ムカつくくらいに愛しいから、面倒なほど大事に、ゆっくり、指で慣らしたいのに。 「もっ、あぁぁぁっ、たか、おっ……ぁ、ダメ」 　あんたの甘い悲鳴がそれをさせてくれない。 　舌で転がしてぷっくりと勃ち上がらせた乳首を唇で摘んで吸うと、身体の奥を抉じ開けている指に要の粘膜がやらしく絡みつく。二本の指に甘えるように吸いつかれて、どうしようもなく腹の底で雄が暴れだす。 　ダメって言う声がやらしくて甘いから止められない。敏感なこの人はただその肌を吸われただけもで感じすぎるからって言ってたのに、この指でもっと抉じ開けて、早く繋がりたい欲求に頭がおかしくなる。 　呼吸が乱れて、本能むき出しの獣みたいにその白い肌に歯を立ててしまう。 「あぁぁっ、ン、乳首、感じ、すぎて、ダメ」 　本人は無自覚だから困るんだ。 　ほら今も、俺の下で身悶えてエロい声を上げながら、コリコリに硬くなった乳首を両方びしょ濡れになるまでしゃぶられて、目に涙を溜めている。 　敏感すぎて、気持ち良すぎて目を潤ませてるあんたを見て、止められるわけねぇだろ。 「ダメ？　そのわりには俺の指にちゅぱちゅぱ吸い付いてるけど？　すげぇ、ヒクついてる」 「や、ぁ……言うな」 　指を二本根元まで咥え込んだ孔がきゅっとその口をきつく閉じる。閉じて、中をまさぐる指をもっと奥まで誘い込もうとうねらせるなよ。本当に理性消し飛ぶっつうの。 「ひゃぁぁっ！」 　敏感なピンク色の乳首を片方だけ吸って、甘噛みしながら、もう片方を指で摘み取るように捕まえて、先だけを爪でカリカリ引っ掻いた。その瞬間、乳首から刺激が電気みたいに駆け巡ったのか、要が背中を反らして、指をきつく孔の口で締め付けながら、掠れた悲鳴をあげる。 　でも、俺は休憩する隙を与えることなく、そのまま指で覚えたばっかの前立腺を探り当てた。 「！　ぁ、ちょ、たか、ぁ、あぁァあっ！」 　途端に激しく反応する白い身体は一瞬でのぼせたみたいに薄くピンク色に染まった。腹の底で雄の本能が暴れ出すのを必死で堪えながら、この人のやらしい場所を指で突いて、撫でて、粘膜を広げながら、俺がここに入っても痛くないように、ふたりで気持ち良くなれるようにって。 「イヤだ！　高雄、ダメっだ！　ちょ、ヤっ、ァ……っ！」 　でも、あまりに必死に首を振ってヤダヤダ言うから、手を止めた。すげぇ興奮してる。この人が泣くくらいに悦がらせて、感じさせたいって、腹の底で欲求が暴れてる。でも、手を止めて、その瞳を覗き込んだ。なんだよ、とか、めんどくせぇ、とかこれっぽっちも思わなかった。ぶっちゃけ、相手がこの人じゃなかったらそうは思えなかったかもしれない。 「痛い？　前立腺」 「！　ち、ち、ちがっ」 　俺の胸のところでぎゅっと硬く握り締めたままだった要の手がふわっと力を抜いて、俺の肩に触れた。温かい掌。 「違うんだ。痛いとか、じゃなくて、その」 「……」 「その」 　要の次の言葉を待てる自分がいる。暴走しそうなほど熱くなった本能の手綱を引っ張るようにしなくても、ちゃんとこの人の言葉を待てている。 「高雄にも気持ち良くなってもらいたい。お前の掌はとても気持ち良くて、触られるとそれだけですぐに射精してしまいそうになるから、だから、またそうして先に気持ち良くなるんじゃなく」 　この人のことは「特別」なんだ。 「せ、せ、セックスしたいんだ」 「……」 「ずっと、この三日間で心の準備はできてたんだから、その、えっと、待ってたというか、その、あ！　いや、そうじゃなくて、そのデートはとても楽しかったんだ！　ただだな！　ただ、今日はそうかな、と思ったら帰らせるから、その」 「もうわかったから」 「本当だろうなっ！」 「あぁ」 　怒ってんの？　あんた、それ、眉をキッと吊り上げてるけど、なんでそんな可愛いんだよ。っつうか、なんでこんなに違うんだろうな。今、こうして怒っているあんたと、見積もりを突っ返すあんたは全然違う。 「そ、そしたら……その」 　もぞもぞと俺の下で動いたかと思ったら、自分から脚を開いて、指を咥え込んだ孔の口をこっちへと向ける。そのまま両手で俺の手を掴んで引き抜くと甘い溜め息をひとつ溢して、俺の肩にキスをして、四つん這いになった。 　ヒクつく孔の口をこっちに向けながら、振り返って、潤んだ瞳を向ける。 「早く、高雄」 　今、ずっと指で慣らされてはいたけど、でも、まだ、狭い。なぁ、あんた、まだ二回目ってわかってんのか？ 「まだ慣らしきってねぇよ。これじゃ、痛いぞ」 「平気だ。早く」 　中で感じたい、とか言うなよ。 「ぁっ……」 「要、痛かったら」 　切っ先で触れると濡れた音がした。もうそっからは止められなかった。 「あ、あぁっ……ン、ぁ、高雄、の……あぁぁっ」 　だって、ムカつくくらいに可愛いくせして、こんな時にいきなり包容力全開で俺のこと欲しがって、孔の口にペニスを押し付けた瞬間、細くて華奢な白い背中を折れそうなほど逸らして喘ぐんだ。止められるわけがない。 「あぁぁぁぁっ……ン、ぁ、熱い」 「っ」 「んあっ！　ぁ、っひゃぁンっ、ぁ、太くて、ぁ、硬い」 「言うなよ」 　突き入れると白い背中が気持ち良さそうにくねってた。引いて、ギリギリまで抜いて、切っ先だけをその身体に埋め込んだだけになると、腰が一生懸命俺を追いかけようとする。 「だって、ずっと、待っ、あぁぁっ！」 　そんなことを喘ぎ声で言ったりするから、思わず身体が要の奥にいきたいって暴れて一気に奥めがけて突き刺した。 「やぁぁぁあっ！　ン、ぁ、もっ」 　深い一挿しにまた背中が反り返って、この人の濡れた黒髪が飛び跳ねた。 「要の中、すげぇ」 「ぁ、あっ、高雄、ぁ、もっ」 「何？」 　何か言いかけたところで深く一突きしたから、言葉が途切れた。聞き取れなくて、背中から抱き締めて、できるだけこの人と全身を密着させる。一番近いところにいたら、何を言っても、理性のない俺でも聞き取れるだろうから。 「も」 　も？　覗き込むと恥ずかしそうだった。 「もっと、して、ぁ、あぁぁぁぁっン、ぁ、ダメ、激しいっ、イ、やぁぁン！」 何度もそれを繰り返して、少しずつ、このやらしい粘膜の中をペニスでセックスを気持ち良く感じられるように慣らしてく。根元まで突き立てた頃には背中だけじゃなく全身がピンク色になって火照ってた。それがあまりにも綺麗だから壊しそうなほど抱き締めると、孔の口がきゅんと俺を抱き返してくれる。 「要」 「んあっ、ぁっ、ダメ、ぁ、もっと」 　どっちだよ。ダメって言ったり、もっとって欲しがったり、笑ったり、怒ったり。 「顔見せて」 「え？　ぁっ……あぁぁぁっ！　ぁ、これ、深いっ」 　抜いてすぐに抱き締めながら、向かい合わせでまた繋がった。 「あ、ぁぁっ、ン、高雄っ、ぁ、あぁぁぁぁっ」 　すげぇ可愛い顔してた。三十路上司が涙目で眉下げて気持ち良さそうに頬を染めて、すげぇ可愛かった。 「要」 「あ、ンっ、んんんっ、イくっ、ぁ、イっ」 　あまりに可愛くて、俺たちしかここにはいないのに、なんかもっと独り占めしたくて抱き締めて腕に閉じ込める。 　名前を呼ぶ度に甘く抱き締めてくれるこの人の中を何度も深く強く突き上げて。 「高雄っ、ンん、ぁ、もう、ダメ」 「っ」 　ぎゅっと抱き締められた瞬間、この人の一番奥に突き立てていた。 「ンっ……熱い……お腹、の、中」 　アホみたいに止まらない。この人とセックスすんのは、なんでこんなに歯止めが利かないんだろう。欲しくて、欲しくて、おかしくなりそう。 　気持ち良くて、愛しくて、背中からぎゅっとバカみたいに抱きしめたまま、搾り取られる心地良さを息をするのも忘れるほど堪能してる。要は自分の中で感じる俺に呼吸を乱してて、中もすっげぇざわついていて、だから、どんな可愛い顔してんのかなって、覗き込んだ。 「っつうか、なんで、そんな怒ってんの？」 　なのに、腕の中のこの人はなんでかムスッとした顔をしていた。意味わかんねぇ、なんであんなに気持ち良さそうにしておいて、今そんな不機嫌なんだよ。 「ずるいじゃないか」 「は？」 「今、ここ、お前の毛がすごく触れてて、なんだか！　ずるいじゃないか！」 　ホント、やばいくらい。 「ぱいぱん」 「んな！　言うな！」 「自分では連呼するくせに」 　やばいくらい、年上のあんたが可愛くてたまんねぇ。 「ぱいぱんって言うな！」 　だから、毛の感触がもっとわかるように、奥深くを抉って、繋がったまま甘くて蕩けるキスをした。