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第5話
そう言ってたのに、瑞季はどこで調べたのか評判のケーキ屋のロールケーキを持参して、お袋をいたく感激させた。
「お前、気ぃ遣うなって言ったのに。」
「でも、僕がそうしたかったんだよ。
涼香ママ、すっごく喜んでたじゃん!
僕も嬉しかったんだ…」
瑞季は未婚で彼を産んだ母親と住んでいたが、幼少から育児放棄されていて、高校入学を機に一人暮らしとなり、父親と名乗る人から生活費の支援はしてもらっていたものの、全てを一人でこなしていた。
親の愛情も知らず、健気に一人で生きてきた瑞季は、それでも他人を羨むことも憎むこともなく、真っ直ぐに生きている。
俺が…瑞季を支えたい。
側にいて、辛いことも悲しいことも、もちろん楽しいこともうれしいことも、一緒に、二人で…
いつしか俺の中で、そんな気持ちが大きくなっていった。
例え瑞季が俺のことを想ってくれなくても…
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