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星を渡る月舟4※

(……狭すぎる。やっぱり……まだ無理なのか?) 薫は顔をしかめて腰をひいた。自分よりかなり小さな樹の尻。その間の狭い場所に入れるには、自分のものがグロテスクなほど大きく感じた。 「にい、さ……っ」 樹が焦れたように尻をもじもじと揺らした。 そんな風におねだりされても……あんな狭い場所に無理やねじ込んだら裂けてしまいそうだ。 「樹。やっぱりちょっと無理……」 「無理じゃ、ない。にいさ、入れてっ」 樹が泣きそうな声で叫んで、手を伸ばして薫のものを掴んだ。不意をつかれてびくっとなった薫を、樹の涙目が睨む。 「大丈夫。ちゃんと、入る、から」 「でも樹、おまえのそこ、狭すぎるだろう」 樹はじれったそうに首を横に振って 「最初、狭いって。入れる時、いつも、苦労するって、だから」 (……っ) 樹の口から漏れた言葉に、薫は眉をひそめた。 (いつも……? それは、月城が言ったのか?) 途端に、月城の顔が浮かんできた。 以前、自分を諭すようなことをしたり顔で言った月城。あいつは、樹を……この身体を何度も抱いていたのだ。 月城が樹を抱く様子まで、妙に生々しく脳裏に浮かんできた。樹の狭いそこに怒張をねじ込んでいく月城の、勝ち誇ったような笑顔が見える気がする。 (くそ……っ) 薫は慌てて首を振って、嫌な幻影を打ち消した。 そのまま樹の腰をぐいっと掴んで、もう1度ペニスを押し当てる。 樹はシーツに両手をつき、尻だけ大きく上にあげた。さっきより開かれた感触のそこに、力を込めて押し込んでいく。 引き攣るようにしながら、樹が自分の先っぽを飲み込んだ。狭すぎて、快感よりは痛みの方が強かったが、月城の笑う声が聴こえるようで、薫はムキになっていた。 ずりり……っと張り出したカリの部分が狭い隘路を目一杯広げて潜り込んだ。 「ああんっ」 そこを通り抜けた途端に、それまでのキツい抵抗が嘘のように消えた。勢い余って自分のものが一気に奥まで入り込む。 熱い内壁に、根元近くまですっぽりと包まれ、きゅうっと締め付けられて、薫は思わず呻き声をあげた。これまで感じたことのない強烈な快感に、視界が一瞬真っ白になる。 (……ああっすごい……っ) 樹の身体を気遣う余裕を、完全に失っていた。もっと強い悦楽を求めて、薫は息を荒らげながら腰を動かし始めた。折れそうに細い腰を両手でがっちり掴んで、根元まで押し入ると、間髪を入れず腰を引いてぎりぎりまで引き抜く。 奥に進む時とは違う、縋り付くような肉癖のうねりに、目眩を起こしそうな快感が走り抜ける。気持ちよすぎて、腰が砕けそうだ。 (……ああ。なんだ、これ。すごい……っ) さっきは痛みすら感じた樹の狭さが、逆にえも言われぬ快感を生み出していた。こんな歓びを自分は知らない。 ひいた切っ先を再び押し込んでいく。樹の中はぎちぎちに狭かったが柔らかく絡みついて、擦れる感触が気持ちよくて堪らない。 「んんんっ……っんぁぁん……んぅうっ」 自分の動きに合わせて小さな丸みが揺れる。樹の声に苦しそうな響きはない。結合部分から漏れるぐちゅっぐちゅっという水音すら、興奮を煽り立てるように耳を侵していく。 「い、つきっ、いいか?」 「あ……っああん……っあぅ」 自分の声が自分の声じゃないように遠くから聴こえてくる。樹のなやましい声も。 (……にいさんが、はいって、くる……っ) 狭い入り口をこじ開けるようにして、薫の熱が進入してくる。受け入れる瞬間はいつも、身体が引き裂かれてしまうような痛みを感じる。それでも、叔父にされている時の苦しさはなかった。痛みすらも歓びに感じる。 薫は低く呻きながら、強引に押し入ってきた。目一杯に拡げられたそこが、めりめりと軋む。 樹は必死で呻き声を飲み込んだ。自分が苦しげな声をあげたら、優しい義兄は止めてしまうかもしれない。 1番大きな部分が中に潜り込むと、それまでの苦しさが嘘のように消えた。次の瞬間、すごい勢いで一気に奥まで貫かれて、樹は大きく喘いだ。 (……ああっ。にいさん……っ) 夢にまで見た義兄が、完全に自分の中にいる。義兄と自分は、今ひとつに繋がっているのだ。嬉しくてぼろぼろと涙が溢れてきた。

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