ここまでなんて、思ってなかった。 　誤算だった。 　見てみたかったってだけ。 　要の白い肌に女物の下着っていうのが少し見てみたかっただけ。 　こんなだとか、思ってもいなかった。 「くそっ……」 　身体が熱で軋んで痛いくらいに興奮する。 「ぁっ、高雄っ」 　俺に跨ってシャツの下で火照りに肌を色づかせながら、愛撫にくねる腰には淡いピンク色のリボンが食い込んで。しなやかなレースは触れると柔らかくて、けど、身に纏ってる方は慣れないんだろ。そんな繊細なレースが肌に触れるだけでビクンと跳ねて、戸惑いが吐息に混ざってる。いつもと違う肌触りが気持ちいいのか、要がくすぐったそうに身を捩って、瞳を潤ませてる。 「ぁ……ン」 　甘い甘い、ピンク色の要はやばくて。 「っ、くそエロい」 　奥歯に自然と力が籠る。 　やばいくらいそそられてる。 「こ、ら……口、悪いっ、あ、あ」 「じゃあ、塞いで？」 「あ、ふっ……ン」 　覗き込んでそう囁いたら、要がくちゅりと音をさせながら舌を挿し込んで、しゃぶりついてくれる。首に腕を絡めて、俺のワックスでセットした髪をくしゃくしゃに白い指で乱しながら。 　抱き締める手を要の背中に回すとゾクゾクするのか腰を押し付けて。背中からなぞるように指を下へと下ろしていく。その指先に感じて硬くなった要のが俺のに触れた。シャツの裾で隠れてる尻の割れ目をなぞると、俺も普段とは違うレースの感触にゾクゾクした。 　繊細な布を避けて。 「あっ」 　そこに触れると、肩にしがみつく指が力を込める。 「ン、あっ……」 「中、濡れてる」 　つぷ……と、指を挿れるととろりとしてた。 「ぁっ……だって」 　震える唇がエロかった。 　躊躇いながら、真っ赤になって俯いて恥じらいながら、シャツの下、ピンク色のレースの下着なんてまとってるのがエロくて。 「でも、もしかしたら萎えてしまうかもって、準備しながら、少し怖かった……あっ！」 　俺が必死に仕事片付けまくってた時、要はこれを着たまま、行為のための準備してたとか、さ。 　いらねぇだろ。 　萎えるわけがない。 　そんな一ミリもいらない心配事を呟く要の身体が指が挿入された途端、嬉しそうにきゅっと孔を窄めるのが、エロい。 「ぁっ……あ、ン」 　萎えないでいたことに悦ぶとか。 「ぁ、ン」 　中がこんなに柔らかく解れてて、ローションにたっぷり濡れてるとか。 「ぁ、あ、っ」 　指を二本に増やすと、それを咥えて離さないって奥まできゅっと締めながら、いっそう甘い声で鳴くとか。 　物欲しそうに揺れる腰のところでふわりと踊るレースも。 「ぁっ……あっ」 　全部がホント。 「なぁ、後ろ姿も見せて」 「え？　……ぁ」 　目を丸くした後、また、唇をキュッと結んで。 「見てくれるの、か？」 　そのままそっと俺の膝の上から降りると、後ろ向きになりベッドの上で膝立ちになって、おずおずと白い指でシャツの裾を自分から持ち上げる。 「ど、どうだ？　おかしく、ないか？」 　細い腰。 　白い肌。 「そ、その、あの、テレビで紹介されてたのはっ、ハ、ハーフバック、という形状のものなんだが、そのっ、スラックスに、あ、と、下着のラインが出てしまうかもしれなくて、そんな場合にはＴバックという形状のものが最適だとっ、しょ、紹介されていて。だからであって、そのっ、これじゃ、意味を成してない気はしてたんだがっ、あの」 　この人さ。 「布の面積がほぼ、その、ただの、リボっ……わっ」 　ホント……。 「あ、あのっ」 　なんなんだ。 　押し倒されて、シャツの裾が捲れたせいで丸見えになった要は慌てて脚をキュッと閉じてどうにか隠そうとする。 　真っ赤だ。 「あっ、わ……」 　そして、脚を閉じた拍子に足のつま先が俺の股間に触れて、目を丸くした。もうガチガチだっつうの。 「あの、高雄……の」 「あぁ、もう限界」 「っ」 　そこで、照れるとかさ、喜ぶとか、だと思うだろ？　フツー。 「要？」 　ホント、斜め上だ。 「じ、自分からこんな格好したくせに、なんだが……その高雄が喜んでくれるかなと考えた、んだが……似合ってると言ってもらえて嬉しかった……けど」 　けど？ 「やっぱりこういう下着がよく似合う女性の方が高雄は興奮してしまうのかもしれないと、今、思ったら……なんだか」 　なんだか。 　なんで？ 　そこでへの字口？ 「自分で、パンツにヤキモチ……」 　ホント。 「っ、わけわからないよなっ、悪い、気にしないで、ク……ン」 　斜め上すぎて、ムカつく。 「可愛すぎ」 　可愛いことしか言わない口にキスをした。 「ン、ん……ぁ……高雄？」 　可愛いことしかしないこの人を抱き締めた。 「女物の下着くらいでテンション上がったりしねぇよ」 「ぇ？」 「興奮してんのは」 　この人に、だ。 「いっつも真面目で仕事のできる要が、俺のためっつって、空回って、泣いたり、困ったり、真っ赤になるのがたまんないだけ」 　好みだと呟いただけでその下着をこっそり買って、こっそり履いてくれるとか。 「俺といる時の要は、普段と全然違うから」 「……」 「誰も見たことのない要を俺だけが見てもいいってことに、テンション上がってるだけだ」 　自分が履いてる下着にヤキモチとか、わけわかんないことを言い出すこの人が。 「要だからだ」 　ホント……可愛くて、愛しくてたまらない。