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第11話

そんなある日… 瑞季が学校を休んだ。 アプリトークには 「風邪で休む」とだけメッセージ。 「大丈夫?熱は?」 と送っても、未読スルーのまま。 熱は?病院に行ったのか? あいつ、一人でご飯とかどうしてるんだろう。 そわそわと落ち着かず、三限が終わった瞬間、思いっきり具合の悪い(ふう)を演じて、早退した。 日頃の行いが功を奏して疑われもせず、学校を抜け出す。 途中コンビニで、レトルトのおかゆやスポーツドリンク、プリンとカップのバニラアイスを買って瑞季のアパートへ。 はやる気持ちを抑えてチャイムを鳴らすが、反応がない。 「瑞季!瑞季!俺!日向!開けて!!」 ドアを叩きながら叫び続けると、やっと鍵が外れドアが開いた。 「日向…どうして…」 ボサボサの髪に、赤い顔の瑞季が出てきた。 「お前のことが心配で…早退してきた。 入るぞ。」 「えっ、学校は?授業中だろ?」 「いいんだ。ほら、布団に戻れ。」 引きずるように瑞季を布団に押し込んで、 「熱は?」 「んー、39.5かな…」 「高いな…なんか食った?」 「…夕べから食べてない…」 「おかゆ、食える?」 「…いらない。」 「プリンとアイス、どっち?」 「…アイス…」 俺はアイスとスプーンを持って枕元に陣取る。 ぺりぺりと中のシートを剥がし、一口分すくうと 「瑞季、あーん」

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