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見えない光4※
……ああ……僕の中の……にいさんが……消えていっちゃうんだ……。
樹は、明るすぎるほどの照明の下で、自分の身体をねっとりと這い回る叔父の指を感じながら、ぼんやりと宙を見つめていた。
しつこく嬲られた口からは、既に薫との甘やかな口づけの記憶を根こそぎ奪われた。そして叔父の口から注ぎ込まれた毒は、身体の表面だけでなく中も、そして心をも穢していった。
「俺が触れたら、全部綺麗になる」
そう優しく慰めてくれた薫の言葉は、まるで両刃の剣のように、樹の心をズタズタに傷つけていた。
薫にはもう会えない自分は、この先汚れていくだけで、綺麗になることはないのだ。
目の奥が熱くなる。じわじわ滲み出し少しずつ集まった雫が、哀しみに耐えきれずにポロリ……と落ちた。
「樹。身体の力を抜きなさい。もっと尻を突き出すんだ」
縛められて身動きが不自由な樹を、巧が興奮を隠しきれない声で叱咤する。樹は怯えきった顔で頷くと、巧の指示通りに小さな尻を掲げた。
「颯士。支えてやれ」
ぎこちない樹の動きに、巧が少し苛立った声をあげた。
月城は素早く樹の前に回ると、床に這いつくばりそうになっていた身体をそっと引き起こす。
全身を巧の指で撫で回されている間、樹はまるで血の涙を流しているように見えた。はらはらと零れ落ちる涙は、はっとするほど美しいのに、その目に宿る哀しみの色があまりにも痛々しい。
時折ぎこちなく動く樹の唇は、間違いなく「にいさん」と言っていた。
決して声には出さなかったけれど。
月城が樹の上半身を膝の上に抱き起こすと、樹は涙に濡れた虚ろな目でこちらを見上げた。
「苦しくないかい?」
樹は、こく……っと頷いて、ちょっとほっとしたように膝にもたれかかってきた。
苦しくないはずはない。こんな無理な体勢で、巧の指を後ろに受け入れているのだから。
「……ぁ……っく……ぅう……っ」
強ばっていた身体が弛緩して、後ろが柔らかくほぐれたのだろう。巧の指の動きが激しさを増した。樹は歯を食いしばることも出来ずに、身体の奥底から絞り出すような呻きを漏らしている。
「いい子だな、樹。その調子だぞ。おまえの中はキツいが、私の指をしゃぶるのが上手いな。うん、いいぞ」
巧の声はひどく嬉しげで、興奮に掠れていた。ふと目をやると、その証の昂りが、グロテスクなほど大きくなり鎌首をもたげていた。樹の全身をじわじわと指で嬲るうちに、普段以上に煽られてしまったらしい。
樹の怯えきった反応は、彼にとっては最高のご馳走なのだ。生け贄が竦み上がり嫌がって泣けばそれだけ、彼の支配欲と嗜虐心を満たす。
……酷い男だ……。
月城は欲情に目をギラつかせる巧の顔を、ちらっと見て目を伏せた。
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