4 / 229
第4話
出席番号も前後、席も隣同士、家も割と近くで、何と言っても一目惚れの相手だ。
教室移動や昼飯も、その他四六時中一緒に行動することになった、と言うより、行動するように仕向けた、と言った方が正しいかも。
瑞季は、そのかわいくて柔らかい外見のせいで、男女問わずちょっかいを出されてきたらしく、自分の身を守る術を会得していた。
思っていたよりかなり男らしく、しっかりした考えの持ち主で、俺はますます瑞季に惚れていった。
男同士だとか、そんなことどうでもよくて、俺は『坂本瑞季』というひとりの人間を恋愛対象として見てしまっていた。
だから、通学途中で誰かに告白されても
「俺には心に決めた人がいるから、二度とこんなことしないでほしい」
と、相手が泣こうが喚 こうが、ハッキリと断った。
その度に一緒にいる瑞季が、少し顔を強張らせていることには、断るのに必死な俺は気付かなかった。
よくつるんで遊ぶようになって、瑞季と他の仲良くなった奴らがうちに遊びに来ることになった。
「日向のお母さんの好きな物って何?」
「んー、確かロールケーキだったと思う。
なんで?」
「せっかくお邪魔するのに、なんか持っていきたいなって思って…」
「ばーか、うちに来るのにそんな気遣わなくっていいって。手ぶらで来いよ。」
「…うん。」
ともだちにシェアしよう!