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新居、決めました篇 2 飲んじゃダメ

「んっ、ンくっ……ぁ、高雄、もっと」  要の部屋は年上で上司な分、うちよりも少しだけ広い。その部屋の玄関で、似つかわしくない甘い吐息と唾液が立てる濡れた音が響いてる。 「たか、お?」  そのキスが少しだけ荒れてることに敏感な要の舌が気がついて、唇を離しながら、不安げにこっちを見上げた。 「酔っ払い」 「ン、酔って、な」  酔ってるだろ。しゃっくりしながら、すげぇ目据わってるし、口調は固いけど、言ってることはほぼ俺らの惚気だし。訊かれたら、なんでもホイホイ暴露してた。あんた、明日ちゃんと覚えてろよ。荒井さんに俺のどこが好きになったのかって訊かれた時。 ――こんなにカッコいい男は世界中どこを探してもいないだろう? ダメだぞ。荒井さんは彼氏がいるんだから、高雄のことは諦めてくれ。  何、ムッとしながら意味わかんねぇこと言ってんだ、あんた。諦めるもくそもねぇだろ。勘違いとか早とちりとか、そういうのを通り越して、とにかく可愛いんだよ。 「なぁ、要」 「ン、な、に?」  年上のくせに、男のくせに、なんで、そんなに可愛いんだよ。あんたがそんなに可愛いから、我慢できないんだ。ベッドまで待てない、がっついて余裕のない年下の彼氏みたいで、すげぇカッコ悪いだろ。  俺たちのことは誰にも隠したりしていない。わざわざ知らせたりもしない。ただ、普通に、この感情を隠さずにいるだけ。 「馴れ初め、話してただろ?」  だって、どうせ隠せないだろ? これだけ好きな気持ちはどんなものでも覆えない。隠せないのなら、もうそのままでいい。 「ン、あ、あぁ、話して、た」 「身体的欠点?」 「はぁっ! ン、高雄っ」  玄関先で抱き締めて、その首筋に吸い付くと、酔っ払ってるくせに過剰なくらいに反応して背中を反らせた。明日は土曜だし、いいだろ、シャツの襟じゃ隠れないところでも月曜には薄れてる。バランスを崩しそうになる細い腰を抱いて引き寄せて、もうすでに硬くなってる部分を要に教えるように押し付けて、その反応を楽しんで。 「も、欠点だって、思って、な」 「あんた、たまに超天然だし、酒入ってるし、あの場で言い出すかと思った」  パイパンって。  そう耳朶にキスしながら囁くと、腕の中で要が震える。 「言、わない」  言われたらびっくりだっつうの。パイパンとか、でも、この人ならマジで言いそうだから。っていうか、俺には言ったしな。しかも三度も、さして親しくもない部下に言っただろ? 「だって」  要の白くて細い指が俺のスーツをぎゅっと掴んだ。 「だって、俺の、ここ、知ってるのも、見て、いいのも」  そして、俺だけを真っ直ぐに見上げる。 「高雄、だけ、なんだから」  その瞳が真っ黒で、艶めいて光って綺麗で、息が止まる。ゾクゾクして、背中のところで欲情がざわついてるのがわかる。 「俺は、見ていいの?」  じゃあ、見せて。そう囁くと、頬だけじゃなく首筋まで真っ赤にした要の白い指が自分のベルトを外して、スラックスをその手から離す。パサリと小さな音を立てて足元に落っこちた、柔らかく繊細な布、そして、今度はその指で下着をズリ下げて、見せてくれた。 「ん、高雄っ、見、て」  すげぇ……エロい。 「なぁ、要」 「ぁ、高雄、たか、お」  もうちゃんと硬くなって、震える切っ先に雫をくっつけて、その根元は、酔いのせい? それとも寒さに逆に火照った? もしかして、玄関先で興奮してる? 毛のほとんどない素肌が赤く染まっていた。 「ここがこんなだって、知って、見るだけ? 他は、して欲しいことでもあんの?」 「あ、あぁぁっ!」  エロすぎて、暴走しそう。 「ん、触って」  喉が何かを飲み込んだ。でも、飲み込んでも飲み込んでもこみ上げてきて止まらない。 「要、エロすぎ」 「あ、だって、高雄がカッコよかった」  ドキドキしていたんだ。そう言って、切っ先が可愛いピンク色をしたペニスを震わせながら、玄関先でねだるなよ。喉奥が焼けそうなくらいに腹のところが熱くてたまらなくて、なんも考えられなくなる。要のことしか、頭の中にはなくて、この人のことが欲しくて、もう止められなかった。 「あっ! やぁっン、高雄っ、たかっ、ぁ、あぁぁぁっ、奥」  ペニスの切っ先が要の奥を下から上へと小刻みに貫くと、孔の口がねだるように締め付けてくる。根元をしっかり咥えて、粘膜でしゃぶりつく要の中のやらしさに眩暈がする。ベッドまでも待ちきれず、玄関で靴だけ放るように脱いで、廊下で始まったセックスは寒いはずなのに、お互いに汗が滲むくらいに熱くなってた。 「要」  向かい合わせがいいって、俺の顔見てしたいって言った要が可愛すぎて困る。 「あ、あぁっ、ン、高雄」  でも、ここは廊下だから、抱き合ってするには、あんたの細い背中じゃ痛いだろ。だから、四つん這いになった背中を後ろから抱き締めて、廊下中にやらしい音を響かせてる。 「そこ、気持ち、イイっ」  知ってる。あんたの中がきゅんと締め付けて反応したから。繋がって、深くにまで貪欲に突き刺さっているそこが見たくて、尻たぶを親指で押し広げると、要が腰をくねらせた。 「やぁ……ン」  無意識に繋がったやらしい孔を見せ付けるように背中を折って、発情期みたいに尻たぶだけを掲げて、そして、キュンと締め付ける。ナチュラルにそれをするから、困るんだ。 「高雄っ、ぁ、や、ダメっ」 「ここ、露だくなのに?」  廊下にやらしい水溜り作ってんのに? そう、覆い被さって耳元に囁くだけで、ヒクつく孔、そして、もっと水溜りを大きくするように先走りを垂らす可愛いピンク色をしたパイパンのペニス、それだけでも充分、俺をおかしくさせるのに。 「ん、だって、高雄の、熱くて、大きくて、気持ちイイ、んだ」 「っ」 「もっと、たくさん、擦って、くれ」  そう言って、おねだりして、腰をくねらせるなよ。これじゃ、止められない。 「酒」 「え? ぁ、ン、何? お酒が、ど、した?」 「やっぱ、禁止」 「あ、あ、やだ、奥、らめっ……ン、ぁ」  いつも可愛くてやらしい年上の上司が、カクテル一杯飲んだだけで。 「ダメ? 中」 「っ、あぁぁン……ダメ、じゃない」  キュンって締め付けながら、こっちに振り返って、潤んだ瞳を一心に向けながら。 「いっぱい、俺の中で気持ち良くなって。お酒、よりも、高雄の、ちょーだい」  そんなことをおねだりすんだ。当然、禁止だろ? 「要、可愛すぎ」 「あ、ぁ、やっ、あぁぁぁぁぁぁっ!」

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