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課長はレース派編 3 あわあわ、サワサワ、素敵な桜色

「夕飯は後で、な」 「あ、ぁ……っ」  要が真っ赤になってた。 「あ、あのっ、仕事の方は大丈夫だった、か?」 「もうさっきその話したろ?」 「あ、あぁ、うん」  コクンと頷いて、俯いたまま顔を上げない。 「あ、あのっ、デザートも買ったんだ。シャインマスカット! とっても甘くて美味しいって」 「へぇ」 「食べるか?」 「あぁ、そうだな、要を食った後な」 「!」  スラックスのベルトに手をかけると、慌てて要の白い指が俺の手に絡みついてくる。 「あ、あ、あ、あの、えっと、そうだっ、えっと」 「要」 「あ、あのっ、シャインマスカットなら今すぐ食べられるから、食べるか? 仕事、頑張ってもらって、悪かった。そのお腹すいただろ?」 「あぁ、ペコペコ」 「っン」  キスで舌先を絡めとると、俺の手の邪魔をする要の指先が狼狽えていた。 「ん……ン」  深いキスに舌をおずおずと絡めてくれる。 「あ、あの」  それでもまだ脱がせようとする俺の手に指先を絡めて、戸惑うから。 「それ、煽るだけだぞ」 「っ、だ、だって」  まるでご馳走を目の前にチラつかせられてるみたいで、甘い苛立ちに喉奥が熱くなってくる。早く食らいつきたくて、息が荒くなる。 「だって、や、やっぱり似合わないかもしれない。サワサワ、だし。スラックス、だし」  それがいいんだろ? あの真面目な課長が、そのスラックスの下に身に纏ってるとか。 「お、男、だし」  俺の手に触れる指先がキュッと力を込めた。  あぁ、そこか。  俺の斜め上をいく、この人が今躊躇う理由は。 「高雄が好みだと言っていた下着、身に付けてたのは女性、だから」  あんまり興奮させないでくれ。明日、要はミーティングがまたあるって言ってたろ? 「俺が身に付けても、おかしい気がする……って、さっき、会社から帰ってくる時思ったんだ。その、だって女性じゃないから、さ、さっき、トイレでちょっとだけ見せたけれど、あれはちょっとだったから。だから大丈夫だっただけで、その全部見てみたら、やっぱりおかしいだろ? な、萎えて……しまうかもしれないし。だ、だから、やっぱりこれは、っ」 「もういいか?」 「え?」 「待て、の命令」 「……ぁ」 「もう無視して、いいだろ」 「ンっ」  戸惑いながら触れていた手を捕まえて、そのまま腰を引き寄せ、もっと深いキスをした。舌先を絡ませて、唾液が伝うのも構わず、その唇に唇を重ねて。 「ん……ン」  躊躇っていた指先が俺のシャツにしがみつくまで。 「ぁ……高雄」 「ずっとこっちはお預けくらいながら、仕事片付けてきたんだ」 「あ」 「ご褒美、欲しいんだけど?」 「ぁ、俺が」  興奮しすぎて、おかしくなりそうだ。真っ赤になりながら狼狽えてる、メガネ越しの潤んだ瞳が俺の懇願に揺れてる。 「俺が、高雄の……ご褒美?」  こんな可愛い要以上に大喜びするご褒美なんてないだろ、そう襲いかかりたくてたまらない飢えた獣みたいに息をみだしながら告げると。 「ど、どうぞ……それでは、あの、ご褒美、だっ」  邪魔をしてた白い指が自分からスラックスのベルトを外して、スラックスの前を開いてから自分の手の置き場が定まらず狼狽えて。自身が纏うレースを指で触れた。 「ご、ご褒美に、ちゃんとなってる、か?」  仕草にどうしようもなく興奮した。 「へ、変じゃないか? 通販で買ったんだ。あの、テレビでやっていたブランドの通販サイトあったから、その、同じの見つけて」  喉奥が興奮に焼けそう。 「で、でも、そのきっとあのテレビを見て購入を考えた人が多いんだろう。俺が見た時はもうテレビと同じ色のがなくて、その、し、仕方なく、この色に……テレビと同じではないんだが」  あの時は。 「グリーンの色もタレントさんが誉めていたけれど、なかったから」  あぁ、そうだったグリーンだったっけ。 「黒はちょっと……だが白も、欠品してて、その、だからであって、この色のことは、あの」  いつも以上に恥ずかしかがってるのがたまらなかった。  ベッドに腰をかけて眺める俺の前で、靴下はそのままスラックスだけ脱いで、日中、商談をしている時、社食で山下たちと真面目に仕事の話をしていたそのシャツを着たまま、おずおずと、シャツの裾を持ち上げて見せてくれる。  要の頬と同じ色をした淡いピンク色のレースを。 「すげぇ、そそるけど」 「ほ、本当に?」 「あぁ」  何これ。 「淡い、可愛らしい色合いだったから、俺には到底似合わない気がして、あ、わっ」  ゾクゾクして、奥歯に自然と力が篭る。 「すげ……」 「あっ」  引き寄せて、俺の上に跨らせると、腰のレースと、肌に食い込んでいる淡いピンク色の紐を指で引っ張った。 「ンっ」  やばい。 「高雄」  あまりに美味そうで。 「これも、ご褒美、シャインマスカット」  持ってきてくれたそれを要がひとつ、房からもぎ取り自分の口に咥えた。 「食べる、だろ?」  そう言って、手を俺の首に巻き付けながら、口付けるように首を傾げて、要から甘い果実を口移してで与えられる。 「美味いか?」 「あぁ」  甘くて、噛んだ瞬間に果汁が溢れてきた。 「すげぇ美味い」  その果汁で濡れた唇でシャツ越しに、レースと同じ色をしてウズウズと勃ち上がっていた、要の乳首にしゃぶりつく。 「あ、やぁ……ぁ、ン、ダメっ」  そして、同じ淡いピンク色をした唇から零れ落ちる声はマスカットよりも甘くて、瑞々しくて。 「ン、高雄っ」  俺は奪うようにその唇にキスをした。

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