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ハロウィンコスイチャ 4 意地悪な悪戯
「は?」
抱きつく腕を解いて、振り返った俺の、夜に慣れてきた目に映ったのは、白黒の囚人服、なんて実際誰も着てるの見たことねぇぞ、っていうコスプレをした要だった。
「どうしたの? その格好」
「慌てて買ってきた。駅前にあった雑貨屋で。でも、もうハロウィン時期真っ只中だったから、これしかなかったんだ」
ホント、あんたは一体何してんの?
「ちゃんと! ……応援、してたんだ」
「……」
「山下のためにもって。それに軍服が見たいと、無理をさせたのは俺だから」
あー、困ったな。
「すごくカッコよかった! たくさんの女性に囲まれてたのも、高雄が嫌がってるのわかったし。俺のところに来てくれようとしてたの、嬉しかった。優勝おめでとうって思ってる。だが――」
これは、マズいかもしれない。
「意地悪そうな上官の、高雄に、俺が」
「……」
「意地悪なことを、されたくて」
今日は。
「高雄上官」
「……」
「俺、お菓子持っていないので、その、悪戯、してください」
きっと歯止めが効かない。
「できたら、その」
だから、そんな顔しないほうがいい。
「あぁ、悪戯、してやるよ」
「っ」
「すげぇ……意地悪な、やつね」
腰を引き寄せ、その耳元で、あっまい低い声で囁いただけで、要の頬が綺麗に紅潮したのが暗闇でもわかった。
「あっ、ぁっ……やだっ……ン」
身体検査、しないと、だろ? 囚人がその身体に何も隠し持ってないことを確かめないといけないんだから、ちゃんと、身体の奥までこっちにみせろよ。
「見ちゃ、やだ」
やらしい作りの部屋だな。まるでガラスの箱の中から恋人を鑑賞できるみたいにバスルームは総ガラスばり。そして、その隣には、そのガラスの箱庭で湯に浸かる恋人を眺めて楽しめるように設置したとしたか思えないソファが、だだっ広い洗面台のところにあるなんてな。
要の切なげな声はそのガラスの箱の中から少しくぐもって聞こえた。箱庭のようなバスルームの中、ひとりでズボンをズリ下げ、自慰のような身体検査ごっこを強いられてる。手を向こう側のガラスの壁について、少し脚を広げ、後ろの伸ばした自分の手で、孔の中をまさぐっている。
「やぁっ……ン」
甘い声がガラスの向こう側なのがもどかしい。
「ダメっ」
くちゅりと音が聞こえてきそうなほど、やらしい顔をした要に、喉が熱を飲み混んだ。
「あぁぁぁっ」
尻をこっちに突き出して、白い指で、薄いピンク色をした孔の口をいじってる。半裸になった囚人服の無機質な白と黒のストライプが妖艶な肌を余計に際立たせてる気がした。
「あっ、あン」
指を入れて切なげに、俺のことをが欲しいって顔をして、こっちに振り向く。
すげ、挿れたい。挿れて、奥まで、俺ので埋めて、そのままパイパンのペニスを握って扱いてイかせたい。
けど、まだ、「おあずけ」だ。
俺は、指二本を翻すだけ、無言で、身体をこっちに向けろって、指示を飛ばす。
それを見た要が息を飲んで、指示どおりに箱の中で身体をこっちに向けた。
「あ……高雄」
その瞳が濡れてた。欲しくて欲しくて、おかしくなりそうに興奮して零れそうな涙で濡れてる。
(ほら、いじれよ)
そう口元だけでオーダーすれば、囚人服に身を包んだ要は律儀に身体検査という名の一人遊びを再開する。服の中に手を入れて乳首をいじりながら、見られてる興奮に立ってるのが辛くなったのか、もっと奥まで抉じ開けたくなったのか、下だけ脱ぐと、浴槽の縁の腰をかけた。そして、限界まで開いた身体を披露しながら、指を咥えていく。さっきよりも欲情してピンク色を濃くした孔に二本、細く白い指を突き入れて、動かして。
「ああっ……ン、高雄、高雄っ」
甘い声で俺を呼ぶ。
「高雄ぉ……」
なぁ、乳首、抓ってる? 痛いくらいに爪で引っ掻いて、小刻みに何度もしつこく、痛いくらいに乳首の先端をいじめてから、きつく押し潰してる? あんたの中はこれをされると、きゅうきゅうしゃぶりついて、極上の柔らかさになるんだ。狭くて、きつくて、そのくせ柔く締め付ける。
頭が真っ白になるくらいに、気持ちイイんだぜ? 最高の心地になれる。
「高雄、ぁン」
その快楽を自分の指で味わってる?
「ン、ん、高雄のが、いい」
まだ、ダメ。もっと、ほら、それじゃよく見えねぇ。あんたのやらしい乳首も、エロいパイパンもちゃんと見せろよ。
要が堪えきれず、オーダーしていないのに、ガラスの箱の中で全裸になった。
「高雄」
赤く染まった乳首を抓って、先走りにびしょ濡れになったペニスをそそり立たせ、その奥でヒクつく孔を抉じ開けた指で、そこを広げてみせた。
「奥、欲しい……ぃ」
これってさ。
「高雄の大きいの、ここに、欲し」
俺があんたに意地悪をするんじゃなかったっけ?
「あ、あっ、ああっン、高雄、高雄っ」
俺がすげぇ意地悪されてんだけど? いてぇっつうの。もう俺が興奮に頭の芯まで犯されそうだ。
「高雄っ」
甘く啼くやらしい囚われ人の卑猥な姿。
「お願い……」
「要」
もう我慢の限界だった。
「ン……ン、んっくっ……」
立ち上がり、ガラスの箱の中へと向かう俺に抱きついて、全裸の要が唇にしゃぶりつく。それをひん剥くように腕を掴んで手で束ね、舌を差し込みながら、荒らすように舌を差し込んだ。
「あ、ぁっんんんんんんっ!」
そして、折れそうな細い腰を抱きしめただけで軍服を汚す、淫らな囚人に、ゾクゾクって、ヤバイくらいの欲でなんも考えられなくなった。
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