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星を渡る月舟3※

薫はいったんベッドから降りて、ソファーの横に置いてある樹のバッグを取りに行った。ベッドにいる樹に手渡すと、樹はバッグを開けて小さなチューブを取り出す。 携帯用のハンドクリームだった。しげしげと見てみると、赤ちゃんの肌にも安心……と書いてある。 薫はチューブを手にしたまま、樹の尻を思わず見つめた。これをあそこに塗って……それで? 愛撫の手順が、分かるようでわからない。 難しい顔をして固まってしまった薫に、樹は首を傾げて 「にいさん、かして。僕、自分でやる」 「……あ……ああ」 情けないが、これに関しては樹の方が経験者だ。彼のやることをまずは見ているしかない。 樹はチューブの蓋を外してクリームを指に絞り出し、シーツの上で膝立ちのままそろそろと後ろに手を伸ばした。ぷちゅ……っと音がして、樹が形のいい眉をしかめた。薫が尻の方をじっと見つめると、樹は恥ずかしそうに目を逸らす。 「……ぅ……ん……」 くちゅくちゅと音をさせながら、樹の指が動く。 薫はよく見ようとベッドにあがって、樹の後ろを覗き込んだ。樹はぎゅっと目を瞑りせつなげに眉を寄せ、声を堪えようと唇を噛み締めている。 「樹……辛いのか?」 薫が問いかけると、樹は睫毛を震わせながらうっすらと目を開けた。潤んだ瞳と目が合ってどきっとする。樹の表情がさっきとはまた変わっていた。 (……なんというか……すごく色っぽい) 薫はごくっと唾を飲み込むと、樹が握りしめているチューブを取り上げた。 「にいさんが、やってやる」 樹がしていることを、見よう見まねでやってみればいいのだ。指先にクリームを出して、樹の後ろに周り、背中に沿うように自分も膝立ちになって、樹の小さな尻に手を伸ばす。指先が尻の狭間に触れると、樹の身体がびくんとなった。 「痛かったら言えよ」 耳元に唇を寄せて囁くと、樹は無言で頷いた。 クリームを塗り広げるようにしながら、探り当てた入り口につぷ……っと指先を突き入れた。 「んっ」 呻いて腰を引く樹の前に、空いてる方の手を伸ばして、勃ちあがったペニスを柔らかく握った。 「ぁ……っん」 急所をやんわりと握られて、樹は咄嗟に前を庇うようにびくっと腰を後ろに引く。栓をした状態の薫の指が、弾みで中にぐっと潜り込んだ。 前と後ろを同時に押さえられて、樹はもうどちらにも動けない。 薫は樹のペニスを優しく扱きながら、指を更に突き入れていった。 「あ……っあ……っあ……」 樹は身動き出来ぬまま、薫の手の動きに合わせて微かに喘ぎ声を漏らし始めた。その声の甘さに勢いを得て、薫は指の動きを大きくしていく。 初めて触れた樹のそこは、指の先っぽでさえも入らないのではと思うほど狭かったが、クリームの滑りを借りて、意外に柔軟に薫の指を飲み込んでいく。既に第二関節まで入った。だが、やはり自分の怒張を飲み込むには、どう考えても狭すぎる。 (……拡げるのか?) 薫は、樹の反応を確かめながら、中指に人差し指を添えて少しずつ忍び込ませてみた。きゅっと窄まったそこは最初は抵抗をみせたが、徐々にもう一本も飲み込み始める。 「あ、あ、あんぅ……っ」 樹の声がいちだんと甘さを増した。苦しくはないようだ。ゆるゆると扱いた前は張り詰めて、今にも弾けそうになっている。 樹のその場所に指を入れる行為に、最初、抵抗があるかと思っていたのだが、それどころか妙に興奮している自分に、薫は驚いていた。 自分の愛撫に身悶えながら、掠れた喘ぎを漏らす樹の姿に、煽られ続けている。腰を走り抜ける甘い痺れとひっきりなしに溜まっていく熱が、自分のペニスもがちがちにしていく。 「樹……どうだ? 気持ち、いいか?」 問いかける自分の声が、欲情に掠れていた。 「んぅ……っに、さん……っだ、め……っ」 樹が切羽詰まった声をあげた。どうやら前が弾ける寸前らしい。薫は思わず、樹のペニスから手を離した。今イかせてしまうと、挿入前に樹がぐったりしてしまいそうだ。 きゅうきゅうと指2本を締め付けている樹の熱い身体の中に、自分のものを突きたてたい。 「樹……っ入れても、いいか?」 薫は指を蠢かせながら、樹の身体を抱き寄せた。 「……っきて、にいさん。僕の、なかぁ」 喘ぎ混じりの樹の言葉に、薫は堪らなくなって指を引き抜くと、そそり立つ自分の熱芯を、樹の尻の間に押し当てた。 途端に、樹の身体が強ばる。指を受け入れていたはずのそこが、固く入り口を閉ざし、薫のものを拒絶した。

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