると、気持ちよさに内腿が引き攣れる。
無垢な樹に自慰の手ほどきをして、その姿に欲情してしまった罪悪感はもちろんある。だが、その仄暗い後ろめたさが、余計に薫を狂おしくさせていた。
薫の膨張したものも、もう爆発寸前だった。樹が登りつめて放心しているうちに、手早く出してしまわないと、この狂おしい情欲を、うっかり可愛い義弟に向けてしまいそうだ。
薫は手の動きを速めた。だが、焦っているせいか、あとちょっとなのになかなか昂りを解き放てない。
ふいに、くったりしていた樹がもぞもぞと身を起こした。はっとして薫が目を向けると、樹はとろんとした目で首を傾げ、こちらをじっと見つめている。
(……っ、まずいっ)
こんな姿を樹の目に晒すのは流石にまずい。薫が射精を諦めて手を離そうとした時、伸びてきた小さな手が薫のものに触れた。薫は思わずびくっとして、身を固くする。
「……っいつ、き……?」
「にいさんの……おっきい……」
気怠げに呟く樹の言葉に、心臓が跳ねた。樹はのろのろと身を起こすと、蕩けた顔のままでまじまじと薫の股間を見つめて
「これ……苦しい?」
呟いて上目遣いに薫を見上げた。
「っいや、樹、これは……」
慌てて言い訳しようとする薫の、ガチガチになったペニスに、樹の華奢な指がそっと絡みついた。薫はひゅっと息を飲む。
「こしこし……してあげる」
樹は凍りついたように動けない薫に、ふわっと微笑むと、細い指できゅっと握って、ゆるゆると動かし始めた。
「…っっっ」
自分とは違うまだ小さなほっそりとした指。自分のではない体温。感触。それが自分のペニスを扱いている。
凹凸のない、しなやかで幼げな身体に、女物のスリップを身につけた、清らかなのに危うげな色気を身に纏う、小さな妖しい生き物。薫の表情を窺うように向けられた大きなつぶらな瞳。
普段の自慰では感じることのない背徳的な悦びが、身の内から込み上げてくる。
(……ダメだ……ダメだ……ダメだ)
なけなしの理性がざわめいている。
薫は金縛り状態の手を動かして、樹の指を外させようとした。
(……もうダメだ。ここまでにしておけ。これ以上越えたら……)
「……きもち、いぃ?」
「っ」
「ここ、こうすると、きもち、ぃい?」
小首を傾げ、真剣な表情で問いかけてくる樹に、手を離せと言いたいのに、喉の奥が詰まったような声しか出ない。
「……ぃ……つ……き、手を……」
樹は眉をきゅっと寄せ、自分の手元に視線を落とした。
「きもちぃく、ない?」
(……いや、そうじゃない。頼むから、手を)
薫の思いとは裏腹に、樹の手の動きが激しくなった。薫は言おうとした言葉を飲み込み、慌ててぐっと歯を食い縛る。ずんと重たいような熱が、下腹に急速に集まっていく。内腿がぴくぴくと痙攣してきた。
手を動かしながら、樹はもぞもぞして体勢を変えると、再びガバッと顔をあげた。
「これ、舐めて、いぃ?」
(……!!!!!!)
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