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電話しつつ……編 5 スイッチ
山下に、少しだけ教えたけど、でも、誰も知らない本当の花織課長。完全で、完璧なこの人がどんだけ遠慮してばっかで、どんだけ引っ込み思案で。
「あぁ、ごめん、ちょっと手離してた」
どんだけ不器用か。
「山下、わり、なんだっけ」
「!」
な、要、わかった? 今、誰と電話してるのか。
山下、って聞いて、ピクンと要が反応した。電話の向こうに自分の部下がいる。
「それは別メーカーのだから」
そんで、電話のこっち側で、この人は俺のTシャツ一枚だけを着て、リビングにいる俺のところへやってきた。下着は多分つけてない、よな。俺は要のルームウエアを風呂場に置いてきた。けど、その要は「あえて」俺の服を着た。体格の違う、要には少しでかい恋人の服一枚だけで。
不器用なこの人なりの誘惑。
けど、電話の向こうにいるのは同じ部署の人間。
不器用で、タイミングの悪さもピカイチ。職場でエロ動画をスマホの大音量で再生したのが、俺らの始まりだったくらいにドジなところがある。
「その仕様書なら……っ」
やめねぇの?
「っ」
真っ赤な顔をして、電話の向こうに山下がいることも承知して、リビングのソファに座る俺の足の間に膝をつくと、太ももの内側に頬を擦り付けて俺を見上げた。要にはでかい俺のTシャツの襟首から、ピンク色の乳首をチラつかせて。
いいの?
まだ電話中だけど?
「……ン」
けど、かまわずに、要はその太腿の内側に唇を寄せてから、もっと近くに陣取って。
なぁ、要。
「っ……ん」
そして、ルームウエアの柔らかい布越しに、俺の股間へキスをした。
「っ」
『庄司さん?』
「っ、あ、あぁ、わり。それならメーカーで検索すれば」
下着ごとウエアのズボンを引っ張られて、中ですでに反応していたペニスが飛び出すように跳ねて、要の唇に触れた。触れて、開いた唇に咥えられて、硬くなりかけていたそれはしっかりと熱の芯を持って、硬くなった。舌の柔らかさを堪能したいと張り詰めて、要の口の中で勃起する。
電話の向こうに山下がいるのに。
「ン……」
口の中いっぱいにペニスを頬張られてる。
「それで、多分、仕様は全部出てくる、だろ」
口から解放されたかと思ったら、要の舌で濡らされたペニスの先端に丁寧にキスをされ、そのまま先の丸みを帯びた部分だけを舐められ、竿を手で扱かれる。赤く、アルコールに浸って熱っぽく、少し動き方がゆっくりなその舌になぶられるように舐め回されて、ゾクっとした。
山下がいるってわかっていて、愛撫を止めない要に。
「他には? 大丈夫か? 山下」
『うわあああ! ありがとうございます! あの! そしたらっ』
すげぇ興奮した。
「あぁ、いいぜ。他になんかあれば、教える」
「あっ……」
なんでもいいよ。
とにかく、すげぇイキそうになるくらい、興奮する。
「今のうちに訊けよ」
スマホを持つ手を変えて、右手で要の頬に触れた、俺のペニスを口ん中いっぱいに頬張ったその頬を撫でて、耳朶を揉んでくすぐったそうに肩をすくめたところでその耳を掌で覆い隠した。片耳だけでも自分のフェラの音が聞こえるように。それから、首筋、鎖骨をなぞって。
「っく、ぅ……ン」
さっきからずっとちらついてる乳首を撫でて。
「ンンっ」
摘んだ。
ツンと尖って、感度が最高に良い乳首を指の柔らかいところでくるりと撫でて、硬さを確かめるようにそのまま指で押してから、摘んで、爪で引っ掻いた。
「あぁ、それはデータにまとめてある」
電話の向こうに山下がいるのに。
あの花織課長は恋人のペニスを口に咥えながら、今、乳首を弄られて感じてる。
「だから、月曜にメールで送ってやるよ」
「んんんっ」
摘まれて、爪で何度も引っ掻かれて、気持ち良くなってる。いやらしい顔をして、恋人のペニスをしゃぶってる。
「気にすんな」
酔っ払って、なんかスイッチが入った?
さっき廊下でしたキスで入った? 風呂の中で? それとも、タイミングの悪い山下の電話にちゃんと付き合ってる「先輩」な俺にヤキモチでもした?
「あっ!」
俺も、スイッチ、入ったわ。
要の腕を掴んで、ソファに引っ張り上げると、そのまま押し倒した。
「あと、この前使ったミーティングの時の資料も」
やらしい課長だな。
恋人のTシャツ一枚で下着を身につけてないから、押し倒された拍子に捲れて、ほら、綺麗なピンク色をしたペニスが勃起してるのが丸わかりだ。それを恥ずかしそうに手で隠そうとする要の手首を掴んでソファに押し戻すと、ぷっくりと勃ち上がってる乳首に服越しにしゃぶりついた。
「あれはそのまま使えると思う」
甘い甘い悲鳴を部下に聞かれてしまわないように慌てて自分の口元を掌で押さえて堪える要を組み敷いて、ヒクついてる綺麗な色をした孔に指を。
「! っっっっっ!」
中、が、すげぇ熱い。
指に絡みついて、物欲しげに孔の口がキュンキュンと締まってる。そして、その熱く絡みつく内側の一箇所を指でゆっくり撫でたら、要が背中をしならせて気持ち良さそうに無音で喘いだ。声を殺して、部下に聞こえてしまわないように。
困った顔。
「っ……ぅ……ン」
けど、欲しくてたまらないって顔。
「ン……ん」
足を閉じて止めたいのか開いて欲しいとねだりたいのか困惑してるくせに。
「んんんっ」
指にしゃぶりつくやらしい身体。
ホント、マジでさ。
「っ」
息を呑むくらいに興奮した。熱で喉奥が焼けそうなくらい。
「山下」
もう限界だ。
「あと、何かあれば月曜に教えてやる。あぁ」
早く。
「それじゃあ、あとは頑張れ……あぁ、お疲れ」
あんたの中に俺を挿れたくて、壊れそうだ。
「ったく」
「っ!」
「もういいよ」
「あっ」
柔らかい孔にゾクっとした。
「要の声、聞かせて」
「……あ、ぁ、ああああああっ」
そして、抉じ開けた身体は酷くしそうになるくらい、気持ち良くて、たまらなかった。
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