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鬼もヤキモチ編 2 秋ですから

 秋といえば、食欲、読書、芸術、それから――。 「あっ、高雄っ」  にしても食欲すごかったな。まぁ、今日はいつも以上に予定詰まってたからな。つくね三十本に、ねぎまも二十本買ったのに、一本も余らなかったって、どんな胃袋してんだか。店の店主が、サービスの箸、十膳入れようとしてたっけ。大丈夫です、って要が断ると、少し不思議そうな顔をしてるのが面白かった。多分、宅飲みでパーティーでもするんだと思ったんだろ。 「あぁっ、突いちゃ、ダメっ……あ、っン」  つくねが少なくとも二十本。ねぎまも五本以上、それがこの薄っぺらい腹に収まったとか、不思議すぎる。 「やぁっ、お腹、撫でないで、くれっ、あぁぁ」  腰をクンと突き立てると、奥を切先がトントンと叩いて、手の上に置いた俺の手と相まって、より存在を感じてる。 「やぁっ」  甘く啼きながら、綺麗なピンク色をした要の先端から甘い露がとろりと溢れて、伝い落ちた。  深く小刻みに奥を射抜かれて、長い甘イキに細い肩を震わせてる。その濡れた要のを手のひらで握ってやると、中がキュンキュンと締め付けて、柔らかく絡みつく。  極上すぎて、喉が鳴るほどに気持ちいい。 「あぁ……ン」  とろとろに蕩けた表情で、つま先までピンと仰け反らせて、身体奥で俺にしゃぶりつきながら、細い指先で俺の腕に触れてくれる。 「あっ、らめ……乳首、噛んじゃっ」  ツンと尖った乳首を口に含んで、歯でカリカリと引っ掻くと、中がキュッと締め付けて、精を絞り取ろうとするようにうねってくれる。 「高雄ぉ」  喉奥が熱くなるくらいに甘い声で名前を呼ばれて、伸ばされた腕に囚われてやると、密着した肌のしっとりとした感触に目眩がするほど興奮した。  パリッとしたシャツに、スーツのシワ一つから芸術作品みたいに見える立ち姿。  そんな人の艶やかなヌードは極上だ。 「あ、あンっ……あ、高雄っ」  誰が相手でも怯むことのない、張りのある声が、柔らかく、鼻にかかった甘えた声色になるのがたまらない。 「あ、もっと、奥」  厳しいことを言うし、言った分、絶対に自分自身はやり遂げる強い意志があるこの人の甘い誘惑が最高で。 「要」 「あ、声、ゾクゾクするっ、あ、あっ、あぁっ、激しいっ」  組み敷いて、激しく腰を打ちつけた。  寝室のベッドが揺れて、甘いセックスの濡れた音と甘い喘ぎがぐちゃぐちゃに絡まり合う。 「あぁっ、イクっ、高雄っ、イッちゃうっ」 「っ」  細い腰に手を添えて、快楽を打ち付け続けながら、それを逃さないように、要の奥に注げるように捕まえた。 「あっ」 「っ」 「イッく……っ、っ」  そう啼いた瞬間、深く口づけて、舌を絡め合って熱を分け合って。 「んんんっ」  奥に熱を注ぎ込んだ。 「あっ……あっ」  最高に気持ち良くて。 「あ、ン……」  ゴム越しでも搾り取ろうとするようにうねる中がヤバくて。 「すごい、眉間の皺だ」 「?」  言いながら、要が白く細い指先で俺の眉間を撫でた。 「……ア……ンっ」  奥まで身体を繋げたまま、要がわずかに上体を起こして、俺の、そのすごいらしい眉間の皺に口付けた。 「まだ、して」 「……」 「次、ゴムなしがいい」 「……はい? 明日は」  外回りだろ? 「高雄の、欲しい」 「っ」 「今日、会議に打ち合わせ、たくさん頑張ったんだ」  ねぎまにつくね、たんまり、たらふく食べた、白く薄っぺらい腹を自分で撫でて、艶やかに笑ってる。 「だから、ご褒美くれ」  フツー、それを言うなら、上半期の営業成績に大いに貢献したご褒美を俺にくれるとか、そっちだと思うのに。  この人は、俺の予想の斜めをいつだっていくから。 「高雄の、を……」  繋がった身体を自分から腰を引いて一旦抜くと、その感触にすら甘い吐息をこぼしてから。  そっと、その今、俺のを咥えたピンク色の口に指を添えた。 「ここに、欲しい」  それから、わずかにその口を自分の指で広げて。 「ご褒美……」  やらしく、甘く誘うんだ。 「……ぁっ」  食欲の秋だから。 「っ」  自分から大胆なことを言ったくせに。 「高雄っ」  ゴムの中にたっぷりと熱を溜めたそれを外した手元を伏目がちに見つめてる。 「じゃあ」 「?」  ベッドの上、またこの人を組み敷いて、キスができる至近距離まで近づくと、きゅっと唇を噛んでる。 「明日の外回り、俺、ついてってもいい?」 「でも、明日、高雄は資料をっ」 「んなの、外回り前に終わらせる」  噛んだせいで赤色が濃くなった唇にキスを一つ。それから、しっかりと身体を重ねた。 「あっ、高雄の硬いっ」 「外回り、ついてく。課長の補佐役な」 「あ、あ、あ、入っちゃうっ」  食欲の秋だし。  俺も、その食欲に抗うことなく素直に従うことにした。 「入っちゃうんじゃなくて、要が欲しがったんだろ?」 「あぁっ、うんっ、欲しいっ、あ、これっ」 「っ」  入っちゃうって言いながら、自分から腰を上げて、脚を大胆に開いて。硬いまんま、萎えることのない熱に頬を赤くして、戸惑ったりする。たまらなく、そそるこのご馳走を。 「熱いの、奥に、欲しいっ」  食欲に抗うことなく、甘くて、極上のこの人を。 「あっ、高雄っ」  今夜はたっぷり味わうことにした。

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