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見えない光3※

黒革の太い首輪と腕輪をはめられて、それを鎖で繋がれると、樹は絶望を瞳に宿し虚ろな眼差しで虚空を見つめた。 巧は満足そうに鼻を鳴らすと、樹の細い身体をぐいっと引き寄せた。 「おまえの為に特注したのだ。やはりよく似合うぞ」 竦み上がる樹を抱き締めて頬擦りすると、巧は両腕を掴んだまま少し離れて 「樹。今日はおまえを、正式に私のものにする為の大事な儀式だ。兄さんたちには、おまえの面倒一切を、これからは私が見ると承知させた。ようやく……この日が来たんだぞ。喜べ」 巧の理不尽な言葉にも、樹は全てを諦めたように何の反応も示さない。ただ身体をカタカタと震わせているだけだ。 月城は苦しくなって目を逸らしかけたが ……いや。僕にそんな資格はないんだ。この残酷な儀式の……僕は共犯者なんだから。 思い直して樹を見つめた。 せめて、巧が樹に施す仕打ちをきちんと見守って、巧がやり過ぎないように上手くフォローしてやらなくては。巧は興奮に我を忘れると、どこまでも残酷なことをしつこくやり続ける。それは自分自身の経験から、骨身にしみていた。 「樹。顔をあげなさい。おまえから私に、全てを捧げる誓いのキスを」 樹はのろのろと顔をあげた。にこやかに微笑みながら、少し屈んだ巧みに、背伸びしておずおずと顔を寄せる。 一瞬。泣きそうに顔を歪めてからぎゅっと目を瞑り、樹は巧の口に唇を合わせた。巧は樹の腕を引き寄せ 「ふふ。可愛いやつだ。舌を出せ」 樹は命じられるまま、小さな口から舌をちろっと出した。それを巧が満足そうに自分の唇で挟み舐り始める。 「……ん……ふ……ん……」 両手を後ろ手に戒められた生け贄が、苦しげに鼻で息継ぎしながら、ご主人様の口付けに必死で応えている。その姿はあまりにも哀しくて、でも胸が詰まるほど美しかった。 巧は樹の腕をがっしりと掴んだまま、かなり長い間、しつこく口を嬲り続けていた。 やがてようやく口付けを解くと、樹は真っ赤な目に涙を滲ませ、苦しそうに肩で息をした。 月城が思わず近寄ろうとすると、巧は鋭い視線でそれを制し 「樹の全身を清めてやる。ボディソープを寄越せ」 月城は黙って頷くと、ボトルを取りに行った。先にスポンジも渡そうとすると、巧はにやりと笑って首を振り 「私の指で、全て綺麗にしてやるからな」 そう言って、手のひらを差し出してきた。そこに月城がたっぷりのソープを出すと、巧はその手を樹の胸に伸ばした。 びくっとあからさまほどはっきり、樹の身体が震えた。とろりとした液体を滴らせた巧の指先が、自分の胸の尖りに触れるのを、凝視している。巧は喉を鳴らして笑いながら、まだうっすら色づいてさえいないその蕾を、指でいやらしくつまみ上げた。

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