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見えない光2※

「……っ。ん……っく」 「どうした? 樹。声は殺すなと言っただろう」 「あ……ぁぁっ」 巧の含み笑いと樹の苦しげな声が、浴室に反響している。 月城は、巧に命じられた様々な道具の入ったケースを持って、浴室の隅で待機していた。 呪いの洗礼はもう始まっているのだ。 機嫌よく浴室にやって来た巧は、手で下腹を庇いながら項垂れている樹の姿を見た途端、一瞬だけ憎悪と嫌悪剥き出しの表情を浮かべた。 だが、すぐに元のご機嫌な微笑みに戻ると 「樹。いい子だ。その手を外して、私におまえの可愛い身体を見せてみろ」 猫撫で声でそう言うと、つかつかと歩み寄り、思わず竦みあがる樹の手首を掴んで、下腹から引き剥がした。 樹は怯えた目で巧を見上げ、ちらっとこちらにも視線を送ってくる。 でも、月城はその視線から、そっと目を逸らした。助けてはあげられないのだ。自分には。 巧は微笑みを浮かべたまま、樹の全身をじっくり舐めるように視姦すると、月城の方を見て 「颯士。あれを」 その短い一言で、月城は全て察して道具箱を開ける。首輪と腕輪。それらを繋ぐ鎖状のリード。巧が、樹を飼う為に、特注で用意していたものだった。装飾性の全くない、ただ樹をペットとして飼う為の縛めの道具だ。 月城が無表情でそれらを持って近づくと、樹は怯えの滲んだ目で、月城の手の中の物を凝視した。そういう樹の素直な反応が楽しくて仕方がないのだ。これから樹のご主人様になる男は。 案の定、巧は満足気な笑みを口の端に浮かべて、可愛い獲物を見守っている。 「つけてやれ」 月城は無言で頷くと、尻込みし始める樹の手首に、まずは革製の腕輪を装着した。ごつい黒革のそれは、樹のほっそりとした白い腕には大袈裟過ぎる重量感だった。無垢で無抵抗な小動物に、猛獣仕様の拘束具をつけているような、見た目のギャップが……痛々しい。じりじりと後ずさる樹の身体を、逃げないように巧が後ろから押さえ込む。月城は腕輪以外は見ないようにして、樹の両手にそれを付け終えると、今後は首輪を取り出した。 樹は全身に薫の愛撫の跡を散らしていたが、首と鎖骨の周辺は、キスマークとは到底思えないほど真っ赤になっていた。 もしかしたら、甥の薫にも、巧と同じ嗜虐性があるのだろうか。血が繋がった叔父と甥なのだ。ちょっとしつこ過ぎると思えるほど、全身に刻み込んだ所有の印も、巧と同じ趣向性癖の現れなのかもしれない。 「首を、ちょっと上げてくれる?」 感情を廃した声音で短く命じると、樹は小刻みに身体を震わせながら、おずおずと指示に従った。

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