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初旅行篇 4 まるで花
「高雄っ」
俺を呼ぶ声は玄関でキスの立てる音と一緒に響いてる。部屋にも行かず、まだここで、お互いにキスを貪ることに忙しい。
「もっと、キス、欲しっ」
そう言って、俺の唇を舐めて啄ばんで、舌をちゃんと絡ませてくる。やらしく絡みついて、音を立てて、フェラみたいにしゃぶりついて、上品な言葉使いがよく似合う口元を唾液で濡らして、甘い、甘い息継ぎをしては、また溺れるみたいに俺の中に飛び込んで、キスを欲しがる。首に腕を絡ませて、しがみついて、離さないって全身で俺に訴えて。
「ンンンっ」
泣きはらした瞼が最高にそそる。
元の肌が白いせいでやたらと涙の痕が目立って、痛々しいほど赤みを帯びて見えるその瞼にキスをひとつした。唇で触れると、舌よりも熱い。
もう一度、唇にキスをしてから、首筋に、あんたは俺のだって印をひとつくっつけると、要の指先が動きで俺の髪をぐちゃぐちゃに掻き乱した。俺はあんたの、この指先がたまらなく好きだ。
「あっ……」
次にキスして、甘い刺激で痛みを取ろうと思った場所。
「あ、高雄っ」
自分で吐いた嘘に傷ついた場所。そこをたくし上げて、捲って、晒すと、要が表情を変えた。熱を喉奥で飲み干して、じっと、俺の唇がそこに触れるのを待ってる。
「……要」
上品で、誰よりも清楚に見えるくせに、気持ちイイことが好きで、エロい要の、乳首。
「ぁ、あぁぁぁぁっ!」
期待しただけでわずかに硬く、色身を強くする、その小さな粒の手前で、口を大きく開いて、わざと見えるように咥えてみせた。自分の胸に齧り付く俺を見ながら、気持ち良さそうな声を上げる要が見たくて。背中を丸めて、まるで年上のあんたに甘えるようにしがみついた。
「あ、あぁっ! 高雄っ! 乳首、ぁ、ンっ」
気持ちイイ? 頬張った乳首はもう硬くて、舌で転がすように舐めて、押して潰してみたり、吸ってみたり、口の中で愛撫する。
「やぁっン」
やらしい声。
「要」
「あ、高雄」
色白なあんたの乳首は元から色が薄い。でも、ほら――。
「こっちは?」
口の中でコリッコリに硬くなるまでたっぷり刺激した乳首を解放して、本人に見せてやる。ピンク色をした、甘くて美味そうな、やらしい粒をじっと見つめてから、要が唇を薄く開いて、物欲しそうな顔をした。
「……して、欲し、もう片方も、ぁ、あぁぁぁああっ!」
舌で愛撫されまくってる間、ずっとじれったそうに待っていた、もう片方の乳首にいきなり歯を立てた。背中を反らせて、俺の歯と舌に胸を押しつけるようにして、ぎゅっと頭を抱えながら喘ぐ要にたまらなく興奮する。
俺との快楽しか知らないこの人がたまらない。なんて、贅沢をしているんだろうと自分でも思うよ。
「あ、やだ、ダメ、だ」
「なんで? 乳首、だけで充分?」
「だって、ここじゃ」
跪いて、要の前に何もかも捧げるような格好をした俺を見上げるあんたは聖母マリアみたいなのに。白くて、美しい、純潔って言葉が一番似合いそうなのに。
「見せて……要の、パイパン」
ここの離れに囲っておかないとって、本気で思うほど、一番エロくて、やらしくて、妖艶な人。
「恥ず、かし、ぃ」
「要、見たい」
「っ……」
ベルトを外して、ジッパーを下ろす音がやたらと響いて聞こえた。
「や、そんなに見ないでくれ」
言いながら、指は自分の下着の中へと潜り込み、そのまま、恐る恐る下へとおろしていく。羞恥でゆっくりしてるんだろうけど、でも、目の前でそれを見物している俺にとっては、まるで焦らして遊ばれてる気分がした。もっと見たい。清楚な人の一番やらしい場所を早く見せてくれって、腹の底で熱が暴れてる。
痛いくらいに張り詰めて、眩暈がする。
「あ、高雄……」
真っ白な肌は興奮でほんのりピンク色になっていた。とくに、普段は見えることのない下腹部、脇腹はその赤みが濃く出る。毛といえるほどのものが生えていないそこでしっかりとそそり立っている性器は、先端からトロリとした蜜を垂らす芯。
まるで花だ。
あんたの名前のとおり、花のように綺麗で卑猥な体。
「あぁぁぁぁあっン、ぁ、高雄っ、ダメっ、も、あぁぁっ!」
その芯を口に咥えて、音を立てて蜜を啜った。じゅぶって、卑猥な音、やらしい悲鳴。俺の髪を掻き乱す指先が舌の動きに合わせて、ピクンって反応するのがたまらない。
「要、足、こっち」
一回、口から離して、白い太腿を鷲掴みにしたら目を見開いた。その視線は俺にだけ注がれてる。
「え、あっ、高雄?」
要の足を片方俺の肩にかけると不安定に感じるのか、髪を掻き混ぜる指先が力を込めた。
「要、ちゃんと掴まってろ」
「え? あぁぁっン、や、ダメっ」
ちゃんと転ばないように言って、腹のところにキスをして、吸い付いて、キスマークをつけた。要のしっかりとそそり立った芯を握って、先から溢れる蜜を指に絡ませた。数回扱くだけで気持ち良さそうに腰を揺らす要が可愛くて、またひとつ、今度は俺の肩にのせた太ももに歯を立ててやんわりと噛み痕をつけて、それでも柔肌の質感がたまらなくて、キスの印もくっつけて。
白い肌についていく「所有」の意味を持っている印を嬉しそうに眺めていた要を、視線で、太腿に食い込ませた指先で、そして、先走りの蜜でびしょ濡れになった、この人のやらしいペニスを咥えた唇で、逃げられないように捕まえたまま。
「あ、ウソ……」
尻たぶの狭間に忍び込む。
「あ、やぁっン、入って、ぁ、高雄っ」
フェラしながら、指で、要の中を抉じ開けた。
「あ、あぁっ、ダメ、高雄」
「……」
「ひゃあああっ、ン、ん」
クプリと差し込んだ中指で、ゆっくり、中をほぐしていく。指にきゅうきゅうと吸い付くやらしい内側を擦って、抉じ開けて、暴走しそうな自分自身を必死で抑えながら。
「あぁぁっン、高雄の指、ぁ、あぁぁぁっ」
もう、この指が気持ちイイってわかってるから、要の中はちゃんと答えて、柔らかく絡みついたり、きつくしゃぶりついたり。やらしい。こんな奥をこんなに卑猥にヒクつかせて、一度抜くと寂しそうにしがみつこうとする。そして、今度は二本で中を抉じ開けられたことに、もっと気持ち良さそうに、孔の口をきゅっと締める。
たまらない。
奥歯がギリギリと音を立ててる。
「高雄の指、ぁ、気持ち、ぃ」
その時だった。
――コンコン
すぐそこ、玄関の扉の向こうからノックの音と、「お客様」と呼ぶ声がした。
「!」
その声に驚いて、要の孔の口が、ぎゅっと俺の指をきつくしゃぶるから。俺がずっと我慢してた発熱の塊がもう我慢の限界だって、腹の底で暴れ出した。
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